「数」を分析する

「数える」ことを出発点に,数と集合に関する難題から「不完全性定理」まで,ユーモア溢れる語り口で分析する.

「数」を分析する
著者 八木沢 敬
通し番号 114
ジャンル 書籍 > 岩波現代全書 > 哲学・思想・宗教
刊行日 2018/03/15
ISBN 9784000292146
Cコード 0310
体裁 四六 ・ 並製 ・ カバー ・ 230頁
定価 2,310円
在庫 在庫あり
誰もが知っている自然数.「論理」とともに人間の思考の基礎をなし,数の中でも最も基本的なものだ.しかしこれを分析し始めると,たちまち奇妙な問題がたくさん出てくる.「数える」ことにまつわる問題から始めて,数と集合に関する難題から「不完全性定理」まで,哲学的に興味ぶかい話題をユーモアあふれる語りくちで論じる.
まえがき

第1章 かぞえるということ
 1  リンゴをかぞえる
 2  リンゴの分子
 3  1頭のトラの数
 4  「もの」はかぞえられない

第2章 自然数という個体
 1  方向という個体
 2  同値類
 3  1対1 対応
 4  物体から離れた個体

第3章 概念と集合
 1  ラッセルのパラドックス
 2  レベルのヒエラルキー

第4章 集合としての自然数
 1  ありすぎる定義
 2  わたしたちが作る自然数
 3  自然数論に自然数はいらない

第5章 基数と順序数
 1  メンバーの順序づけ
 2  デーデキント・ペアーノ公理
 3  かぎりない無限
 4  有理数とアレフ・ゼロ
 5  実数とアレフたち
 6  メンバーの集合の集合
 7  無限数へのアクセス
 8  数学的帰納法
 9  数学的帰納法を疑う
 10 砂山のチャレンジ

第6章 確実性と必然性
 1  物体に対する自然数の優越性
 2  アプリオリ
 3  アポステリオリ
 4  抽象性と存在

第7章 自然数のフィクショナリズム
 1  フィクションとノンフィクションのちがい
 2  自然数の有用性
 3  話がうますぎる
 4  心
 5  保守的延長
 6  紫の上は存在する
 7  お 金
 8  世界と世界
 9  応用問題
 10 ホーリズム

第8章 「真だ」≠「証明できる」
 1  証明できない真理
 2  噓つき文
 3  ゲーデル文は数式
 4  証明できない無矛盾性

第9章 集 合
 1  物体の常識
 2  空間的でない集まり
 3  一緒くたに語る
 4  集合だけの集合
 5  空集合のメンバー
 6  空集合のメンバー過剰

あとがき
八木沢敬(やぎさわ たかし)
1953年生.プリンストン大学大学院修了(Ph.D. 1981).現在,カリフォルニア州立大学ノースリッジ校哲学科教授.
専攻:形而上学,言語哲学,心の哲学.
著書:Worlds and Individuals, Possible and Otherwise(Oxford UP, 2010).『分析哲学入門』(2011),『意味・真理・存在』(2013),『神から可能世界へ』(2014),『『不思議の国のアリス』の分析哲学』(2016,以上いずれも講談社),『「正しい」を分析する』(2016),『「論理」を分析する』(2018,以上岩波書店)など.
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