語る歴史,聞く歴史

オーラル・ヒストリーの現場から

歴史のなかの「声」が聞こえる!

語る歴史,聞く歴史
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著者 大門 正克
通し番号 新赤版 1693
ジャンル 書籍 > 岩波新書 > 日本史
刊行日 2017/12/20
ISBN 9784004316930
Cコード 0221
体裁 新書 ・ 272頁
定価 本体860円+税
在庫 在庫あり
聞き取りによる歴史の重要性に光が当てられて久しい。しかし、経験を語り、聞くという営みがどう行われてきたかを論じた本は意外にもない。幕末明治の記録、戦前の民俗学、戦争体験、70年前後の女性たちの声、そして現在……。語った言葉が、聞き手に受け止められ、歴史として紡がれるまでの生き生きとした交歓を、自身の体験も交え考察、歴史学の豊かな可能性を展望する。
はじめに──「語る歴史,聞く歴史」から開ける世界

第1章 声の歴史をたどる──幕末維新の回顧録から柳田民俗学まで
 語る歴史を文字にする試み/人は話を聞き,語ってきた──声と文字のあいだ/前近代における歴史の編さんと聞く歴史/近代の歴史学の成立と政治を聞く歴史/明治時代の速記と幕末維新回顧ブーム/『福翁自伝』/『光雲懐古談』という座談/「話上手」の時代──篠田鉱造の『百話』/声を記述する方法/柳田国男と民俗学の誕生──アカデミズム歴史学への批判/柳田国男の「聞く」/瀬川清子/瀬川清子の「聞く」/戦前の「語る歴史,聞く歴史」/代書屋/声の文化の終焉と黙読の時代

第2章 戦後の時代と「聞く歴史」の深化──戦争体験を中心にして
 一九五〇~六〇年代の「語る歴史,聞く歴史」/画期としての一九七〇~八〇年代/戦後における「語る歴史,聞く歴史」の特質/戦後の政治を聞く歴史/国会図書館の政治談話録音/植民地を聞く歴史/朴慶植の強制連行を聞く歴史/野添憲治『花岡事件の人たち──中国人強制連行の記録』/『沖縄県史・沖縄戦記録』──戦争体験を聞く/『東京大空襲・戦災誌』──戦争体験を書く/沖縄戦を語る,聞く,叙述する──『沖縄県史・沖縄戦記録1』を読む/一九八〇年代までの「語る歴史,聞く歴史」

第3章 女性が女性の経験を聞く──森崎和江・山崎朋子・古庄ゆき子の仕事から
 女性の経験を聞く動き/森崎和江/聞き書きとしてまとめられた『まっくら』/「聞く」ことへの自覚/山崎朋子/『サンダカン八番娼館』を再読する/『サンダカン八番娼館』へ至る道/山崎朋子と森崎和江/古庄ゆき子/『ふるさとの女たち』/朝鮮人女工二人の聞き書き/「オモニのう目 次xiた」/記念碑的な作品/森崎・山崎・古庄──女性が女性の経験を聞く/戦後における二つの聞く歴史

第4章 聞き取りという営み──私の農村調査から
 なぜ,聞き取りにとりくんだのか/私の聞き取りを振り返る/聞く方法と想定外の話/「テーマを聞く」から「人生を聞く」へ/「聞く」ということ──ask とlisten のあいだ/桜林信義さんの場合/壁にぶつかった私の聞く歴史/なぜ語ってもらうことができなかったのか/歴史叙述の困難

第5章 聞き取りを歴史叙述にいかす
 二つの課題を受けとめる──聞く歴史と歴史叙述/沈黙という言葉──ask からlisten へ/ listen から聞こえてきたこと/試される聞き手──被害の委譲/歴史のなかに「語る歴史,聞く歴史」を置き直す/「語る歴史,聞く歴史」をふまえた通史の構想/『戦争と戦後を生きる』での挑戦/通史への反応/戦後の学問と「語る歴史,聞く歴史」/中村政則『労働者と農民』/吉沢南の場合──難民との衝撃の出会い/聞き取りにおけxiiる「資料批判」/『私たちの中のアジアの戦争』の叙述方法/オーラル・ヒストリーの検討へ/「語る歴史,聞く歴史」をふまえた歴史叙述の試み

第6章 歴史のひろがり/歴史学の可能性
 歴史はどこに?/一九九〇年代以降の現在と「語る歴史,聞く歴史」/なぜ「聞く歴史」がひろがっているのか/介護民俗学の聞き書きの〈現場〉で/性をめぐる困難を背負った人たちの〈現場〉から/体験を聞く歴史が成り立つ条件とは?/文字史料と「語る歴史,聞く歴史」,あるいは定義をめぐって/戦争体験を受け継ぐ,受け渡す/自分の言葉に責任をもつ/東日本大震災のあとで──すぐそばにある歴史/継続して聞くなかで/「語る歴史,聞く歴史」の可能性

あとがき
参考文献
大門正克(おおかど まさかつ)
1953年千葉県生まれ.一橋大学大学院経済学研究科博士課程単位取得.博士(経済学)
現在─ 横浜国立大学大学院国際社会科学研究院教授
専攻─日本近現代史
著書─『近代日本と農村社会』(日本経済評論社)
   『民衆の教育経験』(青木書店)
   『歴史への問い/現在への問い』(校倉書房)
   『戦争と戦後を生きる』全集日本の歴史15(小学館)
   『国際社会と日本』Jr. 日本の歴史7(小学館)ほか
編著─『昭和史論争を問う』(日本経済評論社)
   『新生活運動と日本の戦後』(日本経済評論社)
   『「生存」の東北史』(大月書店)ほか

書評情報

毎日新聞(夕刊) 2018年3月29日
図書新聞 2018年3月10日
北海道新聞 2018年2月11日
朝日新聞(朝刊) 2018年2月4日
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