テロリズム 聖なる恐怖

人間の悲劇的宿命は回避できるのか? 気鋭の批評家による,テロリズムについての斬新な形而上学的アプローチ.

テロリズム 聖なる恐怖
このエントリーをはてなブックマークに追加
著者 テリー・イーグルトン , 大橋 洋一
ジャンル 書籍 > 単行本 > 文学・文学論
刊行日 2011/08/24
ISBN 9784000240345
Cコード 0098
体裁 四六 ・ 上製 ・ 268頁
定価 本体2,400円+税
在庫 在庫あり
聖なるものの概念,恐怖/テロの思想――二つの両義性が導くものとは何か.古代の儀礼から中世の神学,18世紀の崇高思想やフロイト的無意識,そして混迷の現代にいたるテロリズムの系譜を,破壊と創造の弁証法によってたどる.気鋭の批評家イーグルトンが提示する,テロリズムについての斬新な形而上学的アプローチ.文化の限界は超えられるのか.

-

……テロリズムそのものは,その語のいかなる伝統的な意味においても政治的なものではなく,そのため,左翼の慣習的な思考様式に対し挑戦するものとなる.左翼は帝国権力やゲリラ戦争についてならいくらでも語れるが,死や悪や生贄サクリファイスや崇高サブライムなるものに関する思想そのものに対して,総じて当惑するばかりである.しかも,こうした思想ならびに関連した思想は,それ以外の世俗的あるいは物質的概念と同じく,テロのイデオロギーに密接な関係がある.したがって,わたしの最近のいくつかの著作と同様,本書も,右翼の言語に挑戦すると同時に左翼の言語を拡大しようとしている.おそらくこれは,わたしの住んでいる国では,国立の大学が,政治学と形而上学をいっしょに教えてきたからであり,ヘアドレッサーやバスの運転手が,自然法概念や正しい戦争に関する理論について,ちょっとした知識をもつことが,まったくないわけではないからである.

 本書でわたしがたどるのは,古代の儀礼から中世の神学,一八世紀の崇高思想やフロイト的無意識に至る,広範囲のテロリズムの系譜であるが,それは恣意的に見えるだけでなく,あきれるほど非歴史的に見えるかもしれない.もちろん,ここでたどったのが,テロリズムという現象の唯一の前史ではないという意味では,本書は恣意的なものである.また歴史的なものについては,やや図式的な理解しかしていないとい う点においてのみ,本書は,非歴史的であると思う.

(本文「序」より)



第一章 オルギアへの招待

第二章 崇高性の諸状態

第三章 恐怖と自由

第四章 聖人と自死

第五章 生ける死者

第六章 スケープゴート


原注

訳注

訳者あとがき

索引
テリー・イーグルトン(Terry Eagleton)

1943年生まれ.現代イギリスを代表する文学・文化理論家.オックスフォード大学教授,マンチェスター大学教授を経て,現在ランカスター大学教授.著書に,『新版 文学とは何か』(岩波書店),『ポストモダニズムの幻想』(大月書店),『イデオロギーとは何か』(平凡社),『文化とは何か』(松柏社),『宗教とは何か』(青土社),『なぜマルクスは正しかったのか』(筑摩書房新社)など.

大橋 洋一(おおはし よういち)

1953年生まれ.東京大学大学院人文社会系研究科教授.著書に『新文学入門』(岩波セミナーブックス),『現代批評理論のすべて』(編,新書館),訳書にイーグルトン『新版 文学とは何か』,『宗教とは何か』(共訳),サイード『知識人とは何か』(平凡社ライブラリー),『故国喪失についての省察』(共訳,みすず書房),『晩年のスタイル』(岩波書店)など.

書評情報

日本経済新聞(朝刊) 2011年10月9日

関連書籍

ページトップへ戻る