岩波科学ライブラリー

アストロバイオロジー

宇宙が語る〈生命の起源〉

《生命》はいつ,どのように誕生したのか? 近年の宇宙探査による数々の発見から,生命誕生の謎に迫る.

アストロバイオロジー
著者 小林 憲正
通し番号 147
ジャンル 書籍 > 自然科学書 > 岩波科学ライブラリー
書籍 > 岩波科学ライブラリー > 宇宙・地球
日本十進分類 > 自然科学
シリーズ 岩波科学ライブラリー
刊行日 2008/08/06
ISBN 9784000074872
Cコード 0344
体裁 B6 ・ 並製 ・ カバー ・ 134頁
在庫 品切れ
人類に残された最大の謎──《生命》はいつ,どのように誕生したのか? 20世紀末から本格化した宇宙探査は,生命と密接に関わる分子や環境が,宇宙に普遍的であることを明らかにしつつある.地球生命はもはや「特別な存在」ではない.生命誕生をめぐる宇宙の旅に出かけ,火星やハレー彗星,暗黒星雲が語る言葉に耳を傾けよう.


■編集部からのメッセージ
 いつ、どこで、どのようにして生命は誕生したのだろうか?
 これは宇宙や人類(≒知性を持った生命)の起源とともに、私たちに残された最大の謎だ。ただ、生命誕生は地球上で「過去に一度だけ」起きたことで、その起源の推定はできても確証までは得られない可能性が高いと考えられてきた。
 ところが20世紀末から宇宙探査が本格化すると、生命に関連するアミノ酸などの分子や、大気や水を持った惑星・衛星が次々と発見されるなど、宇宙を舞台 にして多くの新事実がわかってきた。もはや生命研究の対象は、地球という「特別な星」にとどまらない。
 こうした新たな知見から、地球に限定した従来の生物学・生命科学の枠を超え、生命の起源と地球外生命の問題とが融合した、「アストロバイオロジー」という新しい学問領域が生まれてきた。
 生命の誕生と進化の秘密は、宇宙が知っている!
第1章 地球生命科学からアストロバイオロジーへ
白鳥の首とパストゥール/生命は「自然発生」するか?/「生命の起源」の起源/パンスペルミア説/オパーリン、ホールデン、そしてミラーへ/生命とは何か/宇宙から生命を考える/宇宙生命科学の始まり/レーダーバーグと「圏外生物学」/アストロバイオロジーの誕生
  コラム アストロバイオロジーは宇宙生物学?

第2章 〈生命の起源〉への挑戦
メリーランド大学化学進化研究所/「原始地球」を再現したミラーの実験/ミラーに続け!/核酸の材料をつくる/タンパク質、核酸への道のりを探る/生命はRNAから始まった?/二つのアプローチ/最古の化石を探して/生命はいつ誕生したか/地球生物みな兄弟/オリジンズ・オブ・ライフ
  コラム 「共通の祖先」はお風呂好き?

第3章 隕石が語ること――宇宙から降り注ぐアミノ酸
奇跡の年・一九六九年/隕石中に生物を発見?/マーチソン隕石中のアミノ酸/隕石中のタンパク質・核酸の成分/左手型アミノ酸の偏りの謎/隕石中に見つかった左手型アミノ酸の過剰/左手型アミノ酸の過剰を増幅する/隕石中の複雑有機物とその起源

第4章 彗星が語ること――暗黒星雲で生まれる有機物
ハレー彗星の正体を見た!/ハレー彗星中の有機物/彗星はどこから来たか/冥王星は彗星の兄貴分/二一世紀の彗星探査(1)――ディープインパクト/二一世紀の彗星探査(2)――スターダスト/彗星・隕石の有機物はどこでできたか/暗黒星雲での有機物生成を確かめる/左手型アミノ酸の起源は中性子星?/「アミノ酸前駆体」がカギ/超新星爆発とパリティ非保存に基づく新説/生命の起源と彗星

第5章 火星が語ること――地下に生物圏を探せ
一九三八年、火星人襲来!/スキャパレリが見た「運河」/火星探査の始まり/ヴァイキング計画/ヴァイキング生物学実験/ヴァイキングでわかったこと、わからなかったこと/火星隕石ALH84001の衝撃/ふたたび火星を目指せ/火星生命の本丸へ/火星地下生物のモデル――地球の地下生物圏/火星生命を地下に探す/有機物分析法と顕微蛍光法/火星の生命探査の意義
  コラム 幻の「バック・トゥ・マーズ・トゥゲザー」

第6章 エウロパが語ること――氷の下のハビタブルゾーン
太陽系のハビタブルゾーン/ボイジャー計画と木星・土星の衛星たち/イオの火山とエウロパの氷/ガリレオ探査機によるエウロパ探査/エウロパの海の意義/エウロパのモデル(1)――ボストーク湖/エウロパのモデル(2)――海底熱水噴出孔/海底熱水噴出孔と生命の起源/エウロパと地球生命

第7章 タイタンが語ること――メタンの湖とエンケラドス
地球は青かった/ボイジャー探査機による観測/原始地球のモデル?/大気中の有機分子と「ソーリン」/タイタンのアミノ酸/液体メタンの「湖」/タイタンと生命/アンモニア水中の生命/液体メタン中の生命/新たなターゲットはエンケラドス/サーフ・タイタンかダイブ・エウロパか


第8章 生命の〈起源〉と〈未来〉
生命の起源の謎と宇宙/最初の生命はRNAだった?/ダイソンとカルビンのシナリオ/がらくたワールド/がらくたワールドからみた〈生命〉と〈非生命〉/パンスペルミア説復活/国際宇宙ステーションでの微生物採集――たんぽぽ計画/「知的生命」を探せ/生物の大絶滅/アストロバイオロジーからみた惑星環境問題/アストロバイオロジーと生命の地動説

あとがき
小林憲正(こばやし けんせい)
1954年愛知県生まれ。82年、東京大学大学院理学研究科博士課程修了。同年、米国メリーランド州立大学化学進化研究所研究員。87年、横浜国立大学工学部講師。2003年から横浜国立大学大学院工学研究院教授。理学博士。専門は分析化学、アストロバイオロジー。「国際生命の起源学会」評議員、「生命の起原および進化学会」会長、「日本宇宙生物科学会」副会長などを歴任。主な共著書に『宇宙と生命の起源――ビッグバンから人類誕生まで』(岩波書店)、『自然の謎と科学のロマン・下――生命と人間編』(新日本出版社)などがある。

書評情報

読売新聞(朝刊) 2011年1月30日
天文月報 2009年3月号
現代化学 2008年12月号

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