世界 2017年9月号

特集:報道と権力

世界 2017年9月号
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ジャンル 雑誌 > 世界 > 定期号
刊行日 2017/08/08

■特集:報道と権力


 政府は世論の支持を得るため、常に情報を操作する。その広報戦略は「進化」し、マスメディアの多くが政権とのあるべき距離を見誤り、広報機関化していることは、これまでにも繰り返し指摘されてきた。
 いま私たちが目にしているのは、さらに深刻な事態だ。巨大な発行部数を持つ新聞社が、政府の不正に異を唱えようとする告発者に対し、その名誉を紙面で傷つける報道を展開し、告発を無効化しようとした。政府が、そうした報道を脅迫手段の一つとして認識していたことをうかがわせる動きもあった。
 政府を監視し、その不正を告発するのではなく、政府と一体となって告発者を抑止しようとする――このような事態を前にしては、ジェファーソンが問いかけたような、「政府のない新聞」と「新聞のない政府」の比較衡量は意味を失うだろう。
 しかし、ジャーナリズムは、原則を見失った発表メディアから離脱し、新たな自分の媒体=メディアを見出しつつある。独立した立場から事実を調査・探査して報道するメディアをつくる動きは、国際的にはすでに後戻りの考えられない太い潮流となってきている。
 日本で、そのような新たなジャーナリズムの展開は、どうすれば可能か。実践と理論の双方から考える。

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◆特集:報道と権力
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〈イズムの自己革新〉
ジャーナリズムと市民社会の再接続――「イズム」はいつも居場所を求めて旅に出る
花田達朗(早稲田大学)

〈対談〉
プロフェッションとしてのジャーナリストへ――ジャーナリズムの本義に立ち戻るための挑戦
渡辺周(ワセダクロニクル)×別府三奈子(法政大学)

〈「くらし」の目線から〉
虐げられる人々のために――ジャーナリズムは社会問題にどう向き合うか
原昌平(読売新聞)

〈権力を追い詰める〉
トランプVS.メディア――活性化するアメリカのジャーナリズム
立岩陽一郎(アイアジア編集長)

〈くり返す変節〉
新聞は歴史に何を学んだのか――国連特別報告とリットン報告
上丸洋一(朝日新聞)

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◇世界の潮
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◇“蓮舫氏の「二重国籍問題」”から浮かぶもの――「戸籍」の現在と日本人
井戸まさえ

◇大崎事件再審開始決定――心理学鑑定の衝撃と即時抗告の問題性
菅野良司

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◆注目記事
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〈分析〉
安倍政権を揺さぶった東京都議選
北野和希 (ジャーナリスト)

〈狂った距離感〉
政治の道具と化す警察――安倍一強時代の「秩序感覚」
川邊克朗 (ジャーナリスト)

〈絶対悪と対峙する国際社会〉
核兵器禁止条約と日米核同盟――核廃絶という「倫理的な闘い」にどう向き合うか
太田昌克(共同通信)

〈決断のシステム〉
脱原発! フランスでも
赤木昭夫(元慶應義塾大学教授)

〈対談〉
吉田調書を超えて 第2回 原発事故と自衛隊(上)
七沢潔(NHK)×中村勝美(元陸上自衛隊研究本部特殊武器研究室長)

〈画期的実証研究〉
死刑に犯罪の抑止効果はない
デイビッド・T・ジョンソン(ハワイ大学)、訳=田鎖麻衣子

〈解説〉
上訴取り下げと再審請求――七月一三日の死刑執行をめぐって
田鎖麻衣子 (弁護士)

〈ハビタットⅢから考える〉
都市への権利――SDGsの示す「誰も置き去りにしない」世界のために
岡部明子(東京大学)

〈「形骸化」の過程〉
「電力」との闘い――環境アセスメント法二〇年(上)
杉本裕明(ジャーナリスト)

〈緊急インタビュー〉
継続する空爆、蔓延するコレラ――いま、イエメンで起きていること
村田慎二郎(国境なき医師団)

〈ルポ〉
サハリン・シベリアで生きぬいた日本人――一時帰国の道を拓いた小川岟一と仲間たち
石村博子(ノンフィクションライター)

〈インタビュー〉
詠む遊び、読む遊び――投句への誘い
池田澄子(俳人)

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●連載
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●日没【第4回】
桐野夏生(作家)

●海の底から【第10回】
金石範(作家)

●【新連載】それぞれの出ウチナー記 海を越えるアイデンティティー
第一話――自由民権運動からハワイへ
三山喬(ジャーナリスト)

●【新連載】小説 アパレル興亡 第1回
黒木亮(作家)

●【短期集中連載】
「文一道」でいく――憲法大臣 金森徳次郎の議会答弁(下)
桐山桂一(東京新聞)

●片山善博の「日本を診る」【第94回】
安倍政権に起死回生の秘策はあるか
片山善博(早稲田大学)

●脳力のレッスン【185】特別篇
ひとはなぜ戦争をするのか――そして、日本の今
寺島実郎

●日本軍「慰安婦」問題解決運動史――ポストコロニアルな正義のための責任の伝承【第7回】
李娜榮(韓国・中央大学)、訳=梁澄子

●中国新建築文化論【第5回】
政治的ミニマリズム――アイウェイウェイの建築作品
市川紘司(東京藝術大学)

●イングリッシュ・レッスン――お試し難民流英語学習伝【15】――QWERTY     
中村和恵(明治大学)

●メディア批評【第117回】
神保太郎(ジャーナリスト)

●沖縄(シマ)という窓――グアムに脱植民地化へのうねりを見る
親川志奈子(オキスタ107共同代表)

●世界論壇月評
朱建栄・竹田いさみ・吉田文彦・石郷岡建

●ドキュメント激動の南北朝鮮(241)
編集部

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○グラビア
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○グラビア――公募作品159
ジャシム一家――ある在日ムスリム移民家族の日々
田川基成(写真家)

○A SHOT OF THE WORLD

○表紙の言葉
鈴木邦弘(写真家)

○表紙写真= 鈴木邦弘 デザイン= 赤崎正一+ 佐野裕哉

○グラビアについて(公募規定)

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◇アムネスティ通信

◇読者談話室

◇編集後記
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