岩波科学ライブラリー 169

にっぽん自然再生紀行

散策ガイド付き

各地の「自然再生」の現場を訪ね,ともに汗を流す.保全生態学者が贈る,〈これからのエコツアー〉への誘い.

にっぽん自然再生紀行
著者 鷲谷 いづみ
ジャンル 書籍 > 単行本
書籍 > 自然科学書
書籍 > シリーズ・講座・全集
書籍 > 岩波科学ライブラリー > 生態・環境
日本十進分類 > 自然科学
シリーズ 岩波科学ライブラリー
刊行日 2010/04/07
ISBN 9784000295697
Cコード 0345
体裁 B6 ・ 並製 ・ カバー ・ 126頁
在庫 品切れ
希少植物の息づく谷へ,外来種の猛威にさらされる河原へ,「樹木葬」の現場へ…….いまや崩壊の危機にある自然を再生し,生物多様性を取り戻すべく立ち上がった人々を各地に訪ね,生きもののにぎわいの中で共に汗を流す.保全生態学の第一人者が贈る,〈これからのエコツアー〉への誘い.旅行や活動への参加に役立つガイドつき.

■著者からのメッセージ

最近,日本列島は,国際NGOのコンサベーション・インターナショナルによって生物多様性ホットスポットと認定された.生物多様性ホットスポットとは,地球規模でみて生物多様性が高いにもかかわらずもっとも大きな破壊の危機に瀕しており,優先的に保護・保全すべき地域のことである.現在,全世界で34カ所(合計面積は地表面積の2.3%)が選定されている.日本が選ばれたのは,温帯の先進国でありながら植物や両生類などの多様性と固有性を誇る一方,不名誉なことに,その喪失の危機が急激に高まっているからだ.
 しかし,それに抗う確かな動きも,日本中で胎動を始めている.水辺や田んぼや里山を,多様な恵みと幸を享受できる場として蘇らせる実践,失われた生態系の健全性と動植物の豊かさを取り戻すための事業,そして何よりも,自然と響きあうことのできる心を蘇らせようとする「自然再生」の試みである.
 旅人として各地を訪れ,人類の活動領域としてはまったく新しい実践である「自然再生」に挑戦しはじめた人々と語り合ってみたい.その熱き想いに共鳴し,知恵と工夫を学び合い,活動現場と心の中の両方に蘇りつつある自然を実感してみたい.水田に舞い降りる優美な白い鳥,水面を埋め尽くす黄色い花,澄んだ水に揺らめく水草の間をすいすい泳ぐ小さな魚,そして,子どもたちの笑顔と大人たちの真剣な顔…….
 桜散る頃,そんな出会いを求めて旅立った.足の向くまま気の向くままに,「自然再生紀行」へと.
――本文「プロローグ」より抜粋

■編集部からのメッセージ

今,日本の生きものたちを取り巻く状況はけっして明るいものではありません.しかし,本書は何より,「再生」への萌芽であふれています.折しも2010年は,国際生物多様性年.“生きもののにぎわい”再生への期待を込めて,本書はひたすらに明るく,春らしくまとめてみました.
 ぜひ,本書を片手に「再生」の地を訪ねてみてください.地図も,著者ならではの現地のおすすめ情報もあります.現地を歩いて,地のものを味わって,そしてできることなら“協働”作業に参加していただいて,生きものたちのいまを見つめるきっかけにしていただければ,幸いです.

■編集部からのメッセージ

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鷲谷いづみ(わしたに いづみ)
1950年東京生まれ.1978年,東京大学大学院理学系研究科修了(理学博士).筑波大学講師,助教授を経て,東京大学大学院教授(大学院農学生命科学研究科).専門は生態学・保全生態学.著書に『絵でわかる生態系のしくみ』(講談社),『自然再生――持続可能な生態系のために』(中央公論新社),『サクラソウの目――保全生態学とは何か』(地人書館),『天と地と人の間で――生態学から広がる世界』(岩波書店),『保全生態学の技法――調査・研究・実践マニュアル』(共編著,東京大学出版会)など.

書評情報

週刊朝日 2010年6月11日号
理科教育ニュース 第788号(2010年6月8日)
山陽新聞(朝刊) 2010年6月1日
信濃毎日新聞(朝刊) 2010年5月23日
北海道新聞(朝刊) 2010年5月23日
日本農業新聞 2010年5月19日
福島民友 2010年5月8日

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