岩波科学ライブラリー 172

寄り道の多い数学

身の回りの話題や先端科学をヒントに作った一風変わった問題たちとその背景を紹介しながら数学の魅力を語る.

寄り道の多い数学
著者 大沢 健夫
ジャンル 書籍 > 単行本
書籍 > 自然科学書
書籍 > シリーズ・講座・全集
書籍 > 岩波科学ライブラリー > 数学
日本十進分類 > 自然科学
シリーズ 岩波科学ライブラリー
刊行日 2010/07/08
ISBN 9784000295727
Cコード 0341
体裁 B6 ・ 並製 ・ カバー ・ 130頁
在庫 品切れ
土星の輪,フラーレン,伝票入力のミス,動く列車から見た風景.身の回りの話題や先端科学をヒントに,数学が好きな中高生のために作った一風変わった問題たち.これらの問題の背景を紹介しながら解答を与える.ときにあちこち道草するように,興味深い歴史上の人物の逸話や著者の経験を交えて数学の楽しさや魅力を語る.

■著者からのメッセージ

数学には寄り道がいっぱい必要だと思う.だからこの本を書いた.もっと有り体に言うなら,寄り道の多い人生を歩んできた数学者の端くれとして,多少とも世間に広く訴えたいことがあったからである.
 文化というものは,高く飛翔しうる自由な精神によって創られる.「寄り道」は,そんな精神が練習を積むための止まり木である.
 数学の世界の探究も,寄り道だらけの放浪なしでは不可能である.いったん理論が完成すれば,その痕跡はきれいにぬぐい去られてしまうのではあるが.
 なかなか高みに昇れず森の上を木々すれすれに徘徊するばかりの筆者にとっては,ほとんど「寄り道=目的地」である.したがって,「それならそれでもよいではないか」が筆者の本音となる.
 それはそれとしても,筆者にとって,研究の途上で寄り道に明け暮れた日々の心の綾は,ずっと心の片隅に残る大切な思い出である.そして,気恥ずかしくて書けないそのようなものの中にこそ,文化としての数学の本体があるとも思えるのである.
――「あとがき」より
大沢健夫(おおさわ たけお)
1951年富山県生まれ.京都大学理学部卒業.1978年同大学理学研究科修了,理学博士.京都大学数理解析研究所助手,講師,助教授を経て,現在,名古屋大学教授.日本数学コンクール実行委員.専門は多変数複素解析.2000年度の幾何学賞(日本数学会)を受賞.著書として『多変数複素解析』(岩波書店),『複素解析幾何とディーバー方程式』(培風館).

書評情報

しんぶん赤旗 2010年10月17日

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