ウィトゲンシュタインとウィリアム・ジェイムズ

プラグマティズムの水脈

ウィトゲンシュタインにとってウィリアム・ジェイムズは決定的な影響を及ぼしていたことを,文献考証によって解明した画期的な本.

ウィトゲンシュタインとウィリアム・ジェイムズ
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著者 ラッセル・グッドマン , 嘉指 信雄 , 岡本 由起子 , 大厩 諒 , 乘立 雄輝
ジャンル 書籍 > 単行本 > 哲学
刊行日 2017/08/24
ISBN 9784000222365
Cコード 0010
体裁 四六 ・ 上製 ・ カバー ・ 400頁
定価 本体4,000円+税
在庫 在庫あり
ウィトゲンシュタインにとってアメリカ・プラグマティズムの哲学者ウィリアム・ジェイムズの影響が,これまで考えられてきた以上に深く決定的であったことを綿密な文献考証によって解明した画期的な本.ヨーロッパ哲学とアメリカ哲学の間に伏在する水脈を明らかにし,現代哲学史に一石を投じる斬新な解釈を提示する.


■野家啓一氏 推薦のことば

 「ポスト真実」の時代へ贈る哲学復権の書

プラグマティズムと分析哲学の予期せぬ出会いが〈生〉の真実を照らし出す.両者の対立と協働が生み出すのは,狂信を排し平常心へと立ち還る人間学的平衡の哲学である.


■「訳者後書き」から
 ジェイムズを読み続けたウィトゲンシュタイン

 レイ・モンクの『ウィトゲンシュタイン―天才の責務』には,『宗教的経験の諸相』を読み,「病める魂」として深く共感した若き日のウィトゲンシュタインが,ジェイムズのことを「良い哲学者」として敬愛していたことが言及されている.しかし,本書を読み通す時,ほとんどの読者は,ウィトゲンシュタインがジェイムズの著作,とくに『心理学原理』を二十年にわたって読み続けたこと,そして,後期ウィトゲンシュタイン哲学の思想は,「抗いつつも続けられた,ジェイムズとの対話を通じて形成されたことを知り,強い驚きの念に打たれるのではなかろうか.『哲学探究』にたびたび登場する,目に見えない対話者は,ジェイムズだったのである.
 ウィトゲンシュタインとジェイムズ――異なる伝統に属すると見なされている二人の哲学者の思索が,言語と実践,経験と自己,現実の多元性,神秘的なるものなどをめぐる根本的な問いにおいて合流し,ぶつかり合う――現代哲学の系譜を大きく書き変える挑発の書であるといえよう.


■著者のラッセル・B・グッドマン
 ニューヨーク生まれで,ペンシルヴェニア大学を卒業後,オックスフォード大学で哲学修士号を,続いてジョンズ・ホプキンズ大学で哲学博士号を取得してから,長らくニューメキシコ大学で教えた.同大学名誉教授となった今も,世界各地の大学や会議で講演・発表を精力的に行っている.グッドマンは,プラグマティズムやアメリカ哲学についての数多くの優れた研究で知られるが,その研究の特長は,エマソンなどにまで遡って,アメリカ哲学の現代的意義を捉え直そうとする視野の広さと独特な視点,その読解の手堅さにある.著作のなかでも,とりわけ本書は世界的に高い評価を得ているが,ほかの主な編著書としては,以下のものがある.
  • American Philosophy and the Romantic Tradition, Cambridge University Press, 1990.
  • Pragmatism: A Contemporary Reader, ed., Routledge, 1995).
  • Contending with Stanley Cavell, ed., Oxford University Press, 2005.
  • American Philosophy before Pragmatism, Oxford University Press, 2015.
はじめに
凡例
主要著作略号

序論
第一章 プラグマティックな経験の諸相
第二章 ウィトゲンシュタインと『宗教的経験の諸相』
第三章 ウィトゲンシュタインと『心理学原理』――導入
第四章 人間であるとは、どのようなことなのか?
第五章 言語と意味
第六章 プラグマティズム再考
終章

訳者あとがき
訳注
原注
人名索引/事項索引
ラッセル・B. グッドマン(Russell B. Goodman)
ニューヨーク生まれ.ペンシルヴェニア大学を卒業後,オックスフォード大学でM. A.,ジョンズ・ホプキンズ大学でPh. D. 取得.専門はプラグマティズム,アメリカ思想史.長年ニューメキシコ大学で教鞭をとり,現在同大学名誉教授.
主要著作:American Philosophy before Pragmatism, Oxford U.P.,2015;
Contending with Stanley Cavell, ed., Oxford U.P., 2005;
American Philosophy and the Romantic Tradition, Cambridge U.P., 1990.


【訳者】

嘉指信雄(かざし・のぶお)
1953年生まれ.東京外国語大学国際学修士.エール大学博士(哲学).専門は,現代哲学,近代日本思想,平和研究.現在,神戸大学人文学研究科教授.アメリカ哲学会第6回ウィリアム・ジェイムズ賞(1991年)受賞.

岡本由起子(おかもと・ゆきこ)
慶應義塾大学文学部卒業,博士(哲学).専門は,ウィトゲンシュタイン,現象学.慶應義塾大学講師,東京家政学院大学助教授などを経て現在,情報知識学会常務理事.

大厩 諒(おおまや・りょう)
1983年生まれ.中央大学大学院文学研究科博士後期課程修了,博士(哲学).専門は,ウィリアム・ジェイムズを中心とした世紀転換期の英米哲学.現在,中央大学兼任講師.

乘立雄輝(のりたて・ゆうき)
1968年生まれ.東京大学大学院人文社会系研究科博士課程中退.専門は,パース,ジェイムズを中心とした英語圏の哲学,形而上学.現在,東京女子大学現代教養学部教授.
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