後醍醐天皇

「賢才」か,「物狂」か.『太平記』においても評価の二分する後醍醐天皇とは,果たして何者だったのか?

後醍醐天皇
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著者 兵藤 裕己
通し番号 新赤版 1715
ジャンル 書籍 > 岩波新書 > 日本史
刊行日 2018/04/20
ISBN 9784004317159
Cコード 0221
体裁 新書 ・ 256頁
定価 本体840円+税
在庫 在庫あり
「賢才」か,はたまた「物狂」か.『太平記』においても評価の二分する後醍醐天皇とは,果たして何者だったのか? 鎌倉幕府倒幕から南北朝の争乱の時代へ──日本社会の大きな転換期の引き金となった天皇は,いったいどのような「天皇」たることを目指したのか.近代にまで至る,後世への大きな影響も視野に読み解く.
序 帝王の実像と虚像
 南北朝の動乱/王朝歴史物語から『太平記』へ/「賢才」か「物狂」か/「怪僧」と「悪党」/『徒然草』が語る後醍醐/二つの天皇のあり方/「天皇」を問うた天皇

第一章 後醍醐天皇の誕生
 尊治親王の誕生/皇統の分裂状態/兄・後二条の急逝/立太子とその条件/政治への意欲/西園寺家の娘と/後醍醐天皇の即位/後宇多法皇と密教/後宇多院政の停止

第二章 天皇親政の始まり
 元亨改元/讖緯説批判と宋学/政道の学問/諸道の再興/「延喜聖代」/政道への取り組み/「中興」への期待/宋学の流行/天皇親政の背景/花園上皇の学問/『孟子』の受容/俊才・日野資朝/『徒然草』が伝える資朝/日野俊基と吉田冬方/俊基の抜擢人事/士大夫という自恃

第三章 討幕計画
 討幕計画の始まり/無礼講と芸能的寄合/文観,護持僧に/幕府御家人の内通/正中の変/幕府側の対応/正中の変の虚実/邦良の死と量仁の立太子

第四章 文観弘真とは何者か
 持明院統側の譲位要求/皇子たちと寺院勢力/中宮御産の祈禱/中宮禧子をめぐる「物語」/「異形の王権」か?/真言密教の受法/文観弘真の登場/後醍醐天皇の絵像/聖徳太子への傾倒/つくられた「妖僧」イメージ/『太平記』の文観/文観の宿敵,三宝院賢俊/立川流という俗説/律僧という立ち位置/媒介者(メディエーター)として/「太平記作者」の小嶋法師

第五章 楠正成と「草莽の臣」
 元弘の変の勃発/常盤木の夢/楠正成の素性/「楠」か「楠木」か/正成の挙兵/散所民の長者か/語り伝えた人々の思い/宮廷と「民」の回路/宋学と「破仏講」/在野・民間の士と宋学/「志士」という言葉の始まり/『太平記』の噓談,狂漢をも生ず/「あやしき民」名和長年/赤松挙兵と隠岐脱出へ/鎌倉幕府滅亡

第六章 建武の新政とその難題(アポリア)
 二条河原の落書/綸旨の乱発/雑訴決断所の設置/天皇の「勅裁」と側近の「内奏」/異例の人事と「下剋上」/北畠顕家の諫奏状/父親房の『職原鈔』と任官叙位/既得権と世襲制の打破/家柄と門閥の否定/「物狂の沙汰」の政(まつりごと)/新政の難題(アポリア)/「足利征夷将軍」/足利尊氏の離反/足利対新田という構図/南朝対北朝という構図/「王政」への幻想

第七章 バサラと無礼講の時代
 「自由狼藉」の世界/茶寄合の空間と「新政」/無礼講からバサラへ/バサラと過差の時代/『建武式目』の「礼節」/『建武式目』と『太平記』/「正名」の思想/アンビヴァレントな道誉評価/佐々木道誉の役割/「日本的」文化の始発

第八章 建武の「中興」と王政復古
 後醍醐天皇の死/後醍醐の鎮魂と「原太平記」/室町幕府の草創史として/近世の後醍醐天皇評価/南朝正統論はどこから来たか/読みかえられる南朝正統史観/論争の勃発/わが国固有の名分秩序/空白としての足利時代史/正統論から国体論へ/「国体」と幕末の「国民国家」/王政復古と建武の「中興」/「臣民」という思想/法治国家のアポリア/おわりに――近代の天皇問題

主要参考文献
あとがき
後醍醐天皇関連略年表
兵藤裕己(ひょうどう ひろみ)
1950年名古屋市生まれ
東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了.文学博士.
現在―学習院大学文学部教授
専攻―日本文学・芸能論
著書―『王権と物語』(岩波現代文庫),『太平記〈よみ〉の可能性』(講談社学術文庫),『平家物語の読み方』(ちくま学芸文庫),『〈声〉の国民国家』(講談社学術文庫),『演じられた近代――〈国民〉の身体とパフォーマンス』(岩波書店),『琵琶法師――〈異界〉を語る人びと』(岩波新書),『太平記』(全6冊,校注,岩波文庫) ほか

書評情報

毎日新聞(朝刊) 2018年5月27日
日本経済新聞(朝刊) 2018年5月12日
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