川柳,もの申す!

腹ふくるる世の中に「もの申す!」.「朝日川柳」の選者が傑作・怪作から作句のコツまで,縦横に語る.

川柳,もの申す!
著者 大伴 閑人
ジャンル 書籍 > 単行本 > 評論・エッセイ
刊行日 2005/01/26
ISBN 9784000236508
Cコード 0095
体裁 四六 ・ 上製 ・ カバー ・ 198頁
在庫 品切れ
近年「サラリーマン川柳」など,川柳が注目を集めている.世相を痛快に斬り,時には自分をも笑いのめす川柳は,庶民の武器,スパイスの効いた社会的メッセージだ.『朝日新聞』の密かな人気欄「朝日川柳」の選者が,この十年余に出会った傑作・怪作を通して時代を評し,その面白さを語る.誰でも上手に詠める作句のコツも指南.


■著者からのメッセージ
 ここでちょっと肩肱張って言えば,川柳とは,世の中の森羅万象を,物事の核心を衝いた視点と鋭い機知とで,世界最短の詩形に結晶させたものだと思う.どんなニュース,出来事も,すべてが川柳の題材になる.俳句のように,季語とか切れ字がなくてはいけないといった約束事や制約は一切ない.それだけ自由自在に句が作れる.だれでも,いますぐからでも句は作れる.…………
 だがなかには作れない人,作ってはいけない人もいないことはない.世の中これでいいんだと思っている人.あるいは自分の生き方に満足しきって,オレはいまのままでいいんだ,と自足している人.あるいはオレはえらいんだぞ,と思っている人.つまり,この世をばわが世とぞ思う望月の,などと歌に詠む関白などだ.いまの世ならさしずめ大勲位か.そういえば毎年,春,秋の叙勲の季節になると,川柳界なぜか勲章に縁が無い,などという句がくる.当たり前だろう.川柳はどこまでいっても権力とは関係ない.与野党でいえば万年野党なのだ.そしてそこにこそ川柳の面目,真骨頂があるといえよう.
(「もの言わねば……――はじめに」より)
もの言わねば……――はじめに

新版「平成落首考」――十年一昔というけれど
  四分五裂――イラクのどろ沼
  百年河清――いずこに夢を
  泡沫始末――宴のあと無残
  金属疲労――がん首そろえて
  柳子有情――広場に集う詩人たち

川柳への招待――作り方のコツ教えます
  句を作る前に
  作句に当たって――さまざまなテクニック
  句を作った後で

句はこう変わる――紙上添削教室
  キーワードを探せ――ある教室風景
  言葉のマジック――ある市民文化祭にて
  視点を変えて――再び教室風景

〈対談〉川柳は怒る,川柳は笑う! 山藤章二/大伴閑人

あとがき

対談イラスト 山藤章二
大伴閑人(おおとも かんじん)
本名・日比野和幸.1925年東京生まれ.49年東京大学経済学部卒業,朝日新聞入社.66年論説委員.77―88年夕刊コラム「素粒子」を担当.テレビ朝日コメンテーターなどを経て,1993年から「朝日川柳」選者.

書評情報

日本農業新聞 2005年5月16日
毎日が発見 2005年5月号
読売新聞(夕刊) 2005年3月16日
茨城新聞 2005年2月20日
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