パリデギ

脱北少女の物語

現代の悲惨を生き抜いた娘は,世界の暴力を照らし出す魂の素質に恵まれていた…….神秘的で強く,哀切な秀作(作家・大江健三郎氏)

パリデギ
著者 黄 〓暎 , 青柳 優子
ジャンル 書籍 > 単行本 > 文学・文学論
刊行日 2008/12/17
ISBN 9784000244442
Cコード 0097
体裁 四六変 ・ 上製 ・ 270頁
在庫 品切れ
動物や死者の魂の声を聴き取ることの出来る不思議な少女パリ.故郷・北朝鮮の飢餓を逃れて国境を超えたパリは,家族を失い,たった一人世界に投げ出される.そして行き着いたロンドンで出会ったものは…….最下層の移民社会に渦巻く世界の悲惨と希望.現代韓国最高の作家が渾身の力をこめて描いた「神秘的で強く,哀切な秀作」(大江健三郎氏).韓国50万部のベストセラー

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人は何のために苦しむのだろう? 人は何のために国境なんて作ったんだろう? 魂の声を聴き取ることのできる少女・パリは,故郷・北朝鮮の飢餓から逃れ,たった一人,世界に投げ出される.移民,難民の吹き寄せるロンドンの場末で少女が聴いたものは? 韓国50万部ベストセラー小説

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忘れがたい黄ソギョン 大江健三郎

 韓国随一の作家でいながら,快活で魅力あふれる話し手の,黄(ファン)ソギョンから,世界を横断する小さな巫女(ムーダン)の物語について聞いた.
 少女の魂が身体を離れて過去と現在,そして戦場をふくむ様ざまな場所を自由に訪れる.それは黄の土俗的な神話世界を知っている私に,思い描きにくいことではなかった.しかし,つねに政治状況の先端をまるごとつかみとる彼の同時代批評はどこへ行くのか?
 読みはじめて,たちまち私はいまいった二つが,奇蹟のように成就されているのに魅了された.なんという小説家だろう.1994年,家族の離散後の苦難を小さな白い犬に(その死後は魂に)みちびかれて生きぬく少女は,ロンドンでつつましい生活を守る若い妻となり,折しもテロに襲われた街を歩きながら,おなかの赤ちゃんに,このような現実のことを謝って涙を流す.その哀切さと,乗り越えた苦難にきたえられて成就している巫女の未来観,責任感の切実さ.
 この国の現実逃避のヤワな神秘趣味に逆らって,黄ソギョンの若く新しい読者が一大勢力となる……それが私のリアルな夢.
(ファン ソギョン)
現代韓国で最も人気の高い作家.1943年長春(中国)生まれ.1962年文壇にデビュー.1971年『客地』(邦訳,岩波書店,1986年)で高い評価を得る.代表作に『張吉山』(全10巻).『武器の影』(岩波書店,1989年),『懐かしの庭』(岩波書店,2002年),『客人(ソンニム)』(岩波書店,2004年)など.
訳者:青柳優子
翻訳家.市民の集い「コリア文庫」主宰.著書に『韓国女性文学研究Ⅰ』(御茶の水書房,1997年).編訳書に『韓国の民族文学論』(崔元植著,御茶の水書房,1995年).訳書に『懐かしの庭』(黄暎著,岩波書店,2002年),『東アジア文学空間の創造』(崔元植著,岩波書店,2008年)など.

書評情報

産経新聞 2009年11月14日
図書新聞 2009年7月25日号
婦人之友 2009年7月号
奈良新聞 2009年4月19日
毎日新聞(夕刊) 2009年4月13日
東洋経済日報 2009年3月20日号
朝日新聞(朝刊) 2009年3月5日
信濃毎日新聞(朝刊) 2009年2月15日
東洋経済日報 2009年2月13日号
神戸新聞(朝刊) 2009年2月8日
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