済州島四・三事件

「島(タムナ)のくに」の死と再生の物語

歴史と記憶の抹殺,そして再生への道程

済州島四・三事件
このエントリーをはてなブックマークに追加
著者 文 京洙
通し番号 学術377
ジャンル 書籍 > 岩波現代文庫 > 学術
刊行日 2018/02/16
ISBN 9784006003777
Cコード 0122
体裁 A6 ・ 並製 ・ カバー ・ 304頁
定価 本体1,300円+税
在庫 在庫あり
かつて朝鮮半島の南の島・済州島で,130余りの村が焼かれ3万人近い島民が犠牲となる凄惨な事件が起きた.本書は長年タブーとして封印されてきたその実相を解明し,事件の歴史的背景,真相糾明に向けた困難な闘い,そして歴史と真実を恢復し島共同体が再生するまでを描く.事件70周年を期して文庫化.
はじめに


第Ⅰ章 済州島とはどんな島か――神話時代から植民地期まで

第一節 皐民(こうみん)(海の民)の時代
 火山島――三多の島/ 耽羅(タムナ)の国/海の帝王・張保皐
第二節 海の時代から陸の時代へ
 モンゴルの遺産/流刑の島/抵抗の伝統
第三節 植民地時代の済州島
 植民地化/君が代丸/マルチ・エスニシティ都市・大阪/海女(ヘニョ)たちの反乱――済州島の抗日運動/日本の社会運動と済州島人/「決七号作戦」


第Ⅱ章 四・三事件への道のり

第一節 信託統治の挫折
 ソ連の参戦/信託統治/分断に向かって/人民委員会と米軍政/左右合作と一〇月人民抗争
第二節 済州島の人民委員会
 解放直後の済州島/済州島建準の組織化/人民委員会への移行/開かれた人民委員会/わが道を行く人民委員会
第三節 三・一節事件
 済州島の左派勢力/南労党済州島委員会/三・一節の発砲事件とゼネスト/米軍政の対応/西北青年会/引き裂かれる済州島社会


第Ⅲ章 四・三事件の経緯と殺戮

第一節 武装蜂起
 追い詰められた南労党/新村(シンチョン)会議――蜂起の決断/決起の日/武装蜂起の性格
第二節 阻止された単独選挙
 国防警備隊/四・二八和平交渉/単独選挙/鎮圧に乗り出した警備隊
第三節 分断国家の下で
 建国/海州会議/本格的討伐戦への準備と米臨時軍事顧問団/麗順(ヨスン)(麗水(ヨス)・順天(スンチョン))事件/軍服を着た西青,そして戒厳令/焦土化作戦の背景――米軍撤退問題
第四節 焦土化作戦
 朝天面での殺戮/パッソンネの虐殺/若者の消えた村,兎山里(トサンリ)/代殺――逃避者家族の虐殺/失われた村/水葬――知識層の虐殺/武装隊による殺戮/ 北村里(プクチョンリ)の悲劇――最大の虐殺事件/最終討伐戦,そして金時鐘/戦時下の虐殺/最後の武装隊


第Ⅳ章 その後の済州島――沈黙の壁を越えて

第一節 沈黙と停滞
 クェンダン共同体/レッド・コンプレックス/ポリッコゲ/四・一九学生革命
第二節 変わる済州島社会
 漢江の奇跡/飢餓からの脱出/蜜柑と在日/観光開発
第三節 蘇る済州島
 六月抗争/スヌルム,固有の文化の再発見/立ち上がる海女たち/済州道開発特別法
第四節 四・三特別法への道
 闇を穿つ作家たち――玄基榮と金石範/四・三運動の胎動/受難と和解/特別法制定に向かって/『済州四・三事件真相調査報告書』


終 章 記憶をめぐる対話に向けて

第一節 残された課題
 四・三特別法の改定/遺骸発掘/四・三事件と在日/阪神教育闘争と四・三事件/日本の四・三運動
第二節 記憶をめぐる戦争
 韓国の過去清算/記憶をめぐる内戦/四・三事件の「歴史定立」


おわりに
白碑に何を刻むか――現代文庫版あとがきにかえて

図版出典一覧
参考文献
済州四・三事件真相糾明および犠牲者名誉回復に関する特別法
済州島四・三事件関連年表
文 京 洙(ムン ギョンス)
一九五〇年東京生まれ.立命館大学国際関係学部特任教授.著書に『韓国現代史』『新・韓国現代史』『在日朝鮮人――歴史と現在』(水野直樹と共著)(以上,岩波新書),『済州島現代史――公共圏の死滅と再生』(新幹社),『在日朝鮮人問題の起源』(クレイン),『なぜ書きつづけてきたか なぜ沈黙してきたか――済州島四・三事件の記憶と文学』(金時鐘・金石範と共著)(平凡社)などがある.

書評情報

朝日新聞(朝刊) 2018年6月23日
東京新聞(朝刊) 2018年4月29日
ページトップへ戻る