自然科学書

上代日本語の音韻

万葉集,日本書紀,古事記など文字資料の存在する最も古い時代である上代語,さらに先上代語の音はどういうものであったのか.

上代日本語の音韻
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著者 早田 輝洋
ジャンル 書籍 > 自然科学書 > 言語学
刊行日 2017/03/15
ISBN 9784000611886
Cコード 3081
体裁 A5 ・ 上製 ・ カバー ・ 304頁
在庫 在庫あり

万葉集,日本書紀,古事記など文字資料の存在する最も古い時代である上代の日本語,さらにそれ以前の日本語の音はどういうものであったのか.日本語を含む東アジア諸言語の音韻論に通じる著者が,一般言語学理論に立脚して,服部四郎のものとは異なる独自の上代語6母音体系説および関連する音韻現象の解釈を論じる.

はしがき

第Ⅰ部 上代日本語の音韻

第1章 オ列甲乙の別
 はじめに
 1.1 服部説(服部1976cによる)
 1.2 松本説
 1.3 仮名遣と相補分布
 1.4 母音の長短の対立
 1.5 頻度と類型論
 1.6 動詞未完了連体形とク語法
 1.7 靡
 付記
第2章 流音と動詞語幹末母音交替
 2.1 上代日本語動詞の活用表の一部
 2.2 流音の特性
 (a)r類の流音とl類の流音の区別/(b)日本語の音声史で/r/はどのように発音されたか?/(c)上代日本語の/r/はどんな音と交替していたか?
 2.3 /i,e/と/u/の交替は本当に流音に関係があるのか?
 2.4 未完了連体形
 2.5 ku名詞化
 2.6 已然形
 2.7 連体語尾と已然語尾と受動語尾
 2.8 要約
 付記
第3章 母音調和
 はじめに
 3.1 上代語に母音調和は生きていたか
 3.2 従来考えられてきた上代語母音調和
 3.3 考えうる母音調和
 (a)語彙項目内部の母音調和/(b)形態素における母音調和規則/(c)祖語の母音調和
 おわりに 
 付記
第4章 母音体系
 はじめに
 4.1 上代語の音声について
 4.2 諸説の概観
 4.3 構造言語学の音素論的解釈──服部四郎の6母音説
 4.4 服部説の問題点
 4.5 筆者の考えている上代語母音──早田の6母音説
 4.6 音韻論に対する考え方
 4.7 母音調和
 おわりに
 付記
第5章 動詞活用
 5.1 序説
 (a)本稿の概略/(b)文字/(c)活用と派生/(d)語幹と接尾辞の区別の重要性
 5.2 上代語音韻概説
 (a)音声と表記/(b)音韻交替
 5.3 動詞の活用
 5.4 不規則動詞
 (a)子音・母音混合語幹説/(b)子音語幹説/(c)子音語幹説の問題点
 5.5 規則動詞の活用に関する若干の問題
 (a)已然形についての提案/(b)二段活用の連体形・已然形/(c)ル・レ附加(靡)説/(d)ル脱落案
 5.6 上代語動詞語幹の派生形
 5.7 結論
 付記
第6章 母音脱落
 はじめに
 6.1 上代語資料
 6.2 典型例
 6.3 今までの研究
 6.4 母音の広狭
 6.5 いわゆる母音連続の忌避
 6.6 古代語の脱落形と中古以降の非脱落形
 6.7 筆者の考え
 6.8 結論
 付記

第Ⅱ部 音韻史の方法

第7章 言語と言語史のための音素論と音韻論
 はじめに
 7.1 音素
 (a)音素は音声レベルのものである/(b)音素は脳裏に貯蔵されている音形ではない/(c)音声形の史的変化とは/(d)脳裏に貯蔵されている音形(辞書形)と音声形との隔たり
 7.2 単語声調とアクセント
 (a)アクセントとトーン/(b)トーン(音節声調と語声調)/(c)ピッチアクセントとストレスアクセント/(d)弁別的音調と非弁別的音調/(e)同一言語・方言中の複数種の弁別的な音調
 おわりに
 付記
第8章 生成アクセント論
 はじめに
 8.1 アクセント理論と現代方言の分析
 (a)アクセント表示の抽象性/(b)生成音韻論と音素論/(c)アクセントと声調
 8.2 平安末期京畿方言のアクセント体系
 (a)声点資料/(b)形容詞/(c)動詞/(d)名詞/(e)複合名詞/(f)動詞の活用形
 付記
第9章 音節構造の変遷
 要旨
 9.1 上代語の音節構造
 9.2 音節からモーラへ
 9.3 分析の抽象性
 定義(音節・モーラ)
 付記
第10章 音声形として実現しない基底形──佐賀方言の動詞未完了連体接辞の例
 付記
第11章 音変化と元の体系の保持──満洲語および日本語の音韻史から
 はじめに
 11.1 現代口語満洲語(錫伯語)
 11.2 清朝時代の満洲語
 11.3 日本語
 おわりに
 付記
第12章 生成音韻論による接近法──母音縮約を例に
 はじめに
 12.1 資料──文字表記、韻文と散文
 12.2 比較言語学
 12.3 連濁
 12.4 上代語母音縮約
 (a)上代の共時態/(b)母音縮約とは/(c)母音連続の忌避は本当か/(d)散文における母音脱落/(e)韻文における脱落から分ること/(f)上代語母音縮約のまとめ
 12.5 現代東京方言
 12.6 他言語の例──満洲語
 (a)動詞否定形の母音脱落/(b)幻の母音脱落
 まとめ
 付記

第Ⅲ部 ことばの諸相

第13章 【書評】添田建治郎著『日本語アクセント史の諸問題』
 はじめに
 13.1 祖語・祖体系
 13.2 活用形とアクセント
 13.3 資料
 13.4 形容詞
 13.5 音韻変化の規則性
 13.6 音韻変化の仕方
 13.7 通時論と共時論
 13.8 音韻と音声
 おわりに
 付記
第14章 万葉漫歩
 第1回~第18回と付記
第15章 擬音擬態語と言語の古層
 付記

参照文献
著作目録
索引
早田輝洋(はやた てるひろ)
1935年、東京生まれ。1959年、東京大学文学部言語学科卒業。1968年、東京大学人文科学研究科言語学修士課程修了。文学博士。ハーヴァード大学工学・応用物理学科研究助手兼同大学東方学科教育助手、日本放送協会総合放送文化研究所研究員、九州大学文学部教授、大東文化大学外国語学部教授を歴任。2000‐03年、日本言語学会会長を務める。主な編著書に『音調のタイポロジー』(大修館書店)、『博多方言のアクセント・形態論』(九州大学出版会)、『世界の中の日本語』(編集、朝倉日本語講座、朝倉書店)がある。
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