平面論

一八八〇年代西欧

20世紀の思考風景を決定した表象空間の政治学をめぐる、チャレンジングな論考.

平面論
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著者 松浦 寿輝
通し番号 学術378
ジャンル 書籍 > 岩波現代文庫 > 学術
刊行日 2018/03/16
ISBN 9784006003784
Cコード 0195
体裁 A6 ・ 並製 ・ カバー ・ 272頁
定価 本体1,080円+税
在庫 在庫あり
イメージの近代は1880年代に始まる.白紙に残された表象の痕跡,絵画の二次元,そしてスクリーンに投射される光の運動…….さまざまな芸術ジャンルを横断しつつ,20世紀の思考の風景を決定した表象空間の特質とイメージの政治学を明るみに出す.表象の「近代史」に新たな遠近法を導いたチャレンジングな論考.(解説=島田雅彦)
序章 表象空間の地滑り
 「近代」的な「イメージ」の出現
 「パターン/独創」の構図の無効化
 匿名性
 無人と蝟集
 〈外〉へ




1 「蝟集空間」
 メディアの中の「群衆」
 「等距離」と「再現」
 「アウラ」を呼吸すること
 祈禱師/外科医

2 「無人空間」
 もう一つの「イメージ」
 「アウラ」の再臨?
 「反復性」
  死と欠如の空間へ

3 〈像〉と〈貌〉
 〈像〉と呆気なさ
 謎の隠蔽をめぐる謎
 〈貌〉のわけのわからなさ
 「芸術」という時代錯誤

4 「現実的なるもの」をめぐって
 生と死
 遺影と向かい合うこと
 数量と強度
 「現実」=「死」という命題
 「レアリスム」と「近代」




5 〈枠〉あるいは「イメージ」の自意識
 現実のイメージ/イメージの現実
 〈枠〉と「世俗化」
 「小さな黄色い壁」
 まどろみと覚醒

6 鋳型・骰子・ページ
 不可能な記号
 否定神学の星座
 詩,あるいは残留する物質
 「場を除いては」

7 辱められた黄金
 偉大なる三面記事
 「近代」的な錬金術
 言語の二重状態
 「報道」の脱構築

8 〈面〉あるいは「イメージ」の「場なき場」
  書物/新聞
 「等身大」に切り取ること
 「外なるもの」の回帰
 魅入られること
 〈貌〉の忘却,〈像〉の磨耗




9 〈面〉から〈幕〉へ
 光を当てること
 「投射」の機制
 過剰,防禦
 内と外の反転,否定性

10 時間の断面
 「ショット」という単位
 空間と時間の熔接
 横断体験の強度
 「投射」の罠

11 鏡と幽霊
 ナルシシズム・双数性・類似
 罅の入った鏡像
 「物」
 「ものぐるひ」の時空
 接吻と夕暮

12 〈幕〉あるいは反= ナルシスの装置
 ぺらぺらなもの
 紙人形たちの劇
 四つの条件,ふたたび
 〈幕〉と「大きさのなさ」
 〈枠〉の中の〈枠〉

終章 「平面」と「近代」
 主題たりえぬ主題
 「それ自体」への視線
 四つの名前
 終ることの終り?


後 記
二〇一二年版のための追記――岩波人文書セレクションに寄せて
「岩波現代文庫」版のための後記
解 説……………島田雅彦
松浦寿輝(まつうら ひさき)
1954年東京生まれ.作家・詩人・仏文学者・批評家.東京大学名誉教授.東京大学大学院仏語仏文学専攻修士課程修了.パリ第III大学にて博士号(文学)を,東京大学にて博士号(学術)を取得.詩集に『冬の本』(高見順賞),『吃水都市』(萩原朔太郎賞),『afterward』(鮎川信夫賞),小説に『花腐し』(芥川龍之介賞),『半島』(読売文学賞),『名誉と恍惚』(谷崎潤一郎賞),エッセー・評論に『折口信夫論』(三島由紀夫賞),『エッフェル塔試論』(吉田秀和賞),『知の庭園 一九世紀パリの空間装置』(芸術選奨文部大臣),『明治の表象空間』(毎日芸術賞特別賞)など多数.

書評情報

週刊文春 2018年5月24日号
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