岩波科学ライブラリー 138

新版 活動期に入った地震列島

巨大地震が迫る西南日本の「地震活動期」とは.整備が進む観測網と新発見の解説,震災軽減への提言.

新版 活動期に入った地震列島
著者 尾池 和夫
ジャンル 書籍 > 単行本
書籍 > 自然科学書
書籍 > シリーズ・講座・全集
書籍 > 岩波科学ライブラリー > 宇宙・地球
日本十進分類 > 自然科学
シリーズ 岩波科学ライブラリー
刊行日 2007/12/06
ISBN 9784000074780
Cコード 0344
体裁 B6 ・ 並製 ・ カバー ・ 134頁
在庫 品切れ
次の巨大地震はいつ起こるのか.特に,新たな活動期に入ったとみられる西南日本では,マグニチュード8を超える南海地震・東南海地震の危険が迫っている.1995年の兵庫県南部地震後,めざましく発展した観測網,そこから得られた新たな発見や地震予知の最前線とともに,震災を軽減するために何が必要かを提言する.

■編集部からのメッセージ

気象庁は10月1日から,一般向けの「緊急地震速報」を提供しはじめました.残念ながら(?)これは地震発生を事前に知る「予知」ではありませんが,地震が発生した直後に遠くの揺れを予測し,揺れはじめる前に素早く情報を伝える,世界初の試みです.この画期的なシステムが可能になった理由のひとつは,1995年の兵庫県南部地震のあと,地震観測ネットワークが全国規模で整備されたことです.

 こうした観測体制の整備が急がれたのは,兵庫県南部地震の被害が甚大だったことに加えて,この地震以後,西南日本が「地震活動期」に入ったと考えられるからです.

 約30年前から,静岡県沖で想定される東海地震が特に注目されてきました.しかし,西南日本の太平洋沖にある南海トラフと呼ばれる場所でも,東南海地震・南海地震というマグニチュード8クラスの巨大地震が,これまで繰り返し発生してきたのです.この2つの地震は100年程度の周期で,ほぼ同時期に起きることもわかっています.そして南海トラフで大地震が最後に発生してから,すでに60年以上が過ぎているのです.

 本書は,旧版の刊行から約12年間の研究・観測の進展状況をふまえ,新たに2つの章を追加して新版としたものです.地震のしくみ,プレートや活断層などの基本的なことをわかりやすく解説し,さらに地震活動期とは何か,そこから何が見えてくるのかを明らかにします.そして最後に,次の大地震を迎えるまでに私たちが何をすべきかを提言します.
1 地震のしくみ
地震からわかる地球の中の動き/日本列島周辺のプレート境界/日本列島の地震/内陸地震と活断層/震源と断層

2 活断層が動くと……
濃尾地震の断層/活断層の密集地域/1990年フィリピン地震の断層/活断層をまたいだ家/強震動による被害/地盤の液状化/地震による災害

3 都市直下型地震――兵庫県南部地震のしくみ
地震前夜の活断層帯/本震発生!/強震動の記録/まず身を守る/情報の発信と受信/直後の余震と活断層の動き/震度七の地域/六甲山は動いたか/隣接地域への連鎖反応

4 余震と大地震の連鎖
長期間続く余震/大きな余震の予報/広義の余震/大地震の連鎖

5 新たな地震活動期の始まり
地震史料/西南日本の地震活動期/21世紀前半の巨大地震/地震活動期を迎えた日本列島/兵庫県南部地震その後地震年表 西南日本―南海トラフの地震連鎖

6 日本列島の地震観測網と研究成果
地震観測体制の整備と観測網の展開/アスペリティとゆっくり地震/地震の長期予報

7 地震予知と震災の軽減へ向けて
緊急地震速報の活用/地震予知と前兆現象の科学/「地震・火山庁」の設置/「活断層法」の制定

新版へのあとがき
尾池和夫(おいけ かずお)
1940年東京生まれ.1959年私立土佐高等学校卒業.1963年京都大学理学部地球物理学科卒業.1988年から京都大学教授(地震学).1997~98年度京都大学大学院理学研究科長,理学部長を兼任.2001年から京都大学副学長を兼任.2003年12月より京都大学総長(任期は2008年9月まで).京都大学理学博士.日本学術会議連携会員.
著書に『中国の地震予知』(日本放送出版協会),『地震発生のしくみと予知』(古今書院),『日本地震列島』(朝日新聞社),『俳景――洛中洛外・地球科学と俳句の風景』(宝塚出版)などがある.
ホームページ:http://homepage2.nifty.com/cat-fish/

書評情報

化学 Vol.63 No.6(2008年6月)
京都民報 2008年5月4日
Jレスキュー 2008年4月号
神戸新聞(朝刊) 2008年2月17日
FRIDAY 2008年2月1日号
京都新聞(朝刊) 2008年1月13日
朝日新聞(朝刊) 2007年12月19日
産経新聞(朝刊) 2007年12月18日
京都新聞(朝刊) 2007年12月7日

同じシリーズの書籍

ページトップへ戻る