文学をめぐる理論と常識

文学研究におけるフランスの第一人者が基本概念を改めて取り上げ,文学理論を総括する概説書の決定版.

文学をめぐる理論と常識
著者 アントワーヌ・コンパニョン , 中地 義和 , 吉川 一義
ジャンル 書籍 > 単行本 > 文学・文学論
刊行日 2007/11/27
ISBN 9784000246392
Cコード 0097
体裁 A5 ・ 並製 ・ カバー ・ 358頁
在庫 品切れ
かつて栄華を誇った文学理論が衰退したように見える今,ロラン・バルトの最後の弟子にして現在フランスの文学研究で追随を許さぬ地位にある著者は,「作者」,「読者」,「文体」といった基本概念を改めて俎上にあげ,理論の意義と限界を測定する.巨大な射程の下で幾多の文学理論を総括する,明快にして緻密な一大パノラマの書.


■編集部からのメッセージ
 1960年代を頂点に栄華を誇った文学理論は,今やかつての力を喪失したように見える.だとすれば,文学作品を手にする者は「理論」とは縁を切り,「常識」だけを頼りにすればよいのだろうか.「常識」に異議を唱え,より適切な読み方を提示することは,もはや「理論」にはできないのだろうか――.
 ロラン・バルトの最後の弟子にして,現在フランスの文学研究で追随を許さぬ地位にある著者アントワーヌ・コンパニョンは,「文学」,「作者」,「世界」,「読者」,「文体」,「歴史」,「価値」という,あまりにも基本的な七つの概念をあえて軸に据え,文学をめぐる本質的な問いに挑み,「理論」の意義と限界を改めて測定する.本書は,古代ギリシア・ラテン以来の西洋文学の歴史を射程に入れた包括的な理論書であると同時に,文学理論をめぐる明快な見取り図を提示する第一級の概説書でもある.
序 章 われわれの恋愛から何が残ったか
第1章 文学
第2章 作者
第3章 世界
第4章 読者
第5章 文体
第6章 歴史
第7章 価値
結 論 理論の冒険
 謝 辞
 訳者あとがき
 文献一覧
 人名索引
アントワーヌ・コンパニョン(Antoine Compagnon)
1950年 ベルギー生まれ.
コレージュ・ド・フランス(パリ)教授,コロンビア大学(ニューヨーク)教授.
フランス文学,文学理論.
《著書》『孫引き――引用の作業』(1979年),『われら,ミシェル・ド・モンテーニュ』(1980年),『文芸の第三共和政――フロベールからプルーストまで』(1983年),『両世紀間のプルースト』(1989年),『近代芸術の五つのパラドックス』(1990年)(邦訳:水声社),『ポケットに猫――モンテーニュとアレゴリー』(1993年),『ブリュンチエールをごぞんじ?――ある反ドレフュス主義者と友人たちをめぐる調査』(1997年),『数知れないものを前にしたボードレール』(2003年),『反近代主義者たち――ジョゼフ・ド・メストルからロラン・バルトまで』(2005年),『文学は何のために?』(2007年)(DVD版もある)ほか.

中地義和(なかじ よしかず)
1952年 和歌山生まれ.
東京大学大学院人文社会系研究科・文学部教授.
フランス文学.
《著書》『フランス文学史』(共著)(東京大学出版会,1994年),『ランボー 精霊と道化のあいだ』(青土社,1996年),『ランボー 自画像の詩学』(岩波書店,2005年)ほか.
《訳書》バタイユ『エロティシズムの歴史』(共訳)(哲学書房,1987 / 2001年),ル・クレジオ『黄金探索者』(新潮社,1993年),モンサンジョン『リヒテル』(共訳)(筑摩書房,2000年),『ランボー全集』(共編訳)(青土社,2006年),バルト『ロマネスクの誘惑』(『ロラン・バルト著作集』第9巻)(みすず書房,2006年)ほか.

吉川一義(よしかわ かずよし)
1948年 大阪生まれ.
京都大学大学院文学研究科・文学部教授.
フランス文学.
《著書》『プルースト美術館』(筑摩書房,1998年),『プルーストの世界を読む』(岩波書店,2004年),『プルースト「スワンの恋」を読む』(白水社,2004年),『プルーストと絵画』(岩波書店,近刊)ほか.
《訳書》プルースト『サント=ブーヴに反論する』(共訳)(筑摩書房『プルースト全集』第14巻,1986年/『プルースト評論選 I 』ちくま文庫,2002年),バレス『グレコ――トレドの秘密』(筑摩書房,1996年),タディエ『評伝プルースト』(全2冊)(筑摩書房,2002年)ほか.
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