新刊

中国明堂思想研究

王朝をささえるコスモロジー

中国歴代の王朝はなぜ,漢代すでに実現が難しかった「明堂」の復元を試みたのか.定説なき「明堂」の言説を解き明かす基本の一冊.

中国明堂思想研究
このエントリーをはてなブックマークに追加
著者 南澤 良彦
ジャンル 書籍 > 単行本 > 哲学
刊行日 2018/02/15
ISBN 9784000238915
Cコード 3010
体裁 A5 ・ 上製 ・ 函入 ・ 320頁
定価 本体11,000円+税
在庫 在庫あり
古代中国において国家の重要な典礼が行われた「明堂」は漢代すでにその正確な形式や規模は失われていた.にも関わらず,歴代王朝はなぜ困難な「明堂」の復元を試みたのか.本書は錯綜する「明堂」の言説を丹念に集め,新たな知見とともに思想通史として解き明かす.風水思想や中国医学とも関連する「明堂」研究の基本の一冊.
序 章
第一節 問題の所在
 (一)明堂とは何か
 (二)なぜ明堂を問題とするのか
第二節 研究史
 (一)歴史研究における明堂研究史
 (二)考古学研究における明堂研究史
 (三)建築学研究における明堂研究史
 (四)思想研究における明堂研究史
第三節 本書の研究目的と構成
 (一)本書の研究目的
 (二)本書の構成

第一章 先秦両漢時代 王者の殿堂,神霊の廟堂

第一節 先秦時代
 (一)戦国諸子文献所載の明堂――『孟子』と『荀子』
 (二)経典所載の明堂
第二節 前漢時代
 (一)武帝初期の長安明堂構想
 (二)武帝の泰山明堂と不死願望
 (三)王莽の長安明堂と儒教国家
 (四)王莽の長安明堂の文献資料と考古学研究
第三節 後漢時代
 (一)後漢雒陽明堂とその淵源
 (二)後漢雒陽明堂の五帝
 (三)後漢雒陽明堂の構造
 (四)蔡邕の「明堂月令論」――後漢の明堂論1
 (五)鄭玄の明堂説――後漢の明堂論2
結 語

第二章 魏晋時代 絶え間なき論争と変革

第一節 曹魏時代
 (一)魏初の明堂と高堂隆の改制
 (二)王粛の五帝説
第二節 西晋時代
 (一)西晋初の明堂改制と摯虞の再改制
 (二)裴噂の「一屋之論」とその南北朝への影響
結 語

第三章 南朝宋時代 伝統と新天地での革新

第一節 明堂の創建
第二節 明堂の祭祀
第三節 明堂の五帝
第四節 「明堂歌」の構成
第五節 「明堂歌」の神神
結 語

第四章 南朝斉梁陳時代 中華意識と柔軟性

第一節 南斉時代
 (一)南斉の祭祀礼制
 (二)南斉明堂の祭祀対象
第二節 梁時代
 (一)梁の武帝の明堂改制1(第一のプラン)
 (二)梁の武帝の明堂改制2(第二のプラン)
 (三)梁の武帝の明堂改制3(実現したプラン)
第三節 陳時代
結 語

第五章 北朝北魏時代 正統王朝となるために

第一節 平城明堂の建立
第二節 平城明堂の構造
 (一)平城明堂の独自性――漢魏洛陽明堂との比較
 (二)北魏平城明堂と蔡邕「明堂月令論」――上円下方と九室
 (三)機輪と蓋図
第三節 平城明堂の機能
 (一)上帝祭祀
 (二)聴 朔
 (三)享 祭
 (四)養 老
 (五)運 籌
第四節 北魏の明堂論と洛陽明堂の建立
 (一)袁翻の「明堂議」
 (二)賈思伯の「明堂議」
 (三)李謐の「明堂制度論」
第五節 洛陽明堂の構造と機能――五室初建,九室改修
第六節 北魏明堂の祭祀
結 語

第六章 隋代 確乎不抜の正統意識

第一節 牛弘の明堂奏議
 (一)明堂論史
 (二)牛弘の明堂質疑
 (三)牛弘の明堂案
第二節 宇文愷の明堂奏議
 (一)明堂の意義
 (二)歴代明堂
 (三)宇文愷の明堂案
第三節 牛弘と宇文愷の明堂案の特色
第四節 隋の明堂祭祀
結 語

第七章 唐代 私が古典を創作する

第一節 則天武后以前の明堂論議
 (一)儒学者孔穎達の意見――貞観年間の明堂論議1
 (二)政治家魏徴の意見――貞観年間の明堂論議2
 (三)歴史家顔師古の意見――貞観年間の明堂論議3
 (四)役人たちの意見――高宗時代の明堂論議1
 (五)高宗の明堂構想――高宗時代の明堂論議2

第二節 則天武后の明堂
 (一)万象神宮の建立
 (二)万象神宮の機能
 (三)通天宮の建立
第三節 則天武后以降の唐の明堂
 (一)玄宗時代の則天明堂批判
 (二)玄宗時代の則天明堂廃止
第四節 唐の明堂の祭祀と唐代三大礼
 (一)唐代三大礼の制定経緯
 (二)『開元礼』の明堂祭祀規定――『貞観礼』『顕慶礼』との比較
結 語

第八章 宋元明清時代 復古と世俗化

第一節 宋元時代の明堂
 (一)北宋時代の明堂儀礼1 ――寓礼時代
 (二)北宋時代の明堂儀礼2 ――祭祀対象の削減
 (三)北宋時代の明堂儀礼3 ――徽宗の明堂建立以降
 (四)南宋時代の明堂とその世俗化
 (五)元時代の明堂論議
第二節 明清時代の明堂
 (一)明代の明堂――大祀殿,大享殿,皇乾殿
 (二)清代の明堂――禁中大饗殿,天壇祈年殿
結 語

終 章 明堂の変遷と波及

第一節 明堂の位置
 (一)明堂の設置地点――城南から宮城(正殿)へ
 (二)則天武后の万象神宮の意義
第二節 明堂の構造
 (一)則天武后の明堂の構造
 (二)宋代の大慶殿=明堂の構造
第三節 明堂の祭祀
 (一)明堂の神神――昊天上帝と五帝
 (二)明堂の神神――天地合祭
第四節 明堂の波及
 (一)中国医学における明堂
 (二)風水思想における明堂
結 語


あとがき
索 引
南澤良彦(みなみざわ よしひこ)
1962年,兵庫県生まれ.
1985年,京都大学文学部哲学科中国哲学史専攻卒業.
1992年,京都大学大学院文学研究科博士後期課程研究指導認定退学.
2012年,京都大学博士(文学)学位取得.
現在,九州大学大学院人文科学研究院准教授.
専門は中国古代中世思想史,中国科学技術思想史.1995年度「張衡の宇宙論とその政治的側面」(『東方学』89)で,東方学会賞受賞.
〔主要論文〕「『帝王世紀』の成立とその意義」(『日本中国学会報』44,1992),「『孔子家語』の流伝と評価との再検討」(『九州中国学会報』51,2013),「唐代の将作大匠―中国中世官僚制における科学技術と術数」(『中国哲学論集』41,2015)など.
ページトップへ戻る