一橋大学経済研究叢書

潜在能力アプローチ

倫理と経済

A.センの経済学と倫理学の核心とは何か

潜在能力アプローチ
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著者 後藤 玲子
通し番号 64
ジャンル 書籍 > 単行本 > 経済
シリーズ 一橋大学経済研究叢書
刊行日 2017/03/15
ISBN 9784000099257
Cコード 3333
体裁 A5 ・ 並製 ・ カバー ・ 256頁
定価 本体5,600円+税
在庫 在庫あり

アマルティア・センが潜在能力(ケイパビリティ)アプローチを提唱してから三十余年.彼の「経済学と倫理学」の核心であるこのアプローチの経済学的定式化を試み,「自由の価値」の平等についての経済哲学的な考察を行う.潜在能力アプローチに関する基本書であり,その意義と可能性を追究し理論的展開を試みた研究書でもある.

はしがき

序 章 目的と概要
 1.潜在能力アプローチの経済理論史的意義の省察/2.潜在能力アプローチの理論的・数理的定式化/3.潜在能力アプローチの方法的枠組みの探究/4.潜在能力アプローチの哲学に基づく新たな平等理論の構築

第1章 厚生経済学と潜在能力アプローチ
 第1節 潜在能力アプローチの前史
 1.はじめに――潜在能力アプローチの水脈/2.実質国民所得計測/3.厚生主義批判/4.規範経済学――倫理と経済/5.結び
 第2節 潜在能力アプローチの思想と哲学
 1.包括的「厚生」空間と選好評価の多層性/2.機会集合としての自由再考/3.多様性における平等規範

第2章 潜在能力アプローチにおける特定と測定
 第1節 潜在能力アプローチの数理的定式化
 1.潜在能力概念の意味と形式/2.潜在能力の特定化と測定の概要
 第2節 潜在能力アプローチの臨床的適用に向けて
 1.問題関心/2.潜在能力の実例/3.潜在能力概念の臨床的意味/4.機能空間の設定方法
 第3節 潜在能力アプローチの実証的研究に向けて
 1.社会的評価の形成手続き/2.基本的移動潜在能力/3.「移動潜在能力」の操作的な意味と背景思想/4.移動潜在能力の調査方法/5.財利用能力に影響を与える要因/6.結び

第3章 潜在能力アプローチの経済分析――合理性・効率性
 1.はじめに/2.先行研究/3.基本モデル/4.メイン潜在能力の定式化/5.潜在能力付き福祉評価関数最適化モデル/6.拡張的効用関数最適化/7.結び

第4章 潜在能力アプローチの背景哲学――自律性・個人性・アイデンティティ
 1.はじめに/2.一般化された潜在能力の定式化/3.拡張型福祉評価関数/4.位置性と適応的選好/5.主観性と客観性ならびに個別性と位置客観性/6.個人のアイデンティティと潜在能力/7.結び

第5章 セン型社会的選択モデル――多様性・倫理的グループ・公共的討議
 1.はじめに/2.基本的潜在能力保障政策の社会的選択手続きモデル/3.原初状態の再定義/4.背景的思想/5.結び

第6章 潜在能力アプローチの倫理――差異に基づく自由の平等規範
 1.本章の目的と関心/2.パレート派リベラル不可能性定理/3.セン型社会的選択モデルに基づく事例分析/4.潜在能力アプローチに基づく福祉的自由の記述/5.潜在能力アプローチに基づく福祉的自由の分析/6.結び

第7章 福祉国家の忘れもの――潜在能力アプローチの展望
 1.協力の契機/2.現代福祉国家とリベラリズム/3.政治的リベラリズムの理論化と人々の規範意識/4.ロールズ正義理論の再編と社会的協同システムの拡張/5.公共的相互性/6.結び

終 章 セン経済哲学の射程

おわりに

参考文献
索引
後藤 玲子(ごとう れいこ)
1958年生まれ.一橋大学法学部卒業.98年同大学大学院経済学研究科博士号取得.国立社会保障人口問題研究所,立命館大学大学院先端総合学術研究科を経て,2013年より一橋大学経済研究所教授.主な著作に
『福祉の経済哲学――個人・制度・公共性』(ミネルヴァ書房,2015年),
『正義の経済哲学――ロールズとセン』(東洋経済新報社,2002年),
『福祉と正義』(アマルティア・センと共著,東京大学出版会,2008年),
『アマルティア・セン――経済学と倫理学(改装版)』(鈴村興太郎と共著,2002年),
Against Injustice: The New Economics of Amartya Sen,(co-editor, Cambridge, UK: Cambridge University Press, 2009),
Social Bonds as Freedom: Revisiting the Dichotomy of the Universal and the Particular,(co-editor, New York: Berghahn Books, 2015)
などがある.
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