岩波科学ライブラリー 92

小鳥の歌からヒトの言葉へ

オスがメスの気を惹くために,より華麗な歌を歌おうとして文法が発達した-大胆仮説で言語進化の謎にいどむ.

小鳥の歌からヒトの言葉へ
著者 岡ノ谷 一夫
ジャンル 書籍 > 単行本
書籍 > 自然科学書
書籍 > シリーズ・講座・全集
書籍 > 岩波科学ライブラリー > 人間・心理
日本十進分類 > 自然科学
シリーズ 岩波科学ライブラリー
刊行日 2003/06/27
ISBN 9784000065924
Cコード 0380
体裁 B6 ・ 並製 ・ カバー ・ 126頁
在庫 品切れ
ジュウシマツの歌に耳を傾けたことがあるだろうか.なにげなく聞き流しているうちはいつも同じに聞こえるが,じつは意外に複雑で,なんと「文法」があることが発見された.この「文法」は,オスがメスの気を惹くために,より華麗な歌を歌おうとして発達したのではないか? 人間言語の起原もひょっとしたら….大胆仮説で言語進化の謎にいどむ.

■著者からのメッセージ

動物と音楽とコンピュータが好きだった.ぜんぶ足した研究がしたいと思った.ジュウシマツの歌に魅せられて14年になる.歌の複雑さが異性の好みで進化し,それが脳構造をも変化させ,歌が文法をもつようになった.ヒトの言語も同様な過程をたどったのでは,と考えてみたら研究が思わぬ方向に進み,いつの間にか言語起源の研究に足を踏み入れてしまった.

たくさんの学生たちと実験をし,たくさんの同僚・先輩からアドバイスをもらった.その過程を少しずつ書いていったのがこの本である.まだそんな年齢ではないつもりだが,自伝のようにもなってしまったのが少々恥ずかしい.

動物が好きなひと,ジュウシマツを飼ったことのあるひとにはもちろんのこと,言語の起源に興味があるひと,科学研究の現場を知りたいひとにも読んでほしい.また,学生のみなさんには,この本を読んで文系・理系の区別を飛び越える勇気をもってほしい.
まえがき
1 小鳥の歌とヒトの言葉
2   複雑な歌をうたうジュウシマツ
3   ティンバーゲンの理想
4   ジュウシマツの歌と四つの質問
5   四つの質問を越えて
6   残された疑問
7   歌文法から言語の文法へ
  あとがき
1959年栃木県足利市に生まれる.
1983年慶応義塾大学文学部心理学専攻卒業.
1989年米国メリーランド大学心理学研究科博士課程修了,Ph.D.取得.その後,学術振興会特別研究員(上智大学生命科学研究所),科学技術特別研究員(農水省農業研究センター),井上科学振興財団フェロー(慶應義塾大学心理学教室)を経て,1994年より千葉大学文学部助教授(自然科学研究科・先進科学プログラム兼担)となる.1996年より科学技術振興事業団さきがけ研究21研究者を兼任.
 小学生のころから,自己意識のメカニズムと存在理由を知りたいと思っていた.現在は,そのための手がかりのひとつとして,言語の起源を生物学的に説明するのを目標としている.趣味は古楽の演奏,短歌つくり,山登り,模型飛行機,自然主義文学を読むことなど.
岡ノ谷研究室のウェブサイト:
http://bengalese.s.chiba-u.ac.jp/okanoyalab/

書評情報

毎日新聞(夕刊) 2010年4月8日
文藝 2009年秋季号
UP 2004年4月号
サライ 2003年10月2日号
日経サイエンス 2003年10月号
毎日新聞(夕刊) 2003年9月29日
しんぶん赤旗 2003年9月29日

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