一海知義の漢詩道場
漢詩理解のハードル.本書は若い学徒たちが一海師匠の指導でそのハードルを越えていくドキュメントである.
漢詩を真に理解するにはいくつものハードルがある.本書は若い研究者たちがそのハードルを越えていくドキュメントである.宋代の詩人陸游の詩を題材に一海師匠と若い学徒の問答が再現される.誰もが犯しがちな間違いや思い込みをわかりやすく指摘しながら,漢詩の深い理解に導いていく師匠の語り口が絶妙である.
■編者からのメッセージ
ヘンな題の本ですが,文字通り「漢詩」を読む力を鍛える「道場」の記録です.
道場は10年ほど前に開かれましたが,最初の門人は12,3人.今では登録人員50名を超え,毎月1回,多い時は20数名が技を鍛えに神戸に集まります.
集まるのは,70代の老人から20になったばかりの学生まで,多くは中国文学や日本古典文学を専攻する日中両国の大学教師や大学院生,学生ですが,中にはお寺の坊さんや家庭の主婦もいます.
毎回1人の担当者が,中国宋代の詩人陸游の詩一首を丹念に調べて来た内容を,プリントにして配る.それを参会者みんなで叩く.かくて討論が始まるのです.
道場には道場主である老師範の他に,名誉教授の師範代が2人いて,討論に参加します.
こう書くと,何だかおそろしげな会のようですが,実際は毎回冗談が飛び交い,笑い声の絶えない集まりです.
最初この会の記録を本にしょうと思い立った時,本の題を『漢詩をよむコツ 半解先生の漢詩高座』にしようという案が出ました.そして次のような「小序」まで用意されたのです.
半解先生,姓は一海,名は知義.姓と名より各一文字を採れば,一知.すなわち「一知半解」の人なりと称す.
「一知半解」なる語,中国は宋代,厳羽の著『滄浪詩話』に出で,知識の十分わがものとならず,極めて浅薄なるをいう.すなわち,生半可.
その半解先生,いつの頃よりか,人々を集めて「読游会」なる漢詩講座を始めた.宋代の詩人陸游の詩を読む会である.
ジョークの好きな先生の「講座」は,ときに「高座」の如き様相を呈し,人々はしばしば呵呵大笑する.名づけて「半解先生の漢詩高座」という.
しかし「高座」は噺家が高い所から一方的に喋りまくるのだが,これは討論の会なのだから「道場」としてどうか,編集者からそう言われて,泣く泣く(?)「道場」にしました.
「読游会」の「読」は勉強,「游」は陸游の游ですが,「あそぶ」という意味もあり,勉強が終った後は,小宴会.これがまた愉快で,毎回遠く廣島や福井,名古屋から通って来る会員もいます.詩を読みに来るのか,酒を飲みに来るのか.
ただしこの本,宴会の記録ははぶいてあります.
【一海知義】
■編者からのメッセージ
ヘンな題の本ですが,文字通り「漢詩」を読む力を鍛える「道場」の記録です.
道場は10年ほど前に開かれましたが,最初の門人は12,3人.今では登録人員50名を超え,毎月1回,多い時は20数名が技を鍛えに神戸に集まります.
集まるのは,70代の老人から20になったばかりの学生まで,多くは中国文学や日本古典文学を専攻する日中両国の大学教師や大学院生,学生ですが,中にはお寺の坊さんや家庭の主婦もいます.
毎回1人の担当者が,中国宋代の詩人陸游の詩一首を丹念に調べて来た内容を,プリントにして配る.それを参会者みんなで叩く.かくて討論が始まるのです.
道場には道場主である老師範の他に,名誉教授の師範代が2人いて,討論に参加します.
こう書くと,何だかおそろしげな会のようですが,実際は毎回冗談が飛び交い,笑い声の絶えない集まりです.
最初この会の記録を本にしょうと思い立った時,本の題を『漢詩をよむコツ 半解先生の漢詩高座』にしようという案が出ました.そして次のような「小序」まで用意されたのです.
半解先生,姓は一海,名は知義.姓と名より各一文字を採れば,一知.すなわち「一知半解」の人なりと称す.
「一知半解」なる語,中国は宋代,厳羽の著『滄浪詩話』に出で,知識の十分わがものとならず,極めて浅薄なるをいう.すなわち,生半可.
その半解先生,いつの頃よりか,人々を集めて「読游会」なる漢詩講座を始めた.宋代の詩人陸游の詩を読む会である.
ジョークの好きな先生の「講座」は,ときに「高座」の如き様相を呈し,人々はしばしば呵呵大笑する.名づけて「半解先生の漢詩高座」という.
しかし「高座」は噺家が高い所から一方的に喋りまくるのだが,これは討論の会なのだから「道場」としてどうか,編集者からそう言われて,泣く泣く(?)「道場」にしました.
「読游会」の「読」は勉強,「游」は陸游の游ですが,「あそぶ」という意味もあり,勉強が終った後は,小宴会.これがまた愉快で,毎回遠く廣島や福井,名古屋から通って来る会員もいます.詩を読みに来るのか,酒を飲みに来るのか.
ただしこの本,宴会の記録ははぶいてあります.
【一海知義】
主編者
一海知義(いっかい・ともよし)
神戸大学名誉教授
編者
筧 久美子(かけひ・くみこ)
神戸大学名誉教授
筧 文生(かけひ・ふみお)
立命館大学名誉教授
魚住和晃(うおずみ・かずあき)
神戸大学国際文化学部教授
執筆者(五十音順)
青山由起子(あおやま・ゆきこ)
神戸大学大学院総合人間科学研究科博士後期課程
赤松由美子(あかまつ・ゆみこ)
神戸大学大学院文化学研究科博士課程
内田誠一(うちだ・せいいち)
京都大学非常勤講師
高 倩藝(こう・せんげい)
関西大学非常勤講師
佐藤菜穂子(さとう・なほこ)
主婦
傍島史奈(そばじま・しな)
神戸大学大学院文化学研究科博士課程
竹内真彦(たけうち・まさひこ)
龍谷大学経済学部専任講師
中島和歌子(なかじま・わかこ)
北海道教育大学札幌校助教授
中山 文(なかやま・ふみ)
神戸学院大学人文学部教授
丹羽博之(にわ・ひろゆき)
大手前大学人文科学部助教授
野原康宏(のはら・やすひろ)
神戸大学非常勤講師
濱中 仁(はまなか・ひとし)
大阪市立東高校教諭
林 香奈(はやし・かな)
京都府立大学文学部助教授
藤澤次郎(ふじさわ・じろう)
佛教大学非常勤講師
藤原祐子(ふじわら・ゆうこ)
大阪大学文学研究科博士後期課程
舩阪富美子(ふなさか・ふみこ)
神戸大学大学院総合人間科学研究科博士後期課程
彭 佳紅(ほう・かこう)
帝塚山学院大学文学部助教授
水本圭亮(みずもと・けいすけ)
神戸大学文学部学生
三野豊浩(みの・とよひろ)
愛知大学文学部助教授
森岡優紀(もりおか・ゆき)
佛教大学非常勤講師
劉 雨珍(りゅう・うちん)
中国南開大学外国語学院教授
一海知義(いっかい・ともよし)
神戸大学名誉教授
編者
筧 久美子(かけひ・くみこ)
神戸大学名誉教授
筧 文生(かけひ・ふみお)
立命館大学名誉教授
魚住和晃(うおずみ・かずあき)
神戸大学国際文化学部教授
執筆者(五十音順)
青山由起子(あおやま・ゆきこ)
神戸大学大学院総合人間科学研究科博士後期課程
赤松由美子(あかまつ・ゆみこ)
神戸大学大学院文化学研究科博士課程
内田誠一(うちだ・せいいち)
京都大学非常勤講師
高 倩藝(こう・せんげい)
関西大学非常勤講師
佐藤菜穂子(さとう・なほこ)
主婦
傍島史奈(そばじま・しな)
神戸大学大学院文化学研究科博士課程
竹内真彦(たけうち・まさひこ)
龍谷大学経済学部専任講師
中島和歌子(なかじま・わかこ)
北海道教育大学札幌校助教授
中山 文(なかやま・ふみ)
神戸学院大学人文学部教授
丹羽博之(にわ・ひろゆき)
大手前大学人文科学部助教授
野原康宏(のはら・やすひろ)
神戸大学非常勤講師
濱中 仁(はまなか・ひとし)
大阪市立東高校教諭
林 香奈(はやし・かな)
京都府立大学文学部助教授
藤澤次郎(ふじさわ・じろう)
佛教大学非常勤講師
藤原祐子(ふじわら・ゆうこ)
大阪大学文学研究科博士後期課程
舩阪富美子(ふなさか・ふみこ)
神戸大学大学院総合人間科学研究科博士後期課程
彭 佳紅(ほう・かこう)
帝塚山学院大学文学部助教授
水本圭亮(みずもと・けいすけ)
神戸大学文学部学生
三野豊浩(みの・とよひろ)
愛知大学文学部助教授
森岡優紀(もりおか・ゆき)
佛教大学非常勤講師
劉 雨珍(りゅう・うちん)
中国南開大学外国語学院教授
書評情報
書道界 2004年7月号
京都民報 2004年6月20日号
週刊読書人 2004年6月11日
読売新聞(朝刊) 2004年5月30日
朝日新聞(朝刊) 2004年5月23日
日中友好新聞 2004年5月5日
毎日新聞(朝刊) 2004年4月30日
神戸新聞(朝刊) 2004年4月29日
京都新聞(朝刊) 2004年4月25日
日中友好新聞 2004年4月5日
京都民報 2004年6月20日号
週刊読書人 2004年6月11日
読売新聞(朝刊) 2004年5月30日
朝日新聞(朝刊) 2004年5月23日
日中友好新聞 2004年5月5日
毎日新聞(朝刊) 2004年4月30日
神戸新聞(朝刊) 2004年4月29日
京都新聞(朝刊) 2004年4月25日
日中友好新聞 2004年4月5日