原子力規制委員会

独立・中立という幻想

原発の再稼働審査を行っている原子力規制委員会.その組織構造と活動内容を批判的に検証し,あるべき規制システムを構想する.

原子力規制委員会
著者 新藤 宗幸
通し番号 新赤版 1690
ジャンル 書籍 > 岩波新書 > 社会
刊行日 2017/12/20
ISBN 9784004316909
Cコード 0236
体裁 新書 ・ 232頁
定価 902円
在庫 在庫あり
福島第一原発の事故をきっかけに作られた原子力規制委員会は,「世界一厳しい」と称する新規制基準によって再稼働審査を行っている.政権や経済界からのプレッシャーを前に,独立性と中立性を維持できているだろうか.行政学の観点からその組織構造と活動内容を批判的に検証し,原子力規制システムはどうあるべきかを考える.
序 章 フクシマ後の現実

第Ⅰ章 原子力規制委員会はいかに作られたのか
 1 三・一一前までの原子力規制システム
 2 原子力規制委員会の設置

第Ⅱ章 原子力規制委員会とはどのような組織なのか
 1 原子力規制委員会の構成
 2 原子力規制庁の設置と人事

第Ⅲ章 原子力規制委員会とはいかなる行政委員会か
 1 行政委員会とは何か
 2 政権主導のもとの行政委員会
 3 原子力規制委員会の性格

第Ⅳ章 原子力規制委員会は「使命」に応えているか
 1 新規制基準とは何か
 2 新規制基準による適合性審査
 (1)疑義を深める再稼働認可――大飯原発三・四号機
 (2)老朽原発の再稼働――高浜原発一・二号機
 3 新規制基準に抜け落ちている地域防災計画の評価

第Ⅴ章 裁判所は「専門家」にどう向き合ったのか
 1 三・一一を司法はどのように自省したのか
 2 三・一一後の原発訴訟――新規制基準と専門技術的裁量の評価
 3 司法の二極分化を進める視点

終 章 原子力規制システムは,どうあるべきなのか

主な参考文献
あとがき
新藤宗幸(しんどう むねゆき)
1946年 神奈川県生まれ
現在―公益財団法人後藤・安田記念東京都市研究所理事長,千葉大学名誉教授
専攻―行政学
著書―『行政指導』『技術官僚』『司法官僚裁判所の権力者たち』『教育委員会』(以上,岩波新書),『「主権者教育」を問う』(岩波ブックレット),『新版行政ってなんだろう』(岩波ジュニア新書),『司法よ! おまえにも罪がある』(講談社),『現代日本政治入門』(共著,東京大学出版会),『政治をみる眼』(出版館ブック・クラブ)ほか多数

書評情報

東京新聞 2018年2月11日
文藝春秋 2018年3月号
日刊ゲンダイ 2018円2月1日
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