現代史のリテラシー

書物の宇宙

歴史学と社会学が出会う場所で現代の輪郭が書物の宇宙の彼方に浮かび上がる.公共性構築のための書評集.

現代史のリテラシー
著者 佐藤 卓己
ジャンル 書籍 > 単行本 > 評論・エッセイ
刊行日 2012/01/13
ISBN 9784000227858
Cコード 0095
体裁 四六 ・ 上製 ・ カバー ・ 264頁
在庫 品切れ
著者の専門であるナチス・ドイツの問題だけでなく,近代日本の戦争と知識人の問題や現代文化論,教育論からメディアと公共性のあり方をめぐる問題まで――歴史学と社会学が出会う場所で,現代の輪郭が書物の宇宙の彼方に浮かび上がる.歴史と同時代を理解するための視座を読者に提供する,公共性を構築するための書評集.

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■ 著者からのメッセージ
佐藤卓己

 私の最初の書評集です.これまで20年間で約130本の書評を新聞雑誌に発表してきましたが,ここでは特にドイツ史,メディア史,現代日本論に関する書評,名著解題,文庫解説を収めました.自分で言うのも変なのですが,想像以上にまとまった作品になっています.前著『ヒューマニティーズ 歴史学』(岩波書店)で引いた言葉を思い出しました.
 「どんなテーマで何を対象に研究をするかということは,それほど重要なことではないんじゃないだろうか.むしろ,そうした研究の積み重ねで,どんな歴史家になるかが重要なんだよ.」
 この言葉を踏まえて,私は「メディア史家」宣言をしました.しかし,ドイツ現代史から出発して日本メディア史にたどり着いた私の道程は,私が書いた著作よりも私が読んできたさまざまな書物によって明確に浮かび上がってくるようです.リテラシーは「読み書き能力」と訳しますが,その力点は「書き」より「読み」に置かれています.というのも,書く前提となる思考は読書を離れては存在しないからです.その意味で,私はメディア史の書き方を本書で一挙公開しているつもりなのです.


■ 著者略歴
佐藤卓己(さとう たくみ)
1960年生まれ.京都大学博士(文学).現在,京都大学大学院教育学研究科准教授.著書に『「キング」の時代――国民大衆雑誌の公共性』(岩波書店,2002年),『言論統制――情報官・鈴木庫三と教育の国防国家』(中公新書,2004年),『輿論と世論――日本的民意の系譜学』(新潮選書,2008年),『テレビ的教養――一億総博知化への系譜』(NTT出版,2008年)など.

書評情報

週刊読書人 2012年4月6日号
毎日新聞(朝刊) 2012年2月26日
週刊新潮 2012年2月9日号
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