越境する歴史認識

ヨーロッパにおける「公共史」の試み

国内外の歴史認識の分断を越境するために積み重ねられてきた公共史の試みを紹介し,その可能性を探る.

越境する歴史認識
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著者 剣持 久木
ジャンル 書籍 > 単行本 > 歴史
刊行日 2018/03/27
ISBN 9784000223010
Cコード 0022
体裁 A5 ・ 上製 ・ カバー ・ 208頁
定価 本体3,600円+税
在庫 在庫あり
「慰安婦」問題をはじめ,国内外で歴史認識をめぐる分断が絶え間なく生じ続けるなか,歴史学はどのように現実にコミットしうるのだろうか――ナチズムや戦争責任などをめぐり日本と同様の問題を抱えてきたヨーロッパで歴史認識の分断を越境するために積み重ねられてきた,博物館やテレビドラマなどの公共史の試みを紹介し,その可能性を探る.
序 章 歴史認識問題から公共史へ……………剣持久木
 はじめに
 1 公共史とはなにか
 2 タテの公共史
 3 ヨコの公共史
 4 タテとヨコの交差――国境を越える歴史博物館
 5 公共史の課題――吉見裁判が提起するもの
 6 フランスにおける公共史――『リストワール』誌の例
 7 本書の構成


第Ⅰ部 タテの公共史

第1章 映像の中での公共史――「フランスの村」にみる占領期表象の現在……………剣持久木
 はじめに
 1 映像の中の占領期表象
 2 「フランスの村」
 3 公共史としての映像――ホロコースト表象の射程
 4 おわりに

第2章 ドイツ現代史の記述と表象――「ジェネレーション・ウォー」から考える歴史認識の越境化の諸相……………川喜田敦子
 はじめに
 1 ドラマシリーズ「ジェネレーション・ウォー」の放映
 2 「ジェネレーション・ウォー」に見るドイツの歴史認識
 3 ナショナル・ヒストリーの越境化の諸相
 まとめ

第3章 証言と歴史を書き記すこと(エクリチュール)――ショアーの表象をめぐって
……………アネット・ヴィヴィオルカ(安原伸一朗 訳)

第4章 ポーランド現代史における被害と加害――歴史認識の収斂・乖離と歴史政策……………吉岡 潤
 はじめに
 1 ポーランド現代史を捉える認識パッケージ
 2 「歴史消費大国」ポーランド
 3 ポーランド現代史の負の側面――ドイツ人「追放」問題
 4 歴史認識の収斂と公共化
 5 乖離する歴史認識
 おわりに

補 章 日本における博物館展示と戦争の痕跡……………ファブリス・ヴィルジリ(剣持久木 訳)
 はじめに
 1 平和博物館?
 2 博物館のなかで誰が戦争の犠牲者なのか
 3 日本帝国軍の犠牲者を語る
 4 空襲下の人々
 5 兵士の苦しみあるいは犠牲者としての兵士?
 6 男だけでなく女の歴史
 おわりに


第Ⅱ部 ヨコの公共史

第5章 第一次世界大戦の博物館展示――ペロンヌ大戦歴史博物館(ソンム県)の事例
 ……………ステファン・オードワン=ルゾー(末次圭介訳)
 はじめに
 1 当初の博物館
 2 博物館と研究
 3 展示品からわかること
 おわりに そして今,新しい博物館へ……

第6章 ヨーロッパ国境地域における戦争の記憶と博物館――アルザス・モーゼル記念館を例に
 ……………西山暁義
 はじめに 歴史博物館と歴史学
 1 独仏国境地域の現代史博物館――アルザス・モーゼル記念館
 2 アルザス・ロレーヌと第二次世界大戦
 3 記念館設立への過程
 4 多様な記憶と展示される過去をめぐって
 5 展示方法――再現的手法の多用
 おわりに 反響と新たな課題――「名前の壁」と「ヨーロッパ統合展示」

第7章 ドイツにおける対外文化政策としての歴史対話――一九七〇年代の国際教科書研究所をめぐって
……………近藤孝弘
 はじめに 共同教科書が提起する問題
 1 ドイツ=ポーランド対話の進展と国際歴史教科書対話の語られ方
 2 国際教科書研究所再建問題における西ドイツ外務省のアプローチ
 おわりに 国家の相対化と歴史コミュニケーション圏の変容


おわりに……………剣持久木
〔執筆者・翻訳者略歴(掲載順)〕

剣持久木(けんもち ひさき)【編者】
1961年生.静岡県立大学国際関係学部教授.フランス現代史.『記憶の中のファシズム――「火の十字団」とフランス現代史』(講談社選書メチエ,2008).

川喜田敦子(かわきた あつこ)
1974年生.中央大学文学部教授.ドイツ現代史.『ドイツの歴史教育』(白水社,2005).
アネット・ヴィヴィオルカ(Annette Wieviorka)
1947年生.フランス国立科学研究センター教授.ジェノサイド史,20 世紀ユダヤ人史.Déportation et génocide: Entre la mémoireet l’oubli, Hachette Littératures, 2003.

安原伸一朗(やすはら しんいちろう)
1972年生.日本大学商学部准教授.フランス文学.『公の中の私,私の中の公』(共著,日本評論社,2013).

吉岡 潤(よしおか じゅん)
1969年生.津田塾大学学芸学部教授.ポーランド現代史.『戦うポーランド――第二次世界大戦とポーランド』(東洋書店,2014).

ファブリス・ヴィルジリ(Fabrice Virgili)
1961年生.パリ第一大学教授.20世紀の戦争と性.Naître ennemie.Les enfants nés de couples franco-allemands pendant laSeconde Guerre mondiale, Payot, 2009.

ステファン・オードワン=ルゾー(Stephane Audoin-Rouzeau)
1955年生.社会科学高等研究院教授,ペロンヌ大戦歴史博物館国際研究センター所長.第一次世界大戦史,現代戦争の歴史人類学.La guerre des enfants: 1914-1918, Armand Colin, 2004.

末次圭介(すえつぐ けいすけ)
通訳・翻訳者,学術博士.

西山暁義(にしやま あきよし)
1969年生.共立女子大学国際学部教授.ドイツ現代史.『帝国・国民・言語――辺境という視点から』(共著,三元社,2017).

近藤孝弘(こんどう たかひろ)
1963年生.早稲田大学教育・総合科学学術院教授.歴史/政治教育学.『ドイツの政治教育――成熟した民主社会への課題』(岩波書店,2005).
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