世界 2018年2月号

【特集:反貧困の政策論】

世界 2018年2月号
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ジャンル 雑誌 > 世界 > 定期号
刊行日 2018/01/06
■特集:反貧困の政策論

 2017年6月,厚生労働省から「日本の貧困率は下がっている」とう報告がなされた.アベノミクスの果実は着実に実り,貧困の実態は改善に向かっている,と.しかし,この報道発表で隠されていた「不都合な真実」があった.それは,貧困層の生活の質が低下していることである.
 産業別平均賃金,学生の就職率,大企業の収益率といった表面的な数値で好景気が演出される裏で,非正規雇用率は上がり,最低賃金は国際水準に照らして圧倒的に低く,「はたらけど猶わが生活(くらし)楽にならざり」.富める者は痛みを負うことなく,貧しい者はより貧しく.安倍政権はさらなる生活保護,児童手当の給付の切下げさえ実行しようとしている.
 政治が取り組むべき最大のテーマの一つが貧困対策であることは論を俟たない.世界に目を向ければ,近年,貧困対策が優先され,その成果が形になり始めた国も出てきている.高齢化の大波が押し寄せる日本は,いま本気で貧困問題と向き合わなければ,手遅れになってしまう.
 医療・介護,年金,生活困窮者支援などについて,貧困政策を具体的に考える.
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┃ 特集 ┃反貧困の政策論
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〈座談会〉
本来の全世代型社会保障とは何か
大沢真理(東京大学)×宮本太郎(中央大学)×武川正吾(東京大学)

〈銀行の規制を〉
多重債務の悪夢,再び――憂慮すべき銀行のサラ金化
宇都宮健児(弁護士)

〈対談〉
“理解されない生活保護”が生命をつなぐ
柏木ハルコ(漫画家)×安井飛鳥(弁護士)

〈欧米からみた日本〉
台頭する「賃貸世代」の反貧困運動
小玉徹(大阪市立大学)

〈進む韓国〉
困窮者一人ひとりに真に寄り添う政策
五石敬路(大阪市立大学)

〈社会的包摂とは〉
生きる場としての地域・自治体――縮小社会の反貧困政策を問う
今井 照(地方自治総研)

〈貧困と経済学〉
雇用・非正規から正規へ――ノーベル賞受賞者の提言
赤木昭夫(元慶応義塾大学教授)

〈連載ルポ〉
職業としての保育園(上)――情報公開資料から見る保育士の人件費
小林美希(フリージャーナリスト)

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◆注目記事
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〈真に「安全」を「保障」するには〉
米朝戦争の危機と日本の針路
柳澤協二(元内閣官房副長官補)

〈インタビュー〉
朝鮮半島の危機は外交的手段でのみ解決できる
ティム・ショロック(ジャーナリスト),聞き手=高嶺朝太(T&CT Office)

〈人類の終焉?〉
“空騒ぎ”ではなかった環境ホルモン――負のスパイラルに陥る男性の生殖能力
水野玲子(サイエンスライター)

〈危険な「神経毒」〉
世界に広がるネオニコチノイドの蜂蜜汚染は警告する
E・A・D・ミッチェル(ヌーシャテル大学)他,訳=平 久美子(東京女子医科大学),監訳=星川 淳

〈苦悩するメルケル〉
ドイツは社会の亀裂をいかに継ぎ留めるのか――テロの傷痕と難航極める新連立交渉の行方
梶村太一郎(ジャーナリスト)

〈対談〉
いま「大学で勉強する」ということ――五〇年後の日本社会と高等教育
松岡 敬(同志社大学学長)×佐藤 優(作家)

〈対談〉
「日本人」を縛る戸籍という装置
井戸まさえ(元衆議院議員)×遠藤正敬(早稲田大学台湾研究所非常勤次席研究員)

〈現代史発掘ルポ〉
生への列車・キンダートランスポート2――エヴァとデジーに会う英国への旅
中村真人(フリーライター)

〈読者投句〉
岩波俳句
選・文=池田澄子(俳人)

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◇世界の潮
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◇サンフランシスコ市「慰安婦」像設置をめぐる「歴史戦」
山口智美

◇伊方原発三号機運転差止め――高裁で初の判断
甫守一樹

◇サウジアラビアの「改革」をどう見るか
石黒大岳

◇トルドーの涙,日本の涙――LGBTQ2への「謝罪」
北丸雄二

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●連載
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●脳力のレッスン【190】特別篇
二〇一八年への確かな視座――世界同時好況の落とし穴と閉塞感を超える視界を求めて
寺島実郎

●片山善博の「日本を診る」【第99回】
「平成三〇年度与党税制改正大綱」から読み取れる政治の劣化
片山善博(早稲田大学)

●ルポ・軍事列島【第3回】
横須賀――ファースト・ストライクの出撃拠点
新倉裕史

●吉田調書を超えて〈第2部〉【第5回】
公開されない情報
海渡双葉(弁護士)

●トランプのアメリカに住む【2】
星条旗とスポーツのあいだ――NFL選手の抵抗
吉見俊哉(東京大学)

●アパレル興亡【第6回】
黒木 亮(作家)

●私的小豆島名所【その32】
内澤旬子(イラストルポライター)

●イングリッシュ・レッスン――お試し難民流英語学習伝【19】
世界タクシー
中村和恵(明治大学)

●神を捨て,神になった男 確定死刑囚・袴田巖【第12回】
――「リングの中は,嘘がない世界」
青柳雄介(ジャーナリスト)

●それぞれの出ウチナー記 海を越えるアイデンティティー【第6話】
――「勝ち組」が故郷に見た風景
三山 喬(ジャーナリスト)

●中国新建築文化論【第10回】
村落地帯への(再)転回――張雷の「反設計」
市川紘司(東京藝術大学助手)

●メディア批評【第122回】
神保太郎(ジャーナリスト)

●原発月報――(17・11~12)
福島原発事故記録チーム

●沖縄(シマ)という窓――今に残る私宅監置跡と沖縄の精神医療
山城紀子

●世界論壇月評
朱建栄・竹田いさみ・吉田文彦・石郷岡建

●ドキュメント激動の南北朝鮮【246】(17・11~12)
編集部

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○グラビア
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○グラビア――特別招待作品 Running from Myanmar
モイセス・サマン(写真家)

○A SHOT OF THE WORLD

○表紙の言葉
鈴木邦弘(写真家)

○表紙写真= 鈴木邦弘 デザイン= 赤崎正一+ 佐野裕哉

○グラビアについて(公募規定)

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◇編集後記
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書評情報

朝日新聞(夕刊) 2018年2月7日
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