聖と俗

分断と架橋の美術史

宗教改革がもたらした西洋美術の大断層と,その亀裂に浸透していった美術家たちの水脈をたどる論集.

聖と俗
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著者 宮下 規久朗
ジャンル 書籍 > 単行本 > 芸術
刊行日 2018/05/29
ISBN 9784000612524
Cコード 0071
体裁 四六 ・ 上製 ・ カバー ・ 304頁
定価 本体3,400円+税
在庫 在庫あり
宗教改革がもたらした西洋美術の大断層と,その亀裂に浸透していった美術家たちの水脈をたどる論集.権力と野合したバロック芸術隆盛の一方で,日本など欧州の外に流布された祈りの表象型はどのように変容し,現在にも継承されていったのか.欲望,願い――人が美術を必要とする,その真髄を探求するあらたな試み.
序 聖俗の分断――宗教改革と美術
 イコノクラスム
 世俗ジャンルの隆盛
 カトリック改革
 カラヴァッジョとバロック美術
 近代美術の聖性


Ⅰ バロックの聖とイメージ

聖俗の食卓――近世ミラノ美術の水脈
 《最後の晩餐》の模倣と継承
 神聖な行為としての食事
 写実主義への展開

レオナルドの鉱脈――ミラノ派からカラヴァッジョへ
 レオナルドの衝撃
 レオナルド派の形成
 古典主義
 自然描写と静物画
 明暗表現とサヴォルド
 肩越しの視線

ヴァザーリとカトリック改革
 カトリック改革の影響
 ヴァザーリの制作活動
 晩年のヴァザーリ

王権のイリュージョン――バロック的装飾と宮殿
 教皇権の二面性
 聖性の表徴
 ネポティズムの凱歌
 アポテオシスへの変容


Ⅱ 日本の聖と俗

展示と秘匿
 聖像の展示
 聖体の機能
 カトリック改革の美術政策
 画像展示のプロパガンダ
 顕現と隠伏

発酵するイコン――かくれキリシタン聖画考
 「お掛け絵」の特質
 「真人図」の問題

殉教の愉悦――聖セバスティアヌス,レーニ,三島
 聖セバスティアヌスとその図像伝統
 グイド・レーニ以降の聖セバスティアヌス
 三島の嗜好


Ⅲ 聖と死

召命と否認――伝サラチェーニ《聖ペテロの否認》をめぐって
 ペンショナンテ・デル・サラチェーニ問題
 カラヴァッジョ周辺の同主題作品
 壁に描かれた煤
 カラヴァッジェスキにおける召命と否認

アンディ・ウォーホル作品における聖と俗
 世俗性と宗教性
 自己消去と他者依存
 イコンとしての美術

供養と奉納――エクス・ヴォート,追悼絵馬,遺影
 はじめに――エクス・ヴォートと絵馬
 1 追悼のエクス・ヴォート
  アルトエッティンクのエクス・ヴォート/トーテンターフェル
 2 冥婚の造形
  ムカサリ絵馬/供養人形
 3 絵馬から遺影へ
  供養絵額/遺影への移行
 4 遺影と墓
  江戸の追悼画/モーニング・ピクチャーと遺影/墓の機能
 おわりに――悲哀の造形


あとがき
宮下規久朗(みやした きくろう)
1963年名古屋市生まれ.東京大学文学部卒業,同大学院修了.現在,神戸大学大学院人文学研究科教授,美術史家.2005年『カラヴァッジョ 聖性とヴィジョン』(名古屋大学出版会)でサントリー学芸賞,地中海学会ヘレンド賞を受賞.他の著書に,『バロック美術の成立』『イタリア・バロック――美術と建築』(以上,山川出版社),『カラヴァッジョ』(小学館),『食べる西洋美術史――「最後の晩餐」から読む』『ウォーホルの芸術――20世紀を映した鏡』『美術の力――表現の原点を辿る』(以上,光文社新書),『カラヴァッジョへの旅――天才画家の光と闇』(角川選書),『刺青とヌードの美術史――江戸から近代へ』(NHKブックス),『カラヴァッジョ巡礼』(新潮社),『モチーフで読む美術史』『しぐさで読む美術史』(以上,ちくま文庫),『闇の美術史 カラヴァッジョの水脈』『ヴェネツィア 美の都の一千年』(以上,岩波書店)など多数.

書評情報

美術の窓 2018年8月号
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