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岩波科学ライブラリー

サバからマグロが産まれる!?

世界中で生息数が激減するクロマグロを増やしたい.魚をこよなく愛する研究者たちのユニークな挑戦を紹介.

サバからマグロが産まれる!?
著者 吉崎 悟朗
通し番号 231
ジャンル 書籍 > 自然科学書 > 岩波科学ライブラリー
書籍 > 岩波科学ライブラリー > 情報・技術
日本十進分類 > 自然科学
シリーズ 岩波科学ライブラリー
刊行日 2014/10/29
ISBN 9784000296311
Cコード 0345
体裁 B6 ・ 126頁
在庫 品切れ
クロマグロの生息数が激減するなか,サバを代理の親にして増やそうという研究が進められている.この技術は応用の幅が広く,すでにクニマスをはじめとする国内外の魚類の保全にも実用化されている.魚をこよなく愛する研究者たちの試練と発見に満ちた挑戦を紹介する.


■編集部からのメッセージ
 マグロは,「ツナ」や「トロ」といったさまざまな形で毎日の食卓に並ぶことが多い魚のひとつです.いま,このクロマグロをはじめとする世界中のマグロたちが過剰漁獲によって生息数を減らしています.
 獲り過ぎて減ってしまったマグロたちの数をどうにかして増やせないか,それも卵から100キロにもなる親マグロまで一貫して育てる完全養殖とはまったく異なった形で,という試みが15年も前から行われています.それが目からウロコ,ならぬサバからマグロという研究です.
 著者の研究グループはサバ類というマグロの近縁種をつかった増殖を試みています.そこでカギとなるのが「生殖細胞」という精子や卵のもとになる細胞です.この細胞をつかうことで魚でも代理の親による借り腹増殖が可能になりました.種は違いますが,すでにサケやマスの仲間ではこの手法が確立されています.また,この技術を応用して,数年前に山梨県の西湖で「再発見」されて話題になったクニマスやアメリカのベニザケなど,国内外の絶滅危惧種の保全にも取り組んでいます.
 人間活動によって絶滅の瀬戸際にまで追いやられてしまった魚たちをなんとか救うことができれば――.魚への愛と使命感に燃える研究者たちの熱い挑戦から目が離せません.
 はじめに

1 サバにマグロを産ませる!?
世界のマグロが減っている/減ってしまったマグロを増やしたい/サバをマグロの代理親にできないか/サバにマグロを産ませるには

2 どうやってサバにマグロを産ませるか
始原生殖細胞に着目/vasa遺伝子に注目!/クラゲの力を借りて細胞を光らせる/人類で初めて魚の始原生殖細胞を見た!?

3 ヤマメがニジマスを産んだ!
お腹を借りる技術/始原生殖細胞が歩く!?/ついにヤマメがニジマスを産んだ!/なぜ始原生殖細胞に着目したのか

4 精巣から卵? 卵巣から精子?
精原細胞でやってみよう/精子だけじゃなくて,卵にもなる!/卵原細胞も精子になる??/ニジマスしか産まないヤマメをつくる/奇跡の逆転ホームラン

5 希少魚を救うために
生殖細胞を凍結してセーフティネットを/西湖のクニマスを守れ!/レッドフィッシュレイクのベニザケ/一本の国際電話から共同研究へ/サケの溯上のためにダムを爆破するアメリカ

6 20XX年,ついに●●がマグロを産んだ!
サバがマグロを産む日/亜熱帯のサバを代理親に?/マグロの生殖細胞を大量に供給するための新たな挑戦

7 おわりに
遺伝子を見るコテコテの魚飼い/マグロが大海原を泳ぎ回る日を夢見て

 あとがき――心のふるさと,大泉
吉崎悟朗(よしざき ごろう)
1966年鎌倉市生まれ.1993年東京水産大学(現 東京海洋大学)水産学研究科博士課程修了.博士(水産学).米国テキサス工科大学農学部博士研究員,東京水産大学資源育成学科助手を経て,現在,東京海洋大学大学院海洋科学技術研究科教授.専門は魚類発生工学および魚類繁殖生理学.
著書に,『動物発生工学』(共著,朝倉書店),『世界の食料・日本の食料』(共著,養賢堂),『いざ“生”の扉へ:クローンとエピジェネティクスの新展開』(共著,アドスリー,発売・丸善出版)ほか
趣味:釣り.時間が取れる週末は,いつも釣り竿を片手にボートで大海原に浮かんでいます.

書評情報

ベクトルライフ 2015年5月号
理科教室 2015年3月号
HONZ 2014年12月12日掲載

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