正岡子規 人生のことば

「空涙は無用に候」

正岡子規 人生のことば
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著者 復本 一郎
通し番号 新赤版 1660
ジャンル 書籍 > 岩波新書 > 随筆
刊行日 2017/04/20
ISBN 9784004316602
Cコード 0295
体裁 新書 ・ 240頁
定価 本体820円+税
在庫 在庫あり

病と闘いながら,短い一生で文学革新をなしとげた,正岡子規.畏友夏目漱石には「僕ハモーダメニナツテシマツタ」と弱音を吐き,人生行路の定まらぬ高浜虚子には「貴兄ニ半椀ノ飯ヲ分タン」と激励する──著作・書簡を読み解きながら彼の人間的魅力を紹介し,それらのことばのなかに,私たちが今を生きるヒントを見つけだす.

はじめに

【泣】 生きているから、弱音もはく
選句
1 僕ハモーダメニナツテシマツタ/2 僕ヲ愚痴ニシタノハ、病気ダヨ/3 錐に阿を生ず/4 ほんの生きてゐるといふ亜/5 何といふ因業な事にや/6 金のいること許りにて/7 狂死之外無御坐候/8 一朝にして財布を掃ふ/9 俗事閑暇を得ず/10 死んだも同じこと

【希】 病んでいるから、望みをもつ
選句
11 病床六尺ヲ見ルト僅ニ蘇ルノデス/12 気分うきたち候/13 ウマイ物デモ食ヒタイ/14 小さき望かな/15 物に負けてしまふ事は大嫌ひ/16 一分一秒にても/17 泣きながらも猶大食/18 命つなぐばかり/19 疾病の賜

【友】 知己には厚く、熱く
選句
20 誤謬多きは必然の結果/21 未だ曾て知られざるの刺激/22 二千部などゝいふは思ひもよらぬ/23 依頼心をやめて独立心を/24 辛抱ハ後ノタメナリ/25 うまい物をくひ給へ/26 得意は野心の敵なり/27 肝胆に銘じて忘れざるなり/28 半椀ノ飯ヲ分タン/29 悪い事はいつ迄もまねせぬ方/30 あまり生意気なこと也/31 斯く小胆なるは何とも解しがたく候/32 臍を固めてやりたまへ/33 冷汗を流し候/34 御世辞も御辞誼も知らず

【笑】 苦しいからこそ、ユーモアを
選句
35 真の滑稽は真面目なる人にして/36 小学者道へ堕落致し候/37 変テコな味/38 チト御買締被下間敷や/39 まだ二年や三年/40 へんてこな配合/41 医者が病人に菓物を贈る

【識】 本質を見通し、突く
選句
42 与ふる者威張り、与へらるゝ者下る/43 金と本は貸すべき事/44 美といふ事、少しも分らず/45 朝顔ヨリモ/46 叱り諭さゞるは思はざるの甚だしきなり/47 猜疑〓狭/48 大方の人はあまりに気長く/49 行く者悲まず、送る者歎かず/50 何等の邪念だも貯へて居ない/51 俳句を弄するもの

【独】 俗を離れて、ひとりゆく
選句
52 空涙は無用に候/53 不羈自在/54 けし粒程の世界/55 実利と虚名と/56 困窮を以て人の常態となす/57 文士ノ職分/58 痩我慢/59 狂する位でなければ/60 相応の仕事をする/61 馬鹿といはるゝ覚期

【親】 家族、故郷を思う
選句
62 故郷こそ恋しけれ/63 人を是非せしことなき人/64 いもうとのやつ/65 母様も律も大喜ビ/66 執筆自由ナラズ/67 父親なしに/68 ゆつくりと松山にて

【進】 ひたむきに、道を
選句
69 志ヲ立ツルコト徒ラニ遠大ナリ/70 四季の名目などに拘るべきに非ず/71 やりかけたらほうつておけぬ/72 時を嫌はず、処を択ばず/73 道のために尽す勇気/74 今に見ろ/75 目的に達するには/76 世界を大観し、心胸を闊くし/77 文学と討死の覚悟/78 無念の一念大魔王/79 新題を季ノ物ト定メテ/80 討死するのはかまはん

正岡子規略年譜
子規をめぐる人びと(索引)
復本一郎(ふくもと いちろう)
1943年愛媛県宇和島市生まれ
1972 年早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了(文学博士)
専攻―近世・近代俳論史静岡大学教授,神奈川大学教授を経て
現在―神奈川大学名誉教授
著書―『俳句と川柳』(講談社学術文庫),『余は,交際を好む者なり正岡子規と十人の俳士』(岩波書店),『子規とその時代』(三省堂),『井月句集』(編注,岩波文庫),『歌よみ人正岡子規』(岩波現代全書),『芭蕉の言葉『去来抄』〈先師評〉を読む』(講談社学術文庫),『獺祭書屋俳話・芭蕉雑談』(注解・解説,岩波文庫)ほか

書評情報

週刊教育資料 2017年9月11日号
東京新聞(朝刊) 2017年5月28日
読売新聞(夕刊) 2017年5月23日
日本経済新聞(夕刊) 2017年5月13日
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