世界 2017年4月号

特集 原発事故に奪われ続ける日常――3.11から六年

世界 2017年4月号
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ジャンル 雑誌 > 世界 > 定期号
刊行日 2017/03/08

 原発事故による被害は、時間の経過とともにむしろ複雑化し、深刻になっている。

 「福島復興の加速化」を掲げる政権のもと、〈帰還〉そのものを目的化した政策が進められ、被害者への賠償や支援が打ち切られつつある。避難指示は次々に解除され、目に見えず、無害化する術のない放射性物質の脅威が、あらためて不可視化されている。終わってなどいない被害を「終わったこと」にしようとする政策の暴力性が問われなければならない。

 放射能など心配しなくていい生活。帰る・帰らないという選択を迫られることのない日常――。原発事故は、いまも被災地の住民から〈日常〉を奪い続けている。その現状を無視して進められる〈復興加速化〉は、同時に、この事故を引き起こしたもの――政府・電力事業者を中心として形成された原子力推進体制――の責任免除を進めようとしているのではないか。

 原発事故の原因と責任の究明、そして、あるべき復旧・復興の道筋を、被災地・被災者の置かれている現実から考える。

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◆特集:原発事故に奪われ続ける日常――3.11から六年
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〈被災自治体の苦悩〉
核害被災市町村の「転生」――住民帰還政策の帰結
金井利之(東京大学)

〈集中連載 第1回〉
原発事故七年目に問われる「復興」――借上住宅打ち切りを目前に
吉田千亜(フリーライター)

〈見えにくい被害〉
追い詰められている避難者の子どもたち
黒澤知弘(弁護士)

〈ルポ〉
「汐凪が帰ってきました。」――原発の町に残された娘をさがして
尾崎孝史(フォトジャーナリスト)

〈人間の弱さとシステム〉
危機に向き合うとは?――原発事故と徴候ベース手順書をめぐって
〓(サイ)藤誠(一橋大学)

〈新シリーズ 連載開始〉
原発事故の収束は誰が担うのか――吉田調書を超えて(第1回)
七沢潔(NHK)

〈シンポジウム〉福島原発事故「吉田調書」を超えて
【講演1】
吉田調書は何を提起したか――さらに究明されるべき課題と論点
海渡雄一(弁護士)
【講演2】
福島原発事故の深刻化は免れ得た――手順書問題の教訓は汲み取られているか
田辺文也(社会技術システム安全研究所)
【討論】
原発事故の反省を共有するために
田中三彦×田辺文也×海渡雄一×澤井正子

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◇世界の潮
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◇ポピュリズムの伸張を止められるか――フランス大統領選が占うもの
軍司泰史

◇トランプ政権下の最高裁裁判官任命をめぐる「法と政治」
木下智史

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◆注目記事
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〈津波震災の「語り部」〉
死者のざわめき――語り継がれる「記憶の森」
山形孝夫(宗教人類学者)

〈原発倒産?〉
東芝の債務超過による存続可能性
細野祐二(会計評論家)

原発ビジネスの罠――巨大企業を飲み込む暗闇
山岡淳一郎(ジャーナリスト)

〈脅かされる市民生活〉
共謀罪法案の提出に反対する刑事法研究者声明

解説と補論 共謀罪立法はなぜ不要か
髙山佳奈子(京都大学)

〈連載〉自衛隊変貌 第4回(最終回)
自衛隊を指揮するのは誰か
前田哲男(軍事ジャーナリスト)

〈報告〉
全国を席巻するオスプレイ
石川巖(ジャーナリスト)

〈最高裁のカラクリ〉
辺野古裁判――最高裁判所の分厚い壁
五十嵐敬喜(法政大学名誉教授)

〈環境と司法〉
環境団体訴訟はなぜ必要なのか――環境民主主義の国際潮流
大久保規子(大阪大学)

世界の「環境裁判官」が語った司法アクセス事情
まさのあつこ(ジャーナリスト)

〈ルポ〉
宮古島市長選が問う代表制民主主義――続・国防と憲法に直面する人びと
島本慈子(ノンフィクションライター)

〈対談〉
ヘイト報道――「何でもあり」でいいのか?
辛淑玉(のりこえねっと共同代表)×津田大介(ジャーナリスト)

〈対談〉
沖縄を生きるということ(後編)――語り始められた未来
新城郁夫(琉球大学)×鹿野政直(歴史学者)

〈インタビュー〉
沖縄の未来に新基地はいらない――「誇りある繁栄」の実現に向けて
呉屋守將(金秀グループ会長)

〈韓国 広場の政治〉
今年も「動きましょう」――日常の不義とも闘う市民へ
白楽晴(『創作と批評』名誉編集人)、訳=青柳純一

「ろうそく集会」は大韓民国の歴史を変えられるか
李起豪(韓神大学)、訳=矢野百合子

〈対談〉
誰も排除しない/されない社会を目指す
東ちづる(俳優)×熊谷晋一郎(小児科医、東京大学)

〈格差拡大に鈍感な国家〉
戦後最大の生活保護基準の引き下げはどう決定されたのか
本田良一(北海道新聞)

〈劇評〉
報道と人間をめぐる葛藤劇――「ザ・空気」を観て
永田浩三(武蔵大学)

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●連載
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●日没【新連載小説】
桐野夏生(作家)

●八方ふさがり、八つ当たり【第22回】
米谷ふみ子(作家)

●神を捨て、神になった男 確定死刑囚・袴田巖【第3回】
――「娑婆に未練を持つってことはもう諦めなさい」
青柳雄介(ジャーナリスト)

●ザ・核軍縮サミット――米ソのレイキャビク首脳会議を検証する【第4回】
――流れを変えた方針転換
吉田文彦(ジャーナリスト)

●片山善博の「日本を診る」【第89回】
『東京大改革』とは何か――小池知事への疑問
片山善博(慶應義塾大学)

●メディア批評【第112回】
神保太郎(ジャーナリスト)

●世界論壇月評
朱建栄・竹田いさみ・吉田文彦・石郷岡建

●沖縄(シマ)という窓
――常軌を逸した長期勾留――警察国家の危うさ増す
松元剛(琉球新報)

●私的小豆島名所【その23】
内澤旬子(イラストルポライター)

●脳力のレッスン【180】――鄭和の大航海と東アジアの近世
――一七世紀オランダからの視界(その43)
寺島実郎

●ドキュメント激動の南北朝鮮(236)(17.1~17.2)
編集部

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○グラビア
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○グラビア――公募作品155
父の手 村山謙二

○A SHOT OF THE WORLD

○表紙の言葉
鈴木邦弘(写真家)

○グラビアについて(公募規定) 

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◇アムネスティ通信 食品・日用品の陰にある児童労働・強制労働

◇読者談話室

◇編集後記
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