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会社法入門

5月施行の新法の内容と制定の背景をコンパクトに解説するとともに,会社の未来を展望する.

会社法入門
著者 神田 秀樹
通し番号 新赤版 1005
ジャンル 書籍 > 岩波新書 > 法律
刊行日 2006/04/20
ISBN 9784004310051
Cコード 0232
体裁 新書 ・ 並製 ・ カバー ・ 230頁
在庫 品切れ
「会社法」は上場企業から中小企業まで300万社以上ある日本の会社の基本法だ.「株式会社」という仕組みが圧倒的に普及し,「コーポレート・ガバナンス」の重要性に対する認識が国際的に高まる中,会社をめぐる環境は激変している.制定の背景と内容をコンパクトに解説するとともに,会社の未来を展望する.
はじめに

第1章 なぜ、いま新「会社法」か

1 世界に広がる「株式会社」
 株式会社形態の普及
 株式会社形態の特質
 会社法って、何?
 株式会社の特質と会社法の役割
 制度間競争の時代
 日本の会社形態

2 なぜ、いま新「会社法」か
 二つの偶然
 近年の多数項目改正
 商法改正小史
 二〇〇一年以降の改正
 先進諸国における近年の会社法改正の原動力
 議員立法と経済産業省の特別法
 法制化のタイミング
 そして新会社法制定へ

3 会社法の考え方
 近年の会社法改正の考え方
 ファイナンス分野
 ガバナンス分野
 会計法制
 ベンチャー企業育成など
 会社法の条文配置

第2章 株式会社の機関

1 なぜ法は株式会社に機関を要求するのか
 会社法のポイント
 機関とは
 会社法における機関設計
 戦後の歴史
 機関についてのその他の改正
 まとめ

2 株主総会とは何か
 株主総会とは何か
 株主総会の招集
 株主総会での議決権
 株主総会での決議の方法

3 取締役・取締役会とは何か
 取締役・取締役会と役員
 取締役とは
 取締役会とその権限(委員会設置会社以外の株式会社)
 取締役会の決議
 代表取締役とは
 取締役の義務──会社との関係での一般的な義務
 取締役の善管注意義務
 監視義務とリスク管理体制の構築義務

4 監査とは何か
 監査役とは
 監査役の権限
 監査報告と調査権
 監査役の義務
 監査役の差止請求および会社代表
 監査役会
 会計監査人とは

5 委員会設置会社
 委員会設置会社とは何か

6 役員の責任と株主代表訴訟
 役員等の会社に対する損害賠償責任
 役員等の責任の免除と軽減
 役員等の第三者に対する損害賠償責任
 株主代表訴訟とは何か
 一九九〇年代以降の株主代表訴訟
 会社の法令違反行為と取締役の責任
 代表訴訟に関するその他の論点
 株主による違法行為の差止め

第3章 株式会社の資金調達

1 利害調整法としての会社法
 会社法による利害調整ルール
 株主間の利害調整の必要性
 会社債権者がある場合
 株主の投下資本回収
 株主と経営者との利害調整
 まとめ──三つの場面の関係など

2 株式と資金調達
 株式という不思議な仕組み
 各種の資金調達手段
 会社法のルールの必要性
 授権株式制度
 新株発行における既存株主と新たに株主となる者との利害調整
 考えられるルール
 日本の会社法のルール
 有利発行
 第三者割当て
 有利発行がされた場合の効果
 違法な株式発行
 主要目的ルール

3 配当と自己株式の取得
 むずかしい会社債権者保護
 会社債権者保護のためのルールの二つの柱

4「株式」という仕組み
 株式とは何か
 株主の義務
 株主の権利
 株式の内容
 優先株式
 株主の平等取扱い(株主平等の原則)
 株主の地位(株式)の譲渡──株券という仕組み
 株式の譲渡
 株式譲渡の自由
 株主の会社に対する権利行使

5 社債とは何か
 社債とは
 なぜ会社法は規定を置くのか
 社債の発行

第4章 設立、組織再編、事業再生

1 株式会社を設立するには
 変幻自在な会社
 設立とは何か
 発起設立と募集設立
 最低資本金制度の廃止
 定款の記載事項
 株式発行事項の決定
 設立時発行株式の引受け
 設立時取締役・設立時監査役等の選任
 全額出資ルール
 失権ルール

2 自由度を増した組織再編
 組織再編とは何か
 会社法における改正
 対価の柔軟化
 三角合併
 買収との関係
 株主総会決議
 簡易組織再編
 略式組織再編
 会計処理
 効力発生
 その他──人的分割概念の廃止
 重要性を増す企業グループの法制

3 不良債権問題と事業再生
 全部取得条項付種類株式
 デット・エクイティ・スワップ

第5章 会社法はどこへいくのか

1 ライブドアの衝撃
 ニッポン放送事件
 新株予約権とは何か
 裁判所による新株予約権発行の差止め
 買収防衛策をめぐる動き
 良い買収と悪い買収
 規制緩和が生んだ弊害か

2 これからのコーポレート・ガバナンス
 いまなぜコーポレート・ガバナンスか
 コーポレート・ガバナンスをめぐる各国の動向
 コーポレート・ガバナンスと会社法
 コーポレート・ガバナンスの展望
 まとめ

3 企業活動のグローバル化と会社法
 グローバル化時代の会社法改正の原動力
 会社法のパラダイム

4 会社法はどこへいくのか
 株式会社の将来
 会社法の将来

あとがき
神田秀樹 (かんだひでき)
1953年生まれ
1977年東京大学法学部卒業
現在─東京大学大学院法学政治学研究科教授
専攻─商法,証券法,金融法
著書─『会社法の経済学』(共著,東京大学出版会,1998)
   『会社法(第8版)』(弘文堂,2006)
   『The Anatomy of Corporate Law』(共著,Oxford University Press,2004)
   『ビジネス・タックス──企業税制の理論と実務』(共編,有斐閣,2005) ほか

書評情報

山陽新聞(朝刊) 2006年8月13日
日本経済新聞(夕刊) 2006年6月21日
日本経済新聞(朝刊) 2006年5月7日
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