ソフトマター物理学入門
テクノロジーを支える柔らかい物質とは?統計力学のコースでは扱わない内容も含め基礎から説明.
ソフトマターとは高分子,液晶,界面活性剤など柔らかい物質の総称である.日常生活に身近であると同時に,今後のテクノロジーを支える物質として注目される.本書はソフトマターの理解を目標に,必要な物理学の基礎を解説する.非平衡ダイナミクスなど通常の統計力学のコースでは扱わない内容も含め丁寧に説明する.
■著者からのメッセージ
ソフトマターとは,高分子,コロイド,液晶,界面活性剤などの柔らかな物質の総称である.われわれが毎日使っているシャンプー,ジェル,クリームなどは界面活性剤や高分子からなるソフトマターである.医療の現場では,人工歯,人工血管,人工皮膚などがソフトマターを利用して作られている.
ソフトマターを理解するためには,粗視化,相転移,自己組織化,非平衡ダイナミクス,など,通常の学部の講義では教えられていない考え方が必要である.これらの考え方はソフトマターだけでなく,物理学をはじめとして化学,材料科学など学問のさまざまな前線で必要とされている.これらの考え方を学ぶには,身近にあるソフトマターは良い具体例となっている.ソフトマターは,非線形・非平衡という特徴を持っており複雑な振る舞いを示す.しかし複雑であっても,物理の原理は働いており,その振る舞いは,100%物理の言葉で理解できるはずのものである.本書を通して,ソフトマターの中にある深く豊かな物理を感じ取っていただければ幸いである.
◆正誤表 ☞PDFファイル[36KB]
1 ソフトマターとは
1.1 高分子
1.2 コロイド
1.3 液晶
1.4 界面活性剤
1.5 ソフトマターの特徴
2 溶液とコロイド分散系
2.1 はじめに
2.2 溶液の熱力学
2.3 溶液の相分離
2.4 格子模型
2.5 コロイド分散系
2.6 コロイドの分散性の制御
付録2-1 デリヤーギン近似
3 高分子溶液
3.1 はじめに
3.2 高分子の理想鎖モデル
3.3 実在鎖のモデル
3.4 高分子溶液
付録3-1 部分平衡自由エネルギー
4 高分子弾性体
4.1 はじめに
4.2 ゴム弾性
4.3 ゲル
付録4-1 大変形弾性論における応力
5 液晶
5.1 はじめに
5.2 液晶の相転移
5.3 ランダウ理論
5.4 秩序パラメータが空間的に変化する系
付録5-1 剛体棒状分子の液晶相転移
付録5-2 ネマチック液晶の秩序パラメータ
6 界面活性剤
6.1 はじめに
6.2 界面の熱力学
6.3 固体基板上の液滴
6.4 界面活性剤
6.5 界面活性剤溶液の自己組織構造
付録6-1 ラプラス圧
7 ブラウン運動と熱ゆらぎ
7.1 はじめに
7.2 並進のブラウン運動
7.3 回転のブラウン運動
7.4 ゆらぎと外場に対する応答
付録7-1 揺動散逸定理の証明
8 非平衡ソフトマターの変分原理
8.1 はじめに
8.2 ストークス流体力学
8.3 ストークス流体力学における変分原理
8.4 一般の非平衡系における変分原理
8.5 多粒子系の運動
付録8-1 ローレンツの相反定理
付録8-2 緩和現象
9 ソフトマターにおける物質拡散
9.1 はじめに
9.2 コロイド分散系の物質拡散
9.3 溶液の相分離
9.4 ゲルの変形と物質輸送
10 ソフトマターの変形と流動
10.1 はじめに
10.2 粘弾性
10.3 レオロジーの基礎
10.4 絡み合いのない高分子液体の粘弾性
10.5 高分子絡み合い系
10.6 棒状高分子溶液
参考文献
索 引
1.1 高分子
1.2 コロイド
1.3 液晶
1.4 界面活性剤
1.5 ソフトマターの特徴
2 溶液とコロイド分散系
2.1 はじめに
2.2 溶液の熱力学
2.3 溶液の相分離
2.4 格子模型
2.5 コロイド分散系
2.6 コロイドの分散性の制御
付録2-1 デリヤーギン近似
3 高分子溶液
3.1 はじめに
3.2 高分子の理想鎖モデル
3.3 実在鎖のモデル
3.4 高分子溶液
付録3-1 部分平衡自由エネルギー
4 高分子弾性体
4.1 はじめに
4.2 ゴム弾性
4.3 ゲル
付録4-1 大変形弾性論における応力
5 液晶
5.1 はじめに
5.2 液晶の相転移
5.3 ランダウ理論
5.4 秩序パラメータが空間的に変化する系
付録5-1 剛体棒状分子の液晶相転移
付録5-2 ネマチック液晶の秩序パラメータ
6 界面活性剤
6.1 はじめに
6.2 界面の熱力学
6.3 固体基板上の液滴
6.4 界面活性剤
6.5 界面活性剤溶液の自己組織構造
付録6-1 ラプラス圧
7 ブラウン運動と熱ゆらぎ
7.1 はじめに
7.2 並進のブラウン運動
7.3 回転のブラウン運動
7.4 ゆらぎと外場に対する応答
付録7-1 揺動散逸定理の証明
8 非平衡ソフトマターの変分原理
8.1 はじめに
8.2 ストークス流体力学
8.3 ストークス流体力学における変分原理
8.4 一般の非平衡系における変分原理
8.5 多粒子系の運動
付録8-1 ローレンツの相反定理
付録8-2 緩和現象
9 ソフトマターにおける物質拡散
9.1 はじめに
9.2 コロイド分散系の物質拡散
9.3 溶液の相分離
9.4 ゲルの変形と物質輸送
10 ソフトマターの変形と流動
10.1 はじめに
10.2 粘弾性
10.3 レオロジーの基礎
10.4 絡み合いのない高分子液体の粘弾性
10.5 高分子絡み合い系
10.6 棒状高分子溶液
参考文献
索 引
土井正男(どい まさお)
1948年生まれ
1970年東京大学工学部物理工学科卒業
1973年東京大学大学院工学研究科物理工学専攻修了
現在 東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻教授
専門:ソフトマター物理学,レオロジー,計算機材料設計
著書:『高分子物理・相転移ダイナミクス』(共著,岩波書店,2000年),『統計力学』(朝倉書店,2006年)他
1948年生まれ
1970年東京大学工学部物理工学科卒業
1973年東京大学大学院工学研究科物理工学専攻修了
現在 東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻教授
専門:ソフトマター物理学,レオロジー,計算機材料設計
著書:『高分子物理・相転移ダイナミクス』(共著,岩波書店,2000年),『統計力学』(朝倉書店,2006年)他