紛争化させられる過去

アジアとヨーロッパにおける歴史の政治化

被害の記憶から生じる新たな紛争.ポスト冷戦時代に激烈さを増した歴史認識問題を広域的な視点で分析する.

紛争化させられる過去
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著者 橋本 伸也
ジャンル 書籍 > 単行本 > 歴史
刊行日 2018/03/27
ISBN 9784000612579
Cコード 0022
体裁 A5 ・ 上製 ・ カバー ・ 336頁
定価 本体4,200円+税
在庫 在庫あり
ホロコースト,大量殺戮,植民地主義暴力,戦時性暴力──.現在,過去に他者に蹂躙されたという集合的な記憶が,さまざまな国内的・国際的な紛争の火種となっている.歴史の記憶・忘却・再記憶はどのような契機で起こり,現実政治とどのような関係にあるのか.洋の東西の事例を丁寧に拾い,ポスト冷戦時代に激烈さを増した歴史認識問題を広域的な視点で分析する.
はじめに――紛争化させられる過去 ……………橋本伸也
 
序 章 批判的記憶をめざして――ヨーロッパのなかでのドイツの事例
    ……………コンラート・ヤーラオシュ


第Ⅰ部 「過去」の構築と統制

第1章 旧東プロイセンにおけるソ連/ロシアの記憶の政治――要因と傾向,およびその結果
    ……………ユーリー・コスチャショーフ

第2章 「笑いを真面目に受けとめる」――韓国の植民地/独裁期の過去についてのジョークを規制する記憶政治
    ……………イ・ソヨン(李昭永)

第3章 フランスにおける植民地支配の過去と記憶――法制化をめぐる議論から 
    ……………平野千果子

第4章 オーストラリアの「歴史戦争」――新自由主義の代償
    ……………藤川隆男


第Ⅱ部 紛争と対話 ──「難しい過去」をめぐる二国間・多国間関係

第5章 二〇世紀の困難な過去をめぐるポーランド人と隣人との紛争と対話……………ズザンナ・ボグミウ

第6章 過去の政治化と国家間「歴史対話」――ロシアと周辺諸国との二国間歴史委員会の事例から
    ……………橋本伸也

第7章 東南アジアからみた靖国問題――表面化させない「紛争」
    ……………早瀬晋三


第Ⅲ部 紛争化させられる過去と歴史家の役割

第8章 グローバルな記憶空間と犠牲者意識(ヴィクティムフッド)
    ―― ホロコースト,植民地主義ジェノサイド,スターリニズム・テロの記憶はどのように出会うのか
    ……………イム・ジヒョン(林志弦)

第9章 矛盾した記憶あるいは過去の歴史化 オラフ・メルテルスマン
    ――エストニアの歴史家にとっての挑戦

第10章 歴史戦争と歴史和解の間で――戦士と調停者の二重性をめぐって
    ……………山室信一

終 章 歴史・記憶紛争の歴史化のために――東アジアとヨーロッパ
    ……………塩川伸明
橋本伸也(はしもと のぶや):【はじめに,第6章/序章,第2章翻訳】
1959年生.関西学院大学文学部教授.専門:ロシア近現代史,バルト地域研究.主要著作:『記憶の政治――ヨーロッパの歴史認識紛争』(岩波書店,2016年),『帝国・身分・学校――帝制期ロシアにおける教育の社会文化史』(名古屋大学出版会,2010年).


〈執筆者紹介〉

ヤーラオシュ,コンラート(Jarausch, Konrad Hugo)【序章】
1941年生.ノースカロライナ大学チャペルヒル校(アメリカ)ラーシー・ヨーロッパ文明論教授.専門:近現代ドイツ史,ヨーロッパ史.主要著作:Out of Ashes : A New History of Europe in the Twentieth Century(Princeton University Press, 2015), Reluctant Accomplice : A Wehrmacht Soldier's Letters from the Eastern Front(Princeton University Press, 2011).

コスチャショーフ,ユーリー(Костяшов, Юрий/Kostyashov, Yury)【第1章】
1955年生.イマニュエル・カント・バルト連邦大学(ロシア)教授.専門:カリーニングラード史,南スラヴ諸民族史.主要著作:Повседневность послевоенной деревни : из истории переселенческих колхозов Калининградской области, 1946-1953 гг[ Everyday Life of the Postwar Village : from the History of the Resettlement Collective Farms of the Kaliningrad Region](РОССПЭН. М., 2015), Секретная история Калининградской области : Очерки 1945-1956гг[Secret History of the Kaliningrad Region : Essays of 1945-1956](Терра Балтика, Калининград,2009).

立石洋子(たていし ようこ)【第1章翻訳】
1980年生.成蹊大学法学部助教.専門:ロシア・ソ連史.

イ・ソヨン(李昭永/Lee, Soyoung)【第2章】
1979年生.チェジュ国立大学(韓国)助教.専門:法社会史,法と記憶研究.主要著作:“‘Taking Laughter Seriously’ : The Politics of Memory in Regulating Jokes on Korea’s Colonial/Dictatorial Past”( Asia Europe Journal, vol. 15, no. 3, 2017), “The Wholesome Society and Its Enemies : Biopolitics of Vagrant Crackdown in the 1960-80s”( Korean Journal of Law and Society, vol. 51, 2016)ほか.

平野千果子(ひらの ちかこ)【第3章】
1958年生.武蔵大学人文学部教授.専門:フランス植民地史.主要著作:『フランス植民地主義と歴史認識』(岩波書店,2014年),『アフリカを活用する――フランス植民地からみた第一次世界大戦』(人文書院,2014年).

藤川隆男(ふじかわたかお)【第4章】
1959 年生.大阪大学大学院文学研究科教授.専門:オーストラリア史.主要著作:『妖獣バニヤップの歴史――オーストラリア先住民と白人侵略者のあいだで』(刀水書房,2016年),『人種差別の世界史――白人性とは何か?』(刀水書房,2011年)ほか.

ボグミウ,ズザンナ(Bogumił, Zuzanna)【第5章】
1978年生.マリア・グジェゴジェフスカ教育大学(ポーランド)助教.専門:文化人類学,メモリー・スタディーズ.主要著作:Stare i nowe tendencje w obszarze pamięci społecznej[Old and New Tendencies in the Social Memory]( Co-editor, Scholar, Warsaw 2018), Gulag Memory : The Rediscovery and Commemoration of Russia’s Repressive Past(Berghahn Books, 2018 forthcoming).

福元健之(ふくもとけんし)【第5章翻訳】
1988年生.関西学院大学文学部研究特別任期制助教.専門:ポーランド近代史

早瀬晋三(はやせしんぞう)【第7章】
1955年生.早稲田大学大学院アジア太平洋研究科教授.専門:東南アジア史.主要著作:『フィリピン近現代史のなかの日本人――植民地社会の形成と移民・商品』(東京大学出版会,2012年),『グローバル化する靖国問題――東南アジアからの問い』(岩波書店,2018年)ほか.

イム・ジヒョン(林志弦/Lim, Jie-Hyun)【第8章】
1959年生.ソガン大学校(韓国)教授.専門:歴史学研究とナショナリズム論.主要著作:The Palgrave Handbook of Mass Dictatorship( Co-editor, Palgrave Macmillan, 2016), Mass Dictatorship and Memory as Ever Present Past( Co-editor, Palgrave Macmillan, 2014).

原 佑介(はらゆうすけ)【第8章翻訳】
1980年生.立命館大学衣笠総合研究機構専門研究員.専門:比較文学.

メルテルスマン,オラフ(Mertelsmann, Olaf)【第9章】
1969年生.タルト大学(エストニア)准教授.専門:エストニア現代史,バルト現代史.主要著作:Everyday Life in Stalinist Estonia( Peter Lang, 2012), Die Sowjetisierung Estlands und seiner Gesellschaft( Verlag Dr. Kovac, 2012).

吉澤 賢(よしざわまさる)【第9章翻訳】
1977年生.関西学院大学文学部文学研究科非常勤講師.専門:ドイツ文学.

山室 信一(やまむろしんいち)【第10章】
1951年生.京都大学名誉教授.専門:法政思想連鎖史.著書:『思想課題としてのアジ
ア――基軸・連鎖・投企』(岩波書店,2001 年),『アジアびとの風姿――環地方学の試み』(人文書院,2017 年)ほか.

塩川 伸明(しおかわのぶあき)【終章】
1948年生.東京大学名誉教授.専門:ロシア・旧ソ連諸国現代史.著書:『多民族国家ソ連の興亡』(全3 巻,岩波書店,2004-07 年),『冷戦終焉20 年――何が,どのようにして終わったのか』(勁草書房,2010 年)ほか.

書評情報

KINOKUNIYA 書評空間 BOOKLOG 2018年4月14日
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