世界 2017年5月号

特集 「共謀罪」のある日常とは/〈LGBT〉ブームの光と影

世界 2017年5月号
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ジャンル 雑誌 > 世界 > 定期号
刊行日 2017/04/08

■特集1:「共謀罪」のある日常とは


 「共謀罪」法案を政府が国会に提出した。これで戦後、4回目の提案である。
 犯罪を行なおうとする複数の人の合意=「共謀」を罪としようとする政府の提案は、繰り返し国会で否定されてきた。政府は今回、この法案を「テロ対策」と看板をかけかえ、「一般の方々が対象になることはあり得ない」と説明する。
 だが、沖縄で起きていること――微罪をあげつらった基地反対運動への政治弾圧――は、このような政府の言い分を決して信用してはならないことを明瞭に示している。
 277もの犯罪についてその共謀を取り締まる、という政府の意志は、事実上、市民生活のあらゆる分野を捜査・監視・取り締まり可能にするというものにほかならない。
 「共謀罪」法案は、安倍政権が強行してきた秘密保護法や安保法制と地続きのものとして理解されるべきだろう。
 政府が市民に情報を隠し、市民を監視する社会で、民主主義は可能なのか。かつての日本政府のありようを思い出しながら、考える。

 

■特集2:〈LGBT〉ブームの光と影

 「LGBTの人なども、うまく活用できないか」。
 2015年3月に東京都渋谷区で日本で初めての「同性パートナーシップ条例」が成立してから、2年が経過した。〈LGBT〉を〈多様性〉の象徴として「包摂」することが、街のイメージ向上につながる――その裏で、日常のさまざまな場面でいまなお苦しみ続け、「活用」されることのない当事者たちの声が、やんわりと「排除」されてはいないか。
 「そろそろ結婚相手を見つけたら」「どうしてスカートを穿かないの」。日本の性的少数者の存在は見えにくい。学校で、職場で、さまざまな場面で、ちょっとした何気ない言動、行動、〈常識〉とつねに闘っている。しかしそれは、実はかれらだけの問題ではない。かれらを苦しめている〈常識〉に目を向けることは、あらゆる人のそれぞれに多彩な生きかたを知り、互いに尊重することにつながるのだから。
 華々しい「ブーム」の光と影を、ひっそりと息を潜めたままの声を、少しでもお伝えしたい。

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◆特集1:「共謀罪」のある日常とは
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〈歴史の教訓〉
共謀罪と治安維持法――政府は何を蘇らせようとしているか
内田博文(神戸学院大学)

〈シミュレート〉
共謀罪のある日常
編集部

〈「テロ等準備罪」の本質〉
処罰の膨張と捜査権限の拡散・浸透――共謀罪の危険性
葛野尋之(一橋大学)

〈共謀罪の「先取り〉〉
大垣警察市民監視事件にみる共謀罪の現実
山田秀樹(弁護士)

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◆特集2:〈LGBT〉ブームの光と影
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〈概観〉
ダイバーシティから権利保障へ――トランプ以降の米国と「LGBTブーム」の日本
清水晶子(東京大学)

〈座談会〉
生きやすい空気をつくるために――〈同性婚論議〉のその先へ
上川あや(世田谷区議)×宇佐美翔子・岡田実穂(青森「そらにじ」)×砂川秀樹(文化人類学者)

〈すぐ隣の日常〉
誰にも身近な問題へ――日本における性的少数者の法的トラブルの現在
山下敏雅(弁護士)

〈若者の性〉
教育現場と〈多様な性〉――誰も置き去りにしないために
遠藤まめた(活動家)

〈ルポ〉
漂流するLGBT法案
二階堂友紀(朝日新聞)

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◇世界の潮
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◇世界標準は例外なき全面禁煙化――健康増進法改正論議
大和 浩

◇サウジアラビアの脱石油戦略――サルマーン国王訪日の背景
保坂修司

◇「安倍一強」で進む司法の政治化
南 彰

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◆注目記事
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〈巨大権力〉
電通事件 何が問題だったのか、今後何が起こるのか
――支配される東京オリンピックと憲法改正国民投票
本間 龍(著述家)

〈国策の矛盾〉
辺野古の埋立ては何を破壊するか――大量の土砂持ち込みと生物多様性
湯浅一郎(ピースデポ)

〈ルポ〉豊洲移転 「盛土問題」の真相
永尾俊彦(ジャーナリスト)

〈「官邸農政」を問う〉
現場無視、急進議論の農業構造改革
細谷 章・尾原浩子(日本農業新聞)

〈脳力のレッスン特別篇181〉
トランプ政権の本質――正対する日本の構想
寺島実郎

〈宣告の意味〉
憲法裁はなぜ「ろうそく民心」にしたがったのか――韓国の民主主義と憲法秩序
緒方義広(弘益大学)

〈政権交代を超えて〉
〝キャンドル〞の新社会づくりと南北関係
白楽晴(『創作と批評』名誉編集人)

〈広場と日常〉
キャンドルを掲げて歴史の中へ
廉武雄(文学評論家・嶺南大学名誉教授)

〈報告〉
北朝鮮の核ミサイル開発はどこまで来たか
井上智太郎(共同通信)

〈対談〉
アベノミクスを浴びせ倒し――「一億総活躍」「働き方改革」の実態
浜矩子(同志社大学)×竹信三恵子(和光大学)、聞き手=升味佐江子(弁護士)

〈座談会〉
「象徴」のゆくえ――退位論議と日本の「底流」をめぐって
ケネス・ルオフ(ポートランド州立大学)×原 武史(放送大学)×青木 理(ジャーナリスト)

〈座談会〉
ドミノのひと倒しが政権を揺るがした――森友学園問題追及の現場から
木村 真(豊中市議)×山本一徳(豊中市議)×熊野以素(豊中市議)

〈多元性は確保されたか〉
「ひとり政党」の一人舞台はならず――二〇一七年オランダ総選挙とポピュリズム政党
水島治郎(千葉大学)

〈やわらかな差別意識〉
現状肯定の「日本ボメ」――安倍政権支える排外主義
岡田 充(共同通信)

〈国際援助の名のもとで〉
モザンビークで何が起きているか――JICA「プロサバンナ事業」への農民の異議と抵抗
舩田クラーセンさやか(明治学院大学国際平和研究所)

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●連載
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●【新連載】中国新建築文化論 第1回
習近平時代の建築政策――「奇奇怪怪」から北京冬季オリンピックへ
市川紘司(東京藝術大学)

●【短期集中連載】原発事故7年目に問われる「復興」 第2回
ひろがる「復興計画」と「被害実態」のかい離
吉田千亜(フリーライター)

●海の底から【第7回】
金石範(作家)

●日没【第2回】
桐野夏生(作家)

●神を捨て、神になった男 確定死刑囚・袴田巖【第4回】
――「イワちゃん、頑張ってね」
青柳雄介(ジャーナリスト)

●原発月報【第25回】
17・01~03
福島原発事故記録チーム

●片山善博の「日本を診る」(90)
――都議会百条委員会のピント外れ
片山善博(早稲田大学)

●メディア批評【第113回】
神保太郎(ジャーナリスト)

●沖縄(シマ)という窓
――正子さんのメッセージ 辻遊郭、OKINAWA、アメリカを生きて
山城紀子(フリーライター)

●私的小豆島名所【その24】
内澤旬子(イラストルポライター)

●世界論壇月評
朱建栄・竹田いさみ・吉田文彦・石郷岡建

●ドキュメント激動の南北朝鮮(237)(17.2~3)
編集部

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○グラビア
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○グラビア――公募作品156
神国と帝国――神社からみるアジアと日本の戦後
稲宮康人(写真家)

○A SHOT OF THE WORLD

○表紙の言葉
鈴木邦弘(写真家)

○表紙写真= 鈴木邦弘 デザイン= 赤崎正一+ 佐野裕哉

○グラビアについて(公募規定) 

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◇臨時増刊のご案内

◇読者談話室

◇編集後記
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