松田道雄と「いのち」の社会主義
“在野の思想家”の多岐にわたる活動と思索を「社会主義」という観点から捉え直し,その思想的葛藤が提起した問題を改めて問い直す.
名著『育児の百科』の著者として知られる医師にして,ルソーやロシア革命史の研究者,さらに「ベ平連」等の市民運動においても大きな役割を果たした“在野の思想家”松田道雄.その多岐にわたる活動と思索を「社会主義」という観点から捉えなおし,一人の20世紀知識人の思想的葛藤が提起した問題に新たな光を当てる.社会主義へのアンビヴァレントな思いを背景に,自己批判に揺れ動く葛藤をもちつつ時代の精神と格闘した松田の思想像に迫る.
はじめに
序 章 松田道雄と社会主義
1 二つの松田道雄文庫
2 丸山眞男の松田道雄宛書簡
3 『療養の設計』とインフォームド・コンセント
4 レニングラードにて
第Ⅰ部 「市民」概念と社会主義
第一章 ベ平連と社会主義
1 松田道雄と市民運動
2 「反戦と変革にかんする国際会議」にて
3 アナーキズムと市民運動
第二章 「市民」概念の多様性
1 「市民文化団体連合」から「市民連合」へ
2 「声なき声の会」の理念と久野収の「市民」概念
3 小田実の「市民」概念とベ平連内部の対立
4 松田道雄の「市民」概念と日常性への回帰
第三章 マルクスとレーニンのあいだ
1 『ロシアの革命』の衝撃
2 陰謀家の系譜
3 マルクスという聖域
4 社会主義へのまなざし
5 希望を捨てるという希望
第Ⅱ部 育児書のなかの「市民」
第四章 思想書としての『育児の百科』
1 実用書を超える育児書
2 『育児の百科』の基本構図
3 健全な少年少女のために
4 『育児の百科』の読者像
第五章 集団保育の発見
1 育児と集団保育
2 集団保育と文化の担い手
3 「レンガの子ども」をめぐって
4 マカレンコの集団主義教育論
5 集団保育の日本的伝統
第六章 ルソーをめぐる葛藤
1 回想の大正自由教育
2 幼児教育とルソー
3 『エミール』の医学概論
4 ルソーへの懐疑
5 ルソーと社会主義
第Ⅲ部 社会主義と「いのち」
第七章 安楽死と社会主義
1 松田道雄の晩節
2 安楽死をめぐる錯綜
3 脳死と安楽死のあいだ
4 無謬性からの解放
5 医師と患者の関係
第八章 女と「いのち」
1 廃娼運動と伊藤野枝
2 主婦論争のなかで
3 サン‐シモン主義と女性解放
4 一九六八年からの展望
おわりに
参考文献
人名索引
序 章 松田道雄と社会主義
1 二つの松田道雄文庫
2 丸山眞男の松田道雄宛書簡
3 『療養の設計』とインフォームド・コンセント
4 レニングラードにて
第Ⅰ部 「市民」概念と社会主義
第一章 ベ平連と社会主義
1 松田道雄と市民運動
2 「反戦と変革にかんする国際会議」にて
3 アナーキズムと市民運動
第二章 「市民」概念の多様性
1 「市民文化団体連合」から「市民連合」へ
2 「声なき声の会」の理念と久野収の「市民」概念
3 小田実の「市民」概念とベ平連内部の対立
4 松田道雄の「市民」概念と日常性への回帰
第三章 マルクスとレーニンのあいだ
1 『ロシアの革命』の衝撃
2 陰謀家の系譜
3 マルクスという聖域
4 社会主義へのまなざし
5 希望を捨てるという希望
第Ⅱ部 育児書のなかの「市民」
第四章 思想書としての『育児の百科』
1 実用書を超える育児書
2 『育児の百科』の基本構図
3 健全な少年少女のために
4 『育児の百科』の読者像
第五章 集団保育の発見
1 育児と集団保育
2 集団保育と文化の担い手
3 「レンガの子ども」をめぐって
4 マカレンコの集団主義教育論
5 集団保育の日本的伝統
第六章 ルソーをめぐる葛藤
1 回想の大正自由教育
2 幼児教育とルソー
3 『エミール』の医学概論
4 ルソーへの懐疑
5 ルソーと社会主義
第Ⅲ部 社会主義と「いのち」
第七章 安楽死と社会主義
1 松田道雄の晩節
2 安楽死をめぐる錯綜
3 脳死と安楽死のあいだ
4 無謬性からの解放
5 医師と患者の関係
第八章 女と「いのち」
1 廃娼運動と伊藤野枝
2 主婦論争のなかで
3 サン‐シモン主義と女性解放
4 一九六八年からの展望
おわりに
参考文献
人名索引
高草木光一(たかくさぎ こういち)1956年群馬県生まれ.慶應義塾大学経済学部教授.社会思想史専攻.
主な著作に,『岡村昭彦と死の思想――「いのち」を語り継ぐ場としてのホスピス』(岩波書店),『社会主義と経済学』(共著,日本経済評論社),『「いのち」から現代世界を考える』『一九六棚年代未来へつづく思想』『思想としての「医学概論」――いま「いのち」とどう向き合うか』(以上,編著,岩波書店),『ベ平連と市民運動の現在(いま)――吉川勇一が遺したもの』(編著,花伝社),『生きる術としての哲学――小田実最後の講義』(共編著,岩波書店)などがある.
主な著作に,『岡村昭彦と死の思想――「いのち」を語り継ぐ場としてのホスピス』(岩波書店),『社会主義と経済学』(共著,日本経済評論社),『「いのち」から現代世界を考える』『一九六棚年代未来へつづく思想』『思想としての「医学概論」――いま「いのち」とどう向き合うか』(以上,編著,岩波書店),『ベ平連と市民運動の現在(いま)――吉川勇一が遺したもの』(編著,花伝社),『生きる術としての哲学――小田実最後の講義』(共編著,岩波書店)などがある.
書評情報
図書新聞 2018年7月21日(第3360号)
京都新聞 2018年3月25日
熊本日日新聞 2018年3月11日
京都新聞 2018年3月25日
熊本日日新聞 2018年3月11日