岩波科学ライブラリー
細胞寿命を乗り越える
ES細胞・iPS細胞,その先へ
ヒトの手で,細胞を若返らせる時代が来た.先人たちの試行錯誤の軌跡を辿り,再生医療の行く末を展望する.
著者 | 帯刀 益夫 著 , 杉本 正信 著 |
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通し番号 | 164 |
ジャンル | 書籍 > 自然科学書 > 岩波科学ライブラリー 書籍 > 岩波科学ライブラリー > 生命・医学 日本十進分類 > 自然科学 |
シリーズ | 岩波科学ライブラリー |
刊行日 | 2009/11/06 |
ISBN | 9784000295642 |
Cコード | 0345 |
体裁 | B6 ・ 並製 ・ カバー ・ 126頁 |
在庫 | 品切れ |
iPS細胞がもたらした最大の衝撃は,細胞が「若返った」ことにある.しかしつい半世紀前には,細胞が老いて寿命を迎えることすら非常識だった.細胞寿命の「発見」からその操作に至る一連の研究の中心には,ノーベル賞で話題のテロメアがあり,はたまたがん細胞もある.若返りの<秘薬>を手にして,ヒトの体はどこへ向かうのか.
■著者からのメッセージ
不老不死の秘薬を求め,日本に使者を遣わしたと伝えられる秦の始皇帝.もし今日,彼が生きていたとすれば,自らに再生医療を施すように命じたことは間違いないでしょう.彼の求めていた秘薬は,iPS細胞であったのかもしれません.
というのも,からだの細胞を若返らせてできたのが,iPS細胞だからです.iPS細胞といえば,そのたぐいまれなる再分化能力が強調されがちですが,本質的なポイントであり,何より画期的だったのは,「老いて死ぬ」運命にある細胞から「老いることなく生き延びる」細胞への転換が実現したことなのです.
では,老いるとは何でしょうか.細胞が老いるとは,どういうことなのでしょうか.細胞の老いと私たちのからだの老いは,どのようにかかわっているのでしょうか…….
「老いの発見」から「若返り」まで.長年,細胞の研究に携わってきた著者らが,ノーベル賞で今話題のテロメアを鍵として一気に紐ときます.
■著者からのメッセージ
不老不死の秘薬を求め,日本に使者を遣わしたと伝えられる秦の始皇帝.もし今日,彼が生きていたとすれば,自らに再生医療を施すように命じたことは間違いないでしょう.彼の求めていた秘薬は,iPS細胞であったのかもしれません.
というのも,からだの細胞を若返らせてできたのが,iPS細胞だからです.iPS細胞といえば,そのたぐいまれなる再分化能力が強調されがちですが,本質的なポイントであり,何より画期的だったのは,「老いて死ぬ」運命にある細胞から「老いることなく生き延びる」細胞への転換が実現したことなのです.
では,老いるとは何でしょうか.細胞が老いるとは,どういうことなのでしょうか.細胞の老いと私たちのからだの老いは,どのようにかかわっているのでしょうか…….
「老いの発見」から「若返り」まで.長年,細胞の研究に携わってきた著者らが,ノーベル賞で今話題のテロメアを鍵として一気に紐ときます.
――本書「はじめに」より抜粋,一部変更
はじめに
1 ヒトはなぜ老いて死ぬのか
生物進化における位置づけ/個体の寿命とは/多産多死と少産少死/老後の時間をもてる幸せ/老化――私たちのからだに何が/現代文明のたまもの?/老化は遺伝子に支配されるか/おばあちゃん仮説/早く老いる病
2 細胞の寿命と老化
細胞分裂という難事/細胞の老化をめぐって/カレルのドグマ/ヘイフリックの執念/時をはかるテロメア/細胞の寿命と個体の寿命/マウスとヒトの驚くべき違い
3 細胞のがん化――老化の果てに,永遠のいのち
発がんと遺伝子/がん細胞への道――試験管内の場合/がん細胞への道――臨床的証拠/なぜ歳をとるとがんになりやすくなるか/がん化経路のまとめ
4 細胞寿命を乗り越える
ES細胞――まだ若いから,何にでもなれる/本当に死なないのか?/クローンES細胞――卵の中で,大人の核が若返る/クローン動物はなぜ短命か/ヒトのクローンES細胞/iPS細胞――ついに体細胞が若返った/四つの遺伝子/四つの遺伝子はすべて必要か/お膳立て仮説/陰の主役?テロメア
5 若返り細胞,老いに挑む
iPS細胞の移植による治療をめざして/特定の病気のiPS細胞をつくる/医薬品開発のスクリーニング/未分化な細胞の利用/体の中にあるままで
6 応用実現のための課題
全能性細胞を安定的に維持するには/再分化誘導にあたって/iPS細胞特有の利点と問題点
7 細胞寿命の操作はどこまで許されるのか
iPS細胞の社会的受容/「夢」の裏側/体外で生き続ける細胞たち/iPS細胞は誰のものか?/そしてクローン人間/不安は取り除けるか/あくまで,しあわせに老いるために
あとがき
1 ヒトはなぜ老いて死ぬのか
生物進化における位置づけ/個体の寿命とは/多産多死と少産少死/老後の時間をもてる幸せ/老化――私たちのからだに何が/現代文明のたまもの?/老化は遺伝子に支配されるか/おばあちゃん仮説/早く老いる病
2 細胞の寿命と老化
細胞分裂という難事/細胞の老化をめぐって/カレルのドグマ/ヘイフリックの執念/時をはかるテロメア/細胞の寿命と個体の寿命/マウスとヒトの驚くべき違い
3 細胞のがん化――老化の果てに,永遠のいのち
発がんと遺伝子/がん細胞への道――試験管内の場合/がん細胞への道――臨床的証拠/なぜ歳をとるとがんになりやすくなるか/がん化経路のまとめ
4 細胞寿命を乗り越える
ES細胞――まだ若いから,何にでもなれる/本当に死なないのか?/クローンES細胞――卵の中で,大人の核が若返る/クローン動物はなぜ短命か/ヒトのクローンES細胞/iPS細胞――ついに体細胞が若返った/四つの遺伝子/四つの遺伝子はすべて必要か/お膳立て仮説/陰の主役?テロメア
5 若返り細胞,老いに挑む
iPS細胞の移植による治療をめざして/特定の病気のiPS細胞をつくる/医薬品開発のスクリーニング/未分化な細胞の利用/体の中にあるままで
6 応用実現のための課題
全能性細胞を安定的に維持するには/再分化誘導にあたって/iPS細胞特有の利点と問題点
7 細胞寿命の操作はどこまで許されるのか
iPS細胞の社会的受容/「夢」の裏側/体外で生き続ける細胞たち/iPS細胞は誰のものか?/そしてクローン人間/不安は取り除けるか/あくまで,しあわせに老いるために
あとがき
帯刀益夫(おびなた ますお)
1943年長野県生まれ.1971年東京大学大学院薬学研究科博士課程修了.薬学博士.(財)癌研究所研究員,東京大学薬学部助教授,東北大学加齢医学研究所教授,同所長などを歴任.現在は,東北大学名誉教授.専門は細胞生物学.著書に『加齢医学』(編著,東北大学出版会),『細胞の分化』(サイエンス社)など.
杉本正信(すぎもと まさのぶ)
1943年東京都生まれ.1971年東京大学大学院薬学研究科博士課程修了.薬学博士.国立予防衛生研究所病理部主任研究官,ハーバード大学医学部微生物学・分子遺伝学部門研究員,(株)ジーンケア研究所副所長などを務める.現在はフリーライター.専門は細胞生物学.著書に『老化と遺伝子』(共著,東京化学同人),『人は何歳まで生きられるか』(新書館)など.
1943年長野県生まれ.1971年東京大学大学院薬学研究科博士課程修了.薬学博士.(財)癌研究所研究員,東京大学薬学部助教授,東北大学加齢医学研究所教授,同所長などを歴任.現在は,東北大学名誉教授.専門は細胞生物学.著書に『加齢医学』(編著,東北大学出版会),『細胞の分化』(サイエンス社)など.
杉本正信(すぎもと まさのぶ)
1943年東京都生まれ.1971年東京大学大学院薬学研究科博士課程修了.薬学博士.国立予防衛生研究所病理部主任研究官,ハーバード大学医学部微生物学・分子遺伝学部門研究員,(株)ジーンケア研究所副所長などを務める.現在はフリーライター.専門は細胞生物学.著書に『老化と遺伝子』(共著,東京化学同人),『人は何歳まで生きられるか』(新書館)など.
書評情報
エンカレッジ生物 2014年9月号
読売新聞(朝刊) 2010年5月30日
化学 Vol.65 No.4(2010年4月)
現代化学 2010年4月号
理科教室 2010年2月号
Medical Bio 2010年1月号
毎日新聞(朝刊) 2009年12月22日
読売新聞(朝刊) 2010年5月30日
化学 Vol.65 No.4(2010年4月)
現代化学 2010年4月号
理科教室 2010年2月号
Medical Bio 2010年1月号
毎日新聞(朝刊) 2009年12月22日