拉致と日本人

拉致された弟のために奔走した兄.差別に抗い続ける在日コリアン.不条理への怒りと人間への信頼が生み出した奇跡的な出会い.

拉致と日本人
著者 蓮池 透 , 辛 淑玉
ジャンル 書籍 > 単行本 > 社会
刊行日 2017/06/27
ISBN 9784000024297
Cコード 0036
体裁 四六 ・ 並製 ・ カバー ・ 164頁
在庫 品切れ
北朝鮮に拉致された弟の救出のために声をあげ,政治の不作為を批判する蓮池氏と,在日朝鮮人として差別へのカウンター活動を続ける辛氏.憎悪とナショナリズムにもみくちゃにされながら,国家犯罪の被害者のため,差別された者のために声をあげつづける二人の,不条理への怒りと人間への信頼が生み出した奇跡的な出会い.
はじめに──この社会で共に生きてきた蓮池透さんへ

第1章 拉致問題に取り組まない政治
 なぜ政治を批判するのか/安倍晋三という政治家と拉致問題
 拉致問題と政治家/すべて安倍晋三の功績に
 安倍晋三という政治家の本質/外交不在の外務省
 安倍政権と家族会/救う会との関係
 「北朝鮮に拉致された中大生を救出する会」/中川昭一
 特定失踪者/小泉訪朝と拉致被害者家族──「日朝平壌宣言」
 拉致問題の「解決」とは何なのか
 「あらゆる手段」を尽くしているか/そして誰も拉致を語らない

 辛淑玉の目線……❶
 朝鮮籍=北朝鮮国籍?──無知と無関心を利用したプロパガンダ

第2章 家族と国家
 拉致される前の日常──新潟時代/拉致される前と後と
 北朝鮮の生活の影響?/「変化」ではなく「進化」
 家族にしかわからない苦悩──二四年ぶりの帰国
 「工作員」「スパイ」のレッテル/国家を背負わされて
 奪還に向けて全力疾走/北朝鮮という国
 弟の見た北朝鮮/メディアの無視と黙殺

 辛淑玉の目線……❷
 「拉致」に群がった人々の作る未来

第3章 北朝鮮と在日朝鮮人
 なぜ在日が拉致の標的にされなかったのか
 人間関係で生死が分かれる国──なぜ生き延びられたのか
 家族の命を守るために/朝鮮学校という存在
 アイデンティティ・クライシス/朝鮮総連
 変質していった民族団体

 辛淑玉の目線……❸「拉致事件」とはなんだったのか

第4章 分断を超えて
 拉致問題と在日バッシング/差別は快楽である
 なぜ生き延びてこられたのか/「あなたの嫌いな三国人です」
 被害を受けた者たちが分断された
 本当に謝罪すべき人間とは/遺骨問題
 国家に対する怒り/社会正義

あとがき
蓮池 透(はすいけ とおる)
1955年,新潟生まれ.1978 年に北朝鮮に拉致され,2002年に帰国した蓮池薫氏の実兄.「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会」(家族会)事務局長をつとめた.元東京電力社員.著書に『拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々』(講談社),『奪還──引き裂かれた二十四年』,『拉致──左右の垣根を超えた闘いへ』(かもがわ出版)など.

辛 淑 玉(しん す ご)
1959年,東京生まれ.在日三世.人材育成コンサルタントとして企業研修などを行なう.ヘイト・スピーチに抗する市民団体「のりこえねっと」共同代表.2003年,第15回多田謡子反権力人権賞,2013 年,エイボン女性賞受賞.著書に『怒りの方法』『悪あがきのすすめ』(ともに岩波新書),『差別と日本人』(角川 one テーマ21)など多数.

書評情報

新潟日報 2017年11月5日
愛媛新聞 2017年8月20日
山梨日日新聞 2017年8月20日
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