惜櫟荘だより

岩波茂雄が静養目的で建てた熱海・惜櫟荘.譲り受けた著者が,修復保存を成し遂げるまでをつぶさに綴る.

惜櫟荘だより
著者 佐伯 泰英
ジャンル 書籍 > 単行本 > 評論・エッセイ
刊行日 2012/06/20
ISBN 9784000258463
Cコード 0095
体裁 四六 ・ 上製 ・ カバー ・ 224頁
在庫 品切れ
1941年,岩波茂雄は静養を目的とし,熱海に惜櫟荘を建てた.建築家・吉田五十八が手掛けたこの名建築を,著者は縁あって譲り受け,後世に残すべく修復保存を志す.設計図もない中,手探りで解体・復元作業が進められ,やがて趣向に満ちた創造性が明らかになる――興味深いエピソードも交え,惜櫟荘完成までをつぶさに綴る.


■著者からのメッセージ
 熱海の一角に仕事場を設けて見えてきたものがある.出版界の盛衰,日本の凋落,まるでジェットコースターに乗ったような小説家のあたふたぶりである.岩波別荘惜櫟荘せきれきそうの番人に就いてみると,過去七十年余の歴史といやでも向き合わねばならなかったし,建物の修復を通して,日本人の木造建築技術はやはり捨てたものではないとも分かりました.修復中に東日本を大震災が襲い,原発があっさりと壊れました.日本の先端技術と管理保守能力がもろくも露呈したのです.それでもわれら日本人の暮らしは続きます.惜櫟荘を過去から未来へ継承し,保存するために何をなすべきか.私の初のエッセイ集は,文庫が建て,文庫が守った惜櫟荘が主人公の物語です.
佐伯泰英
文豪お手植えの……
仕事場探し
鮑と文庫
ティオ・玲二
五十八の原図
惜櫟荘解体
作家と教師
子のライオン
四寸の秘密
詩人と彫刻家
上棟式の贈り物
五十八の灯り
ベトナムへの旅
ホイアンの十六夜
一間の雨戸
画家グスタボ・イソエ
翌檜の門
書の話
児玉清さんと惜櫟荘
呼鈴と家具
自然の庭
遅い夏休み
修復落成式(一)
修復落成式(二)
松の話

あとがき
佐伯泰英(さえき やすひで)
1942年福岡県北九州市生まれ.日本大学芸術学部映画学科卒.1971~74年,スペイン在住.帰国後,闘牛をテーマとするノンフィクション作家・写真家として活躍ののち,1999年より時代小説に転じる.“時代小説文庫書下ろし”のスタイルを貫き,数多くの長編シリーズを執筆する.「居眠り磐音江戸双紙」,「密命」,「古着屋総兵衛」など著書多数.

書評情報

測量 2013年9月号
CREA 2013年3月号
東京人 2012年10月号
毎日新聞(夕刊) 2012年9月21日
信濃毎日新聞(朝刊) 2012年9月16日
北海道新聞(朝刊) 2012年9月9日
週刊朝日 2012年9月7日号
文藝春秋 2012年9月号
毎日新聞(夕刊) 2012年8月29日
毎日新聞(朝刊) 2012年8月19日
朝日新聞(朝刊) 2012年8月12日
日本経済新聞(朝刊) 2012年7月29日
南日本新聞(朝刊) 2012年7月22日
しんぶん赤旗 2012年7月22日

受賞情報

2014年日本建築学会文化賞
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