水俣から

寄り添って語る

人びとはいかに水俣病事件を明らかにしていったのか.当事者一人ひとりの声から水俣病の諸相が浮かび上がる.

水俣から
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著者 水俣フォーラム
ジャンル 書籍 > 単行本 > 社会
刊行日 2018/04/12
ISBN 9784000248860
Cコード 0036
体裁 四六 ・ 並製 ・ カバー ・ 208頁
定価 本体1,800円+税
在庫 在庫あり
人びとはいかにして水俣病の実相を明らかにしていったのか.分断された地域社会の中で,近代化の果てにむき出された病苦と疎外に向きあい,抗いつづけた者たち.患者,作家,医師,歴史家,法律家,映像作家,社会学者,環境学者――.当事者一人ひとりの声から水俣病の諸相が浮かび上がる.石牟礼道子ら十名の講演を収録.
 石牟礼道子 まぼろしのえにし

石牟礼道子  まなざしだけでも患者さんに
浜元二徳   私たち一家を襲った恐ろしい公害病
吉永理巳子  亡き人びとの声を伝えたい
原田正純   水俣病は人類の宝
宇井 純    世界の公害,日本の水俣病
土本典昭   私の水俣映画遍歴三七年
丸山定巳   水俣病と地域社会
富樫貞夫   水俣病事件は解明されたのか
松岡洋之助  「水俣病を告発する会」の日々
色川大吉   水俣の分断と重層する共同体
石牟礼道子  形見の声

 実川悠太 解説にかえて

初出一覧
【編者】

水俣フォーラム
水俣病事件について社会教育活動を展開する,東京都新宿区所在の認定NPO法人.会員900人,会友1万5000人.理事長実川悠太.前身は1994年発足の「水俣・東京展実行委員会」.全国各地の自治体や新聞社,大学や生活協同組合,宗教団体や環境団体と協力して,「水俣展」や「水俣病記念講演会」,セミナーやスタディーツアーの開催を続ける.近年の刊行物に『水俣病大学 第2期テキスト』(2014年),『水俣病図書目録』(2017年),編書に栗原彬編『証言 水俣病』(2000年),塩田武史『僕が写した愛しい水俣』(2008年)など.


【著者紹介】

石牟礼道子(いしむれ みちこ)
作家.1927年熊本県天草郡で生まれ,生後,水俣市へ移る.69年『苦海浄土』を発表.以来,水俣病患者と深く関わりつづけ,その苦しみと祈りを描破.同時に,近代的思考に拘束されない生活民の豊かな精神世界を表現.2002年発表の新作能『不知火』も再三上演される.『石牟礼道子全集・不知火』(全17巻・別巻1)が14年に完結.18年逝去.

浜元二徳(はまもと つぎのり)
水俣病患者.1936年水俣町に生まれる.父母は水俣病のため死亡.69年チッソに損害賠償を求める第1次訴訟の原告団に姉フミヨとともに加わる.72年ストックホルムの国連人間環境会議に赴き,水俣病の被害を世界に訴える.73年勝訴.84年「アジアと水俣を結ぶ会」を結成.市立水俣病資料館「語り部の会」名誉会長.2011年より入院生活.

吉永理巳子(よしなが りみこ)
水俣病患者.1951年水俣市に生まれる.幼少のころ父,祖父,従妹が水俣病を発病.その後,母,祖母も患者に.70年ごろ自身にも症状発現.94年『水俣の啓示――不知火海総合調査報告』(上下)を読んで患者家族であることを公表.97年から市立水俣病資料館語り部をつとめ,2012年に「水俣病を語り継ぐ会」を発足.

原田正純(はらだ まさずみ)
精神神経科医師.1934年鹿児島県に生まれる.胎児性水俣病の発生を証明.以後,水俣病について診察と調査研究をつづけ,多くの水俣病裁判で患者側証人となる.熊本大学体質医学研究所助教授,熊本学園大学社会福祉学部教授を歴任.2010年度朝日賞.『水俣病』をはじめ『水俣学講義』(全5巻)など編著書多数.12年逝去.

宇井 純(うい じゅん)
公害研究者.1932年東京都に生まれる.東京大学応用化学科を卒業後,日本ゼオンに勤務.62年より富田八郎の名で水俣病調査報告.東大助手となり70年より自主講座「公害原論」を主宰,15年つづける.72年には水俣病患者らとともにストックホルムの国連人間環境会議に赴き世界へ警告.反公害運動を導く.86年沖縄大学教授.2006年逝去.

土本典昭(つちもと のりあき)
記録映画作家.1928年岐阜県に生まれる.早稲田大学で学生運動に参加して除籍処分.岩波映画製作所を経てフリーとなる.70年水俣病患者支援のため厚生省前に座り込み逮捕される.この後,水俣撮影に入り,71年映画『水俣――患者さんとその世界』をはじめシリーズ17作品.95年患者遺影収集のため1年間遺族を訪ね500影を収集.2008年逝去.

丸山定巳(まるやま さだみ)
地域社会学者.1940年熊本県八代市に生まれる.京都大学大学院修了後,熊本大学講師となり,69年の「水俣病研究会」発足に参加,水俣市をはじめ不知火海沿岸住民の現地調査に継続的に取り組む.熊本大学教授,熊本学園大学教授を歴任.89年市立水俣病資料館設立検討委員会委員長,環境省水俣病問題に係る懇談会委員も務めた.2014年逝去.

富樫貞夫(とがし さだお)
法学者.1934年山形県に生まれる.熊本大学名誉教授.69年,水俣病裁判の理論的支援のため,丸山定巳,原田正純らと「水俣病研究会」を発足,代表となる.同研究会の主な編書に,『水俣病事件資料集1926-1968』(全2巻)がある.志學館大学教授,熊本学園大学教授を歴任.「水俣病センター相思社」理事長.著書に『水俣病事件と法』など.

松岡洋之助(まつおか ようのすけ)
元「水俣病を告発する会」会員.元NHKディレクター.1935年熊本市に生まれる.熊本商科大学(現・熊本学園大学)卒業後,NHKに入局.65年熊本放送局に転勤.69年石牟礼道子や渡辺京二らによって結成された「水俣病を告発する会」に参加.以後,支援運動を展開するが,73年の勝訴判決の後,一切の社会運動から身を引く.95年NHKを退職.

色川大吉(いろかわ だいきち)
歴史学者.1925年千葉県に生まれる.大学在学中,学徒出陣により海軍航空隊に入隊,敗戦後復学,48年東京大学文学部卒業.その後,民衆史研究という新分野を開き,『明治精神史』を著し,67年東京経済大学教授となる.76年学際的な現地調査を組織,83年『水俣の啓示――不知火海総合調査報告』(上下)を編むなど,水俣病事件の社会科学的な背景の解明に努める.著書多数.

実川悠太(じつかわ ゆうた)
水俣フォーラム代表.1954年東京都に生まれる.72年より水俣病患者の支援運動に参加.制作プロダクション勤務をへてフリーランスで書籍編集.83年より水俣病関連訴訟の弁護団事務局.89年「水俣病歴史考証館」の展示制作スタッフ.94年に「水俣・東京展」の開催を呼びかけ同実行委員会事務局長.96年開催の翌年改組改称し2001年法人化.15年理事長となる.

書評情報

読売新聞(朝刊) 2018年6月10日
東京新聞(朝刊) 2018年5月30日
北海道新聞(朝刊) 2018年5月27日
西日本新聞 2018年5月1日
熊本日日新聞 2018年4月30日
読売新聞(朝刊) 2018年4月28日

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