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岩波科学ライブラリー 182

ペンギンのしらべかた

この奇妙な鳥は,その生態も不思議だらけ.研究者たちの試行錯誤を通してペンギン研究の最前線を紹介.

ペンギンのしらべかた
著者 上田 一生
通し番号 182
ジャンル 書籍 > 自然科学書 > 岩波科学ライブラリー
書籍 > 岩波科学ライブラリー > 生態・環境
日本十進分類 > 自然科学
シリーズ 岩波科学ライブラリー
刊行日 2011/07/15
ISBN 9784000295826
Cコード 0345
体裁 B6 ・ 並製 ・ カバー ・ 128頁
在庫 品切れ
人気も知名度も抜群の奇妙な鳥,ペンギン.泳ぎかた,食べかたなど,その生態も不思議だらけだ.それらは,どうやって明らかになったのか.凍てつく海で小型ボートに乗って,群れを追いかける.小型発信機をつけて潜ってもらう.識別のために毛染めする.研究者たちの試行錯誤と喜怒哀楽を通して,ペンギン研究の最前線を紹介する.


■著者からのメッセージ
 ペンギンを知らない人はいない.
 そう断言してもいいくらい,この奇妙な鳥は知名度が高い.テレビでその生態が紹介されることも多く,コマーシャルや企業のイメージキャラクターとしても頻繁に登場する.「ペンギン本」も多い.大きな図書館や書店では,写真集や絵本,図鑑や専門書などが書棚の一角を占領していることがある.日本の動物園や水族館では「定番動物」の一つだ.(中略)
 でも,どうしてペンギンはこんなに研究者に人気があるのだろう.
 この生き物の研究が「お金になる」とは思えない.昔は,この鳥から油をとって一儲けしていた人間がいた.今は世界に一八種類いるペンギンのすべてが保護されているから,それは無理だ.
 ある研究者は「美しいからだ」という.別の者は「謎が多いからだ」という.さらに「最先端の計測機器をとりつけやすい」ことに魅力を感じている者もいる.そうして得られたデータを総合すると「地球環境が見えてくる」,そう主張する者も少なくない.また,「絶滅しそうなペンギンの保全に貢献したい」と熱望する人々もいる.こうした,さまざまな情熱に支えられながら,「ペンギン学」はますます興隆しつつある.
 この本の目的は,そんな研究者たちの背中を追いかけながら,ここ二十数年間の研究で明らかになった,ペンギンに関する新しい知見を紹介することにある.しかし,専門的な学問領域にはあまりこだわらないことにする.
 ペンギンへの止みがたい情熱につき動かされた研究者たちが,どのようにこの鳥にたどりつき,どのように「泳ぎかた」「食べかた」「暮らしかた」などを調べ,この生き物との「つきあいかた」を考えてきたのか.
 ペンギンと,それに魅せられた人々との交流から得られた「ペンギン生物学」の成果をお楽しみいただきたい.
――「はじめに」より
はじめに

プロローグ ペンギンにたどりつく
 荒海の通過儀礼
 南極へひとっ飛び

1 捕まえかた
 ペンギンは逃げない
 ボン・ボヤージ
 暴挙
 ハイテクを支えるローテク
 白髪染めの「大人買い」

2 泳ぎかた
 テレメトリー
 装置の小型化
 マイクロ・データロガー
 理想的流線型
 体型以外の要素
 グライディング浮上

3 食べかた
 なにをどれくらい食べているのか?
 大食いの証明
 フンと食べ残しに注目する
 フラッシング法
 どこで食べているのか?
 沿岸型と外洋型
 冷たい海と温かい海

4 旅のしかた
 太陽コンパス
 トレジャー号事件
 追い上げ漁

5 見分けかた
 赤いペンギン
 フリッパーバンド
 自動化フィールド
 「顔認証システム」で大量識別
 大量自動個体識別システム
 オレンジのパッチ

6 暮らしかた
 イワトビペンギンの「方言」
 イワトビペンギンの暮らし
 森暮らし
 砂漠暮らし
 人里暮らし

7 見守りかた
 漂流する巨大氷山
 アデリーペンギンは絶滅してしまうのか?
 長期個体数変動
 どうやって数えるか?

エピローグ

あとがき

参考文献・参考サイト
上田一生(うえだ かずおき)
1954年,東京生まれ.國學院大學文学部史学科卒業.ペンギン会議研究員,目黒学院高等学校教諭.
主な著書に『ペンギンは歴史にもクチバシをはさむ』 『ペンギンの世界』(以上,岩波書店),『ペンギン図鑑』(文溪堂),『ペンギン コレクション』(平凡社).訳書にトニー・D・ウィリアムズ他 『ペンギン大百科』(平凡社,共訳)など多数.

書評情報

理科教室 2012年10月号
My Vision 中3 2011年12月号
日本経済新聞(夕刊) 2011年9月21日
化学 Vol.66 No.9(2011年9月)
AERA 2011年8月29日号
公明新聞 2011年8月22日

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