日中漂流

グローバル・パワーはどこへ向かうか

日本は、新たなグローバル・パワーと化した中国とどう向き合うのか。来たるべき日中関係を模索する。

日中漂流
著者 毛里 和子
通し番号 新赤版 1658
ジャンル 書籍 > 岩波新書 > 政治
刊行日 2017/04/20
ISBN 9784004316589
Cコード 0231
体裁 新書 ・ 282頁
定価 946円
在庫 在庫あり

国交正常化以来の友好の時代を経て、日中関係は、「反日」デモや領土・領海をめぐる衝突によって政治的な緊張感を増し、転換期を迎えている。日本は、新たなグローバル・パワーと化した中国とどう向き合うのか。現代中国外交の実像を多角的に読み解き、米中関係も視野に入れながら、来たるべき日中関係を模索する。

はしがき

第一章 日中正常化四〇年をふり返る
 1 正常化後の四〇年とは何だったのか
 2 日中国交正常化交渉を再考する

第二章 一九七二年体制を考える
 1 二分論の再検討
 2 二分論をどう越えるか

第三章 「反日」の高まり
 1 二〇〇五年反日デモ
 2 日中間の新たな争点

第四章 制度化の試みと蹉跌
 1 回復した首脳往来
 2 始まった関係の制度化

第五章 日中衝突――領土・領海をめぐるパワー・ゲーム
 1 領土・領海問題の位置
 2 二〇一〇年漁船・巡視船の衝突
 3 尖閣諸島「国有化」をめぐる衝突
 4 日中の主張の対比
 5 力による対抗へ
 6 安倍政権とネオ・ナショナリズム

第六章 モデルとしての米中関係
 1 日中と米中――その対比
 2 米中関係の制度化――安全保障と危機管理
 3 もう一つのモデル――制度化された中ロ関係

第七章 中国外交をめぐる問い
 1 中国外交の転変
 2 中国外交は攻勢的か
 3 六つの問いと暫定的な答え

第八章 外交行動としての軍事力行使
 1 中国の対外軍事行動
 2 朝鮮戦争(一九五〇〜五三年)
 3 中越戦争(一九七九年二月一七日〜三月一六日)
 4 第三次台湾海峡危機(一九九五〜九六年)
 5 外交としての対外軍事行動

第九章 中国の変身とリアリズム
 1 一〇年のサイクル
 2 中国外交論
 3 転換点としての二〇〇九年
 4 利益集団
 5 中国新外交の特徴

終 章 二一世紀グローバル大国のゆくえ
 1 中国の自画像――葛兆光『中国再考』から
 2 「私化」する中国の「国」――マーティン・ジャックから
 3 「帝国」論
 4 中国は「帝国」になるか

おわりに
参照文献リスト
毛里和子(もうり かずこ)
お茶の水女子大学文教育学部卒業
現在─ 早稲田大学名誉教授
専攻─現代中国論
著書─『日中関係 戦後から新時代へ』『中国とソ連』(以上,岩波新書)『共同討議日中関係なにが問題か』(共著)『グローバル中国への道程』(共著,以上,岩波書店)『現代中国政治[第3版]』(名古屋大学出版会)ほか
訳書─『ニクソン訪中機密会談録【増補決定版】』(共訳,名古屋大学出版会)『周恩来キッシンジャー機密会談録』(監訳,岩波書店)ほか

書評情報

朝日新聞(朝刊) 2017年10月1日
日本経済新聞(朝刊) 2017年6月10日
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