岩波科学ライブラリー 124

地球・環境・人間

環境に関連する統計データは何を語るのか.無機質にみえる数値の裏側で進行する恐るべき現実を読み解く.

地球・環境・人間
著者 石 弘之
ジャンル 書籍 > 自然科学書 > 生態・環境
日本十進分類 > 自然科学
シリーズ 岩波科学ライブラリー
刊行日 2006/10/05
ISBN 9784000074643
Cコード 0336
体裁 B6 ・ 並製 ・ カバー ・ 120頁
在庫 品切れ
食糧不足,絶滅の危機,地球温暖化…….これらの言葉は今や日常化し,深刻さの度合いは深まる一方なのに,私たちの想像力は萎縮している.世界中のあちこちで集計され発表される統計データは何を語るのか.無機質に見える数値の裏側に見え隠れする地球の鼓動の聴き方を長年追跡した著者が解説する.好評『科学』連載に加筆.


■著者からのメッセージ
 第二次大戦が終わって,経済の復興が世界的に浸透してきた1960年代以後,産業の急拡大とともに産業革命よりもさらに大きな変化が広がってきた.今度の主役は米国だった.自然破壊や野生生物の絶滅のみならず,産業施設から排出される汚染大気や排水,膨大な廃棄物だった.それまでは「自然」が保護対象だったのが,人間の活動によってもたらされたさまざまな問題をも含む「環境」として,広く捉えられるようになった.(中略)

 1970年代にはいって,「人間環境」という新たな枠組みができ上がった.人間と環境は別の存在と考えられてきたのが,人間も環境の一部であり両者は運命共同体としてとらえられるようになった.とくに,1972年にスモックホルムで開催された「国連人間環境会議」で,この概念が定着した.(中略)

 「環境」は,もはや「人類の生存や福祉の共通基盤」と認識されるようになった.その後,環境問題は「持続的開発」という新たな概念のもとに集約されつつあるが,「共通基盤」であることはいっそう強く認識されている.
(本書「まえがき」より)
スマトラ沖地震で明るみに出た環境破壊
地球の生態系が危機状況に
狂牛病(BSE)が加速するアマゾン破壊
枯渇する海:漁獲量の減少がはじまった
野鳥の二割が絶滅の危機
中国の建設ラッシュを支える違法木材
どうなっている北朝鮮の環境
エイズ感染者4000万人を超える
初の「高潮難民」の集団移住
アフリカ人はモルモットか
武器取引の規制運動,世界に広がる
宇宙はゴミため
ウミガメの危機
キリマンジャロの雪が消える
世界のスラム人口,10億人を突破

〈地球のあちこちから〉
ダム取り壊しのその後
滅び行く言語
つづく地球温暖化の異常現象
黄砂の当たり年
『世界環境白書』から
石 弘之(いしひろゆき)
1940年東京都生まれ.東京大学卒業後,朝日新聞社に入社.ニューヨーク特派員,科学部次長などを経て編集委員.85~87年国連環境計画(UNEP)上級顧問.94年朝日新聞社退社後,東京大学大学院教授,ザンビア大使を経て,2004年12月より北海道大学公共政策大学院教授.この間,国際協力事業団参与,東中欧環境センター理事などを兼務.国連ボーマ賞,国連グローバル500賞,毎日出版文化賞などをそれぞれ受賞.
著書に,『地球環境報告』『地球環境報告II』『酸性雨』(以上,岩波新書),『子どもたちのアフリカ』(岩波書店),『インディオ居留地』『地球破壊 七つの現場から』『世界の森林破壊を追う-緑と人の歴史と未来』(以上,朝日新聞社),ほか多数.

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