数理統計学の考え方

推測理論の基礎

統計的推測の基礎にある数学的手法や考え方を解説.岩波講座「応用数学」の分冊「統計的方法」の単行本化.

数理統計学の考え方
著者 竹内 啓
ジャンル 書籍 > 自然科学書 > 情報・技術
刊行日 2016/03/10
ISBN 9784000055390
Cコード 3041
体裁 A5 ・ 並製 ・ カバー ・ 146頁
在庫 品切れ
数字データを効率良く正しく分析することは,いまや分野を問わずきわめて重要である.本書はとくに統計的推測に焦点を当て,その基礎にある数学的手法や考え方を解説する.岩波講座『応用数学』の分冊「統計的方法」に若干の補遺を加えて単行本化した.統計科学の基礎や機械学習の基礎を早わかりしたい人に格好の書.


■編集部からのメッセージ
 データ解析,あるいはデータサイエンスといった用語が,学術分野のみならず,ビジネス分野においてもさかんに言及されている.21世紀はデータをいかに活用し,予測をたてるかが分野に限らず,もっとも重要な課題といわれる.そのためデータサイエンティスト養成は喫緊の課題となっている.
 データ解析,すなわち数字データを使って,推測/検定/予測する研究そのものは,昔からおこなわれていて目新しいものではない.しかし,昨今のコンピュータの能力や解析アルゴリズムが飛躍的に向上し,非常に効率良く結果を可視化できるようになったことで,データ解析への関心はかつてないほどの広がりを見せている.
 一方,解析ツールとして,無償の統計ソフトウェアが格段の進歩を遂げたため,誰でも数値さえ入力すれば,たちどころに結果が得られるようになった.そのために,その背後でどのような計算がおこなわれているかを十分理解せずに使用されている場合も少なくない.
 正しくデータ解析したり,あらたな数理モデルを構築しようとしたりするときには,当然のことながら,その計算がどのような数学的基礎に基づいているかを理解するほうが早道である.
 そうは言っても,データ解析に関する専門書はどれも厚く,1冊読み終わるのは至難である.まずもって,何が基本事項なのかも見当つかず読み進めるのは苦行だ.
 本書は,140ページ足らずの小著である.以下のような趣旨のもとに書かれている.
この本を書いた趣旨は,統計的推測の古典理論をできるだけ簡潔に,体系的に説明することであった.そのために統計的データ分析の最も簡単な場合である,1つの母数θについて複数の観測値が存在する場合(およびその直接の拡張である線形回帰モデル)を選び,このモデルに限定して統計的推測理論を体系的に展開することとした.
([まえがき]より)

 このようにデータ解析の一部ではあるが,広く使われている手法の基本となる考え方を早分かりできるように,コンパクトに解説した.機械学習やデータマイニング,統計的因果推論などに従事する方や,これからデータサイエンティストを目指す方には格好の入門書としてお勧めである.
 なお,本書は「岩波講座 応用数学」のなかの「統計的方法」という分冊を,独立の単行本として刊行したものである.
1 統計的推測の概念
2 1つの母数の推定
3 仮説検定
4 線形モデルの解析
竹内 啓(たけうち けい)
1933年生まれ,1956年東京大学経済学部卒業,1961年東京大学大学院経済学研究科博士課程修了.1963年東京大学経済学部助教授,1975-94年同教授.現在は,東京大学名誉教授.専攻は,統計学,経済学,科学技術論.著書・編著に『数理統計学』『統計学辞典』(以上,東洋経済新報社),『偶然とは何か』(岩波新書)ほか多数.
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