絹扇

福井県春江を舞台に,貧しい織屋の娘が名家に嫁ぎ,激動の時代を生き抜く姿をつややかに描く傑作長編.

絹扇
著者 津村 節子
ジャンル 書籍 > 単行本 > 創作作品(小説・詩・戯曲)
刊行日 2003/01/28
ISBN 9784000225236
Cコード 0093
体裁 四六 ・ 上製 ・ カバー ・ 338頁
在庫 品切れ
貧しい織屋の長女に生れ,美しい娘に育ったちよは,機業の名家の次男坊に見初められて結婚するが,分家して起こした事業は時代の波にもまれ,破滅に向け突き進んでいく….明治期から関東大震災にかけて,絹織物の特産地,福井県春江を舞台に,激動の時代を生き抜く女のたくましさと悲しみをつややかに織り上げた傑作長編.

■著者からのメッセージ

津村節子

 福井県の絹織物は,長い間書きたいと思いながら書き得なかったテーマである.私は福井市の裏馬通りと呼ばれている福井城址近くの織物屋に生れたが,そのあたり一帯に織物商社が立ち並んでいて,織物商社街と人は呼んでいた.近くの人絹取引所の傍を通りかかると,相場を張る掛声が威勢よく聞え,長唄や踊りの稽古に通う道すじには機屋が並んでいて,織機の音が絶え間なく響いていた.
 だが,機屋も織物屋も,世界情勢に極めて左右され易く,また,投機的な要素が強くて,成金が一夜で没落する例も幼いながら目にしてきた.……
〈本書「あとがき」より〉

書評情報

技術教室 2004年9月号
(トーハン)新刊ニュース 2003年4月号
しんぶん赤旗 日曜版 2003年3月30日号
毎日新聞(朝刊) 2003年3月9日
産経新聞(朝刊) 2003年3月9日
福井新聞 2003年2月18日
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