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原点 THE ORIGIN

戦争を描く,人間を描く

『機動戦士ガンダム』や『虹色のトロツキー』….作品世界のバックにある人間観を,ついに安彦本人が語った!

原点 THE ORIGIN
著者 安彦 良和 , 斉藤 光政
ジャンル 書籍 > 単行本 > 評論・エッセイ
日本十進分類 > 文学
刊行日 2017/03/10
ISBN 9784000611923
Cコード 0095
体裁 四六 ・ 並製 ・ カバー ・ 366頁
在庫 在庫あり

『機動戦士ガンダム』の生みの親の一人であり,『虹色のトロツキー』など歴史に材をとった作品を世に送ってきた漫画家安彦良和.戦い,殺し合ってしまう人間を,彼は,なぜ,どのように描いてきたのか.東奥日報記者・斉藤光政がその人生に迫り,ついに安彦本人も自らの「原点」を綴った! 生い立ち,学生運動,アニメ・マンガ界での出会いと模索…….作品世界のバックには,この人間観があった!

 

■内容紹介

 『機動戦士ガンダム』の生みの親であり、『虹色のトロツキー』『王道の狗』など歴史に材をとった作品を世に送ってきたマンガ家安彦良和。戦い、殺し合ってしまう人間を、彼は、なぜ、どのように描いてきたのか。
 本書は、『東奥日報』連載を原型とする斉藤光政記者のドキュメント(全6章)と、各章に安彦が書き下ろした「私の原点」の2段構成からなる。二人の交錯するテクストが、ガンダム誕生秘話をはじめ、安彦の生き方、世界の歴史や現状に対する透徹した見方を、多面的に浮上させる。
 例えば、北海道の屯田兵3世としての生い立ち、自身も逮捕されるに至った弘前大学での全共闘運動の内実、東大安田講堂攻防や連合赤軍事件で逮捕された仲間の聞き書きをいま行う理由……。
 あるいは、食っていくためにたまたまアニメーターとなり直接・間接に出会った才能(手塚治虫、宮崎駿、高畑勲、富野由悠季、西崎義展ら)や、『ガンダム』のメッセージについて。また、その時代に生きたであろう一人の人間から歴史を描くマンガでの挑戦について。さらに、IS(イスラム国)などテロと暴力が顕現する現代について……。
 ちなみに共著者の斉藤は、安彦が大学時代を過ごした青森で軍事・歴史を特に専門とし健筆をふるう記者で、安彦作品のヘビーリーダーでもある。
 「あなたならどう考えるか」――。本書は、この同じ時代を生きる読者との対話を欲し、安彦が斉藤に身を委ね生まれた“評伝”であり、あえて自らをさらけ出し呈示する“自叙伝”なのだ。
 巻頭には安彦のイントロ漫画、巻末には付録としてエッセイ、全共闘の仲間との対話、おすすめ本のPOP、作品リストを収録する。

  はじめに           安彦良和
  本書の成り立ちについて    斉藤光政

第1章 冷戦の落とし子ガンダム
ある学習塾の風景─―『虹色のトロツキー』/ガンダム作家の“ルーツ”は津軽/人間くさい主人公たち─―『アリオン』/冷戦が生んだ終末観/ガンダムのテーマとは/ユーゴ内戦にショック/物語作家としての覚悟─―『ヴイナス戦記』/なぜ日本はまちがえたのか─―『王道の狗』/寄せる波、返す波/日中間に突き刺さる深いトゲ
《安彦良和 私の原点1》『ガンダム』と「戦争」・「日本」

第2章 北辺の地の少年
独学から生まれた天才的タッチ/マンガ家へのあこがれ/“おもしろさ”へのこだわり/歴史教育のウソっぽさ/ベトナム戦争への疑問/マンガ家を断念し南へ
《安彦良和 私の原点2》オホーツクの地から――父のこと・生い立ちのこと

第3章 弘前大学での“闘い”
党派への違和感/「ベトナムさん」との出会い/弘前大学全共闘の誕生/暴力学生とよばれて/一方的なアジ演説に反発
《安彦良和 私の原点3》弘前大学で、あのころ

第4章 怒れる若者たち、その後
「わかりあえない」が出発点/東大安田講堂事件で仲間逮捕/いつも雨が降っていた/若者とマンガブーム/弘前大学本部占拠事件/そして逮捕/長き沈黙の正体/「山に入る」ことの意味
《安彦良和 私の原点4》すべての終わり。そこからの「始まり」

第5章 サブカルチャーの波
アニメーションの世界へ/マッチラベル描きがルーツ/『宇宙戦艦ヤマト』への挑戦/宮崎駿という壁/青森から照射する日本─―『ナムジ』『神武』/日本動漫文化/オタクの功罪
《安彦良和 私の原点5》サブカルで、生きる

第6章 世界をリアルに見る
アイランちゃんの衝撃/小林よしのりとの対談/国なき民の悲劇─―『クルドの星』/イスラム国と戦う少年兵/植民地支配を問う─―『天の血脈』/東アジア和解への道/アジアの盟主をめぐる争い/歴史を知らない若者たち/リアルを見つめているか
《安彦良和 私の原点6》ふたたび、「社会」を見つめて

  あとがき  安彦良和

付録――安彦良和エッセイなどなど
 山の子・鉄人・横山さん――横山光輝『鉄人28号』解説
 ユーゴ・栄光と愚行と――坂口尚『石の花』解説
 『銀座』とぼく
 西田洋文氏に訊く――弘前大学全共闘の記憶と記録
 読んできた本、おすすめの本

安彦良和作品リスト
安彦良和(やすひこ よしかず)
1947年北海道生まれ.弘前大学入学,学生運動の結果,除籍.上京後,虫プロでアニメーターに.フリーとなってからは「機動戦士ガンダム」「巨神ゴーグ」等を生み出し,のち漫画家に転身.作品に『アリオン』『クルドの星』『ナムジ 大國主』『虹色のトロツキー』『王道の狗』『天の血脈』『ヤマトタケル』『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』など.

斉藤光政(さいとう みつまさ)
1959年岩手県生まれ,青森県育ち.東奥日報編集局次長.早稲田大学ジャーナリズム研究所招聘研究員.軍事・防衛および歴史分野を専門とする.著書に『米軍「秘密」基地ミサワ』『在日米軍最前線』『偽書「東日流外三郡誌」事件』『戦場カメラマン沢田教一の眼』『ルポ 下北核半島』(鎌田慧と共著)など.

書評情報

ゼットキューブ 2019年春号
東京新聞(朝刊) 2017年6月11日
朝日新聞(朝刊) 2017年6月4日
東奥日報 2017年5月14日
週刊文春 2017年5月18日号
北日本新聞 2017年5月13日
図書新聞 2017年4月29日
読売新聞(朝刊) 2017年4月23日
週刊金曜日 2017年4月21日号
日本経済新聞 2017年4月15日
週刊読書人 2017年4月14日号
あおもり草子 243号(2017年4月)
ガンダムエース 2017年5月号
朝日新聞デジタル 2017年4月3日
毎日新聞(夕刊) 2017年4月3日
東奥日報 2017年3月15日
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