ラカニアン・レフト

ラカン派精神分析と政治理論

民主主義を享楽せよ――ラカンの精神分析に依拠した享楽の政治学から、ポピュリズムの時代を読み解く。新たな政治理論の可能性。

ラカニアン・レフト
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著者 ヤニス・スタヴラカキス , 山本 圭 , 松本 卓也
ジャンル 書籍 > 単行本 > 哲学
刊行日 2017/04/19
ISBN 9784000024280
Cコード 3010
体裁 A5 ・ 上製 ・ カバー ・ 464頁
定価 本体6,600円+税
在庫 在庫あり

「ラカニアン・レフト」という、いま新たに出現しつつある理論的・政治的地平とはいかなるものなのか。ラカン派の精神分析を政治理論へと鮮やかに節合したギリシアの俊英が、合理性に重きを置く政治学では捉えきれない「享楽の政治学」可能性を描く。ポスト・デモクラシーとポピュリズムの時代を読み解くカギがここにある。

日本語版への序文
謝 辞
凡 例

序 章 ラカン左派を位置づける
 政治的なラカン
 理論、分析、経験――現実界との遭遇
 仮説と章立て
 自由連想


第1部 理論篇――否認の弁証法

第1章 創造性のアンチノミー ――社会的構築と政治的なものをめぐるラカンとカストリアディス
 敵意を克服する
 社会的なものを構築すること
 構築主義の限界――創造性と疎外
 社会化のパラドックス
 政治的なものとの遭遇

第2章 ラカンと共にラクラウを――享楽について:言説の情動的限界を交渉すること
 ラカンの言説的転用――達成と限界
 情動と享楽を入力せよ!
 否定的現実界と実定的現実界
 現実界の否定的次元――言説の限界と転位の指標/現実界の実定的な次元Ⅰ――空虚なシニフィアンと対象a/現実界の実定的な次元Ⅱ――幻想から症状へ
 享楽をめぐるラクラウ――ルビコン川を渡る?
 移行を認めること――ラカン理論における情動と享楽
 リスクをとること――言説理論の挑戦

第3章 ジジェクの「倒錯」―― アンティゴネーの魅惑(ルアー)と行為のフェティシズム
 ジジェクの革命的行為――ラカン左派の前衛?
 ラカンとジジェクにおける行為の両義性
 理想化されたアンティゴネー
 ラカンの変遷
 欠如‐対‐神的奇跡
 行為を再‐制定すること――出来事から出来事性へ
 ジジェクの「倒錯」
 構造から実体へ――行為とデモクラシー
 フェティシズムを超えて――失われた環

補遺――バディウについて


第2部 分析篇――享楽の弁証法

第4章 何が心をとらえるのか?――象徴的権力から享楽へ
 理論と実践
 権威と象徴的権力
 象徴的権威を越えて――幻想と情動
 享楽の政治

第5章 ネーションを享楽すること――ある成功譚の裏面
 ネーションに接近する
 ナショナル・アイデンティティの逆説と構築主義の限界
 形式と力
 享楽の類型学
 ネーション的享楽(の欠如)
 情動的次元を検閲すること

第6章 情念の欠如――ヨーロッパのアイデンティティを再考する
 ヨーロッパに焦点をあてる
 ヨーロッパのアイデンティティを構築する
 政治的実践から…/…学術的分析に向けてヨーロッパの猥雑な〈他者〉
 何がなされるべきなのか?

第7章 消費主義の「享楽の政治」、そして広告の幻想
 消費主義の勝利?
 消費主義を精神分析する
 欲求、欲望、幻想……そしてその彼岸へ
 消費、享楽、そして社会秩序

第8章 ポスト・デモクラシー時代の民主主義
 民主主義とラカン左派――両義性の関係
 ポスト・デモクラシーの趨勢
 民主主義の逆説――古代と近代
 挑戦的課題に取り組むこと――ラカン的方向性
  生産的な喪/民主主義的な享楽

訳者解説
文献表
原注一覧
訳注一覧 
山本圭(やまもと けい)
1981年京都府生まれ.立命館大学法学部准教授.専門は政治学,政治理論.名古屋大学大学院国際言語文化研究科単位取得退学.日本学術振興会特別研究員,岡山大学大学院
教育学研究科専任講師を経て現職.博士(学術).著書に『不審者のデモクラシー ――ラクラウの政治思想』(岩波書店,2016年),『ポスト代表制の政治学――デモクラシーの危機に抗して』(共編著,ナカニシヤ出版,2015年)など.

松本卓也(まつもと たくや)
1983年高知県生まれ.京都大学大学院人間・環境学研究科准教授.専門は精神病理学.自治医科大学大学院医学研究科修了.博士(医学).著書に『人はみな妄想する――ジャック・ラカンと鑑別診断の思想』(青土社,2015 年),『症例に学ぶ精神科診断・治療・対応』(共著,金原出版,2015年)など.

書評情報

週刊読書人 2017年9月8日号
図書新聞 2017年9月2日
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