ルポ 戦争協力拒否

日本社会で進行する「戦争協力」の実態に迫る渾身のルポ.再び戦争加害者とならないためにできることは.

ルポ 戦争協力拒否
著者 吉田 敏浩
通し番号 新赤版 927
ジャンル 書籍 > 岩波新書 > 現代世界
刊行日 2005/01/20
ISBN 9784004309277
Cコード 0236
体裁 新書 ・ 並製 ・ カバー ・ 238頁
在庫 品切れ
イラクへの自衛隊派遣,有事法制の成立――.戦争のできる国へと変容しつつある日本で,いま様々な形で「戦争協力」が進行している.戦場出張を命じられる会社員,封じられる反戦への意志,派遣命令に苦悩する自衛官と家族など,その実態を浮き彫りにし,再び戦争加害者とならないためにできることは何かを問う渾身のルポ.
はじめに

第1章 戦争のできる国へ
 イラク戦争と日本/日本も加害者/イラクと「満州」/テロ対策特措法の目指すもの/アフガニスタン攻撃に加担した日本/エスカレートする海外派遣の実態/多国籍軍参加が意味するもの/アーミテージ報告の危険性と圧力/改憲と集団的自衛権を望む声/独善的な「力の論理」/「国益」の名のもとに

第2章 自衛隊員は命令を拒否できるか
 戦地に赴く自衛隊員/覚悟を迫る国家/派遣を断る選択肢が消えた/公表されない隊員の気持ち/自衛官たちの疑問・反対・葛藤/家族たちの不安・怒り/アンケートに寄せられた声/無視される自衛官の声/エスカレートする防衛戦略/増強される海外展開能力/米軍との連携強化/形骸化する専守防衛と自衛官の考え/隊員たちの「派遣拒否」/派遣命令は断れる/深刻化するいじめ・しごき・自殺/裁判になったいじめ自殺/自衛隊員は「人的資源」か/血と涙が流れる前に

第3章 有事体制を拒否する人びと
 有事法制の本質/危機感を深める労働者/良心的戦争協力拒否/すでに始まっている民間人の「動員」/戦地出張の実態/「労働力は売っても命は売らない」/有事法制がらみの業務命令は拒否できる/自治体職員の「非協力宣言」/「国民保護」という空論/有事法制は国民を守ってはくれない/有事法制と国家総動員法の共通性/無防備地域宣言/既成事実をつくらせない/戦争協力拒否への決意

第4章 自由にものも言えない社会に抗して
 ビラ配布で逮捕/なぜかれらだけが/恣意的な言論弾圧/「立川から出ていけ」/異論を許さない空気/『赤旗』号外配布事件/奪われる言論と表現の自由/手遅れになる前に

第5章 戦争の加害者にも被害者にもならない
 広がるイラク派兵違憲訴訟/平和的生存権/犠牲はやむをえないのか/「ネセサリー・コスト」/犠牲の上の「国益」/拍車がかかる海外派兵国家化/自分も「ネセサリー・コスト」に/安全圏から犠牲を強いる者たち/「予防自衛論」と「主権線・利益線論」の共通点/加害者にも被害者にもならないために

あとがき
主要参考文献
吉田敏浩 (よしだとしひろ)
フリー・ジャーナリスト.アジアプレスのメンバー
1957年大分県臼杵市生まれ
1977年より,ビルマ,タイ,アフガニスタンなどアジアの多様な民族世界を訪ねる.
85年3月から88年10月まで,ビルマ北部のカチン州とシャン州を長期取材.その記録をまとめた『森の回廊』(NHK出版・NHKライブラリー)で,96年に第27回・大宅壮一ノンフィクション賞を受賞
著書─『宇宙樹の森』(現代書館)
   『北ビルマ,いのちの根をたずねて』(めこん)
   『生命の森の人びと』(理論社)
   『夫婦が死と向きあうとき』(文藝春秋)
   『生と死をめぐる旅へ』(現代書館)
   『民間人も「戦地」へ テロ対策特別措置法の現実』(岩波ブックレット)
 アジアプレス・ネットワーク・ウェブ・ジャーナルにも記事を執筆
 (http://www.asiapressnetwork.com)

書評情報

朝日新聞(夕刊) 2005年6月16日
母の友 2005年5月号
朝日新聞(朝刊) 2005年3月20日
しんぶん赤旗 2005年3月13日
民医連医療 2005年3月号
恋するアジア 2005年3月号
東京新聞(朝刊) 2005年2月27日
西日本新聞(朝刊) 2005年2月27日
朝日新聞(夕刊) 2005年2月24日
西日本新聞(朝刊) 2005年2月15日
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