戦後腹ぺこ時代のシャッター音

岩波写真文庫再発見

1950年代に刊行されたテーマ別写真集,岩波写真文庫をひもとき,当時の感性を鮮やかに描き出す.

戦後腹ぺこ時代のシャッター音
著者 赤瀬川 原平
ジャンル 書籍 > 単行本 > 評論・エッセイ
刊行日 2007/09/27
ISBN 9784000236713
Cコード 0095
体裁 B6 ・ 並製 ・ 224頁
在庫 品切れ
貪欲な好奇心が巷に溢れていた1950年,画期的なテーマ別写真集「岩波写真文庫」が創刊され,以後8年,286冊に及ぶ人気シリーズとなった.写真読みの好手・赤瀬川原平氏が,写真文庫の中から心に触れる24冊を選びだし,写真に写しこまれた時代の空気を確かめながら,青年期を送った50年代日本の感性を鮮やかに描く.

■著者からのメッセージ

赤瀬川原平
日本が戦争に全力を使い果して,国民の全員が地べたにへたり込んでいた時代.でもこのままではいけない,もういちど生活を立て直そうと,世の中が活動をはじめたころ,1950年.戦後5年,この岩波写真文庫の刊行がはじまった.以後58年まで,計286冊.
そのころ世の中はまだ活字主体で,写真メディアは少なく,貴重だった.ましてそれをコンパクトな形で,というこのシリーズは,バイクでいうとホンダのスーパーカブみたいなものだった.今回この写真文庫を一冊ずつ選んで,いまの世から眺めていきながら,時代の空気というものをつくづく感じた.活字,つまり言葉では説明しきれないことが,写真からはぷんぷん匂ってくる.このシリーズは,戦後の空気の貴重な貯蔵庫だ.いまの肥満ぎみの世の中は,じつはこの空気を吸うことからはじまっている.良くも悪くも,この空気がいまの日本人の両親なのだ.



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「岩波写真文庫」を知っていますか―50年代のリアリティを伝える「岩波写真文庫」が蘇る
赤瀬川原平(あかせがわ げんぺい)
1937年横浜生まれ.画家.作家.1981年『父が消えた』(尾辻克彦の筆名で発表)で第84回芥川賞受賞.著書に『老人力』『超芸術的トマソン』(ちくま文庫),『新解さんの謎』(文春文庫),『優柔不断術』(毎日新聞社),『千利休 無言の前衛』(岩波新書)など.

書評情報

R25 2008年9月26日号
東京人 2008年2月号
TBSテレビ「王様のブランチ」 2008年1月26日放送
読売新聞(朝刊) 2007年12月23日
アサヒカメラ 2007年12月号
日刊ゲンダイ 2007年11月19日
読売新聞(朝刊) 2007年11月18日
産経新聞(朝刊) 2007年11月11日
福井新聞 2007年11月11日
信濃毎日新聞(朝刊) 2007年11月11日
週刊読書人 2007年11月9日号
TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」スタンバイ・ブックナビ 2007年11月8
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