希望の鎮魂歌

ホロコースト第二世代が訪れた広島,長崎,福島

ホロコースト第二世代の作家として多くの共感を得てきた著者の日本滞在記.講演録,詩,対談.

希望の鎮魂歌
著者 エヴァ・ホフマン , 早川 敦子 編訳
ジャンル 書籍 > 単行本 > 評論・エッセイ
刊行日 2017/03/24
ISBN 9784000611893
Cコード 0010
体裁 A5 ・ 上製 ・ カバー ・ 174頁
定価 4,070円
在庫 在庫僅少

ホロコーストを生き延びた両親のもとにポーランドに生まれ,一三歳で北米に移住した作家エヴァ・ホフマン.親世代の苦痛と喪失の経験を受け止め次代へと繋ぐ第二世代の課題について思索を重ね,多くの共感を得てきた.そのホフマンが東日本大震災後の日本を訪れた.広島・長崎で被爆者や被爆二世と交流し,福島で詩人若松丈太郎,アーサー・ビナードと詩作を行い,若者たちに向けて講演をし,さらに作曲家大島ミチルと対談をする.ホフマンの日本へのメッセージ.


■お詫びと訂正

 本書の初刷p.59、永瀬清子「降りつむ」の詩作品に誤記がありました。読者と関係者のみなさまに深くお詫びし、以下の通りに訂正いたします。

       誤          正

 7行目:みだれる頭髪   → みだれたる頭髪

 9行目:夜もなく昼もなく → 夜も昼もなく

日本の読者の皆さんへ

第Ⅰ楽章 第二世代との邂逅――日本滞在記
 1 東京
 2 京都
 3 広島
 4 福島
 5 長崎
 6 東京に戻って
 7 エピローグ――皇后さまとの出会い

第Ⅱ楽章 福島で詩を紡ぐ ………エヴァ・ホフマン/アーサー・ビナード/若松丈太郎 写真・齋藤さだむ
 福島県浜通りの立ち入り制限区域に入って  ホフマン作/ビナード訳
 柔和なまなざしの農夫  若松丈太郎
 一九三八/三九年度首都ワルシャワ市電話回線加入者名簿  J・フィツォフスキ作/吉岡潤訳
 解説  早川敦子

第Ⅲ楽章 日本で語る――言葉・自由・記憶について
 1 世界の間、言葉の間――第二言語で書く作家になることについて
 2 今日の自由を考える――その前途、不満、そして意味
 3 記憶、トラウマ、そして認識による癒し

コーダ 第二世代の言葉を探して――大島ミチルとの対話
 〈編訳者あとがき〉言葉の音楽を奏でる人、エヴァ・ホフマン  早川敦子

付属DVD「長崎 祈りの地を訪ねて」(撮影・編集・構成 栗本一紀)
 第Ⅰ部 受難を想起する (10分)
 第Ⅱ部 第二世代の言葉を探して (10分)
 第Ⅲ部 長崎の風景 (3分)
 第Ⅳ部 「エルズニアの歌」 (4分)
 第Ⅴ部 旅から戻って ロンドン (5分)
エヴァ・ホフマン(Eva Hoffman)
1945年,ユダヤ人の両親のもとにポーランドのクラクフに生まれる.13歳で家族とともにカナダに移住し,その後アメリカのハーバード大学大学院でPh.D.(文学)を取得.『ニューヨーク・タイムズ』の編集者として活躍後,作家生活に入る.現在はイギリス在住.著書:『記憶を和解のために──第二世代に託されたホロコーストの遺産』(早川敦子訳,みすず書房),『アメリカに生きる私──二つの言語,二つの文化の間で』(木村博江訳,新宿書房)ほか,小説やエッセーなど多数.

早川敦子(はやかわ あつこ)
1960年生まれ.津田塾大学大学院文学研究科博士課程終了.現在,津田塾大学学芸学部英文学科教授.訳書:ホフマン『記憶を和解のために』,ファージョン『想い出のエドワード・トマス──最後の4年間』(白水社),ミルン『こどもの情景』(パピルス),ほか.著書:『世界文学を継ぐ者たち──翻訳家の窓辺から』(集英社新書),『翻訳論とは何か──翻訳が拓く新たな世紀』(彩流社)ほか.

書評情報

AERA 2019年1月21日号
中國新聞 2017年8月13日
朝日新聞(朝刊) 2017年5月14日
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