日本近世書物文化史の研究

近世読書史を切り拓いた画期的論文の集成.蔵書分析を通じて,能動的に知を紡ぐ「近世の読者」を描き出す.

日本近世書物文化史の研究
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著者 横田 冬彦
ジャンル 書籍 > 単行本 > 歴史
刊行日 2018/05/30
ISBN 9784000612692
Cコード 3021
体裁 A5 ・ 上製 ・ 函入 ・ 544頁
定価 本体11,000円+税
在庫 在庫あり
書物流通のネットワークを担い,蒐集した書物を独自に体系化し,日常生活の糧として後世に受け継いでいく――都市に限定されがちであった分析視角を大きく農村に広げ,従来の受動的な読者像を打ち崩し,能動的に知を紡ぐ「近世の読者」を,〈蔵書〉という宇宙から描き出す.第一人者による集大成.
はしがき
初出一覧
凡 例

序 章 読者という問題
 一 読者研究における三つの転機
 二 近世読者の歴史的研究
 おわりに――近世読者を考える視点


第一部 読者と蔵書形成

第一章 大坂周辺村落社会における蔵書形成――益軒本の読者
 はじめに――問題の所在
 一 日下村庄屋森家の蔵書形成
 二 柏原村在郷商人三田家の蔵書形成
 三 蔵書目録と益軒本
 おわりに――村の豊かさについて

第二章 読書の諸形態――八尾八左衛門の場合
 はじめに――問題の所在と分析の素材
 一 蔵書と貸借
 二 個人的読書
 三 共同的読書の諸形態
 四 医学書の読書会をめぐって
 おわりに――小括と展望

第三章 貝原益軒とその周辺――地方読者の〈発見〉
 はじめに
 一 蔵書とその貸借
 二 書物購入の取次
 三 読者の問題
 四 問題の一般化

第四章 「地方読者」の蔵書形成――依田長安の場合
 はじめに
 一 書物目録と文庫蔵
 二 書物の情報
 三 江戸・京都の書肆
 四 蔵書構成の特徴

第五章 近世上層町人における〈家〉の教育――八尾八左衛門家の場合
 一 問題の所在と分析の方法
 二 幼児期――又三郎,一歳~四歳
 三 少年期――捨二郎,六歳頃~一一歳頃
 四 青年期――又二郎・六三郎,一三歳~二二歳
 五 一般化
 おわりに


第二部 書物と読書

第六章 『徒然草』は江戸文学か?――書物史における読者の立場
 はじめに
 一 「徒然草享受史」について
 二 読者の実態
 三 通俗道徳の形成
 おわりに――近世書物史研究の課題

第七章 思索する読書
 はじめに――読者論から読書論へ
 一 「牢人百姓」依田長安――予備的考察
 二 家訓と読書――〈通俗道徳〉論のアポリア
 三 農人と牢人
 おわりに

第八章 近世の出版文化と〈日本〉
 はじめに
 一 軍書から〈歴史〉へ
 二 『節用集』の中の〈日本〉
 三 〈神国〉論と〈泰平=仁政〉論
 おわりに

第九章 農書と農民――『農業全書』をめぐって
 はじめに――古島敏雄「学者の農書と百姓の農書」について
 一 「牢人」宮崎安貞の世界
 二 『農業全書』の出版
 三 『農政全書』と『農業全書』――木綿栽培をめぐって
 四 『河内屋可正旧記』巻一二
 五 『農業全書』の読者――甲斐国牢人百姓依田長安など
 おわりに――文化的循環構造の成立


第三部 書物文化と近世社会

第十章 医学的な知をめぐって――医療政策と地域社会
 はじめに――研究史と問題の所在
 一 在村医の成立
 二 医学書
 三 民間医療と医学
 四 享保改革の医療政策
 おわりに――小括と残された課題

第十一章 作者・書肆・読者――益軒と柳枝軒をめぐって
 はじめに
 一 益軒と柳枝軒
 二 『農業全書』の出版戦略
 三 読者の発見
 四 柳枝軒宛て益軒書簡をめぐって
 おわりに――〈思索する近世読者〉の誕生

附 録 柳枝軒宛て貝原益軒書簡集

あとがき
横田冬彦(よこた ふゆひこ)
京都大学名誉教授,京都橘大学名誉教授.
著書に,『日本の歴史16 天下泰平』(講談社,2002年/講談社学術文庫,2009年),『異文化交流史の再検討――日本近代の経験とその周辺』(共編著,平凡社,2011年),『本の文化史1 読書と読者』(編著,平凡社,2015年)などがある.
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