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東大寺のなりたち

華厳宗大本山東大寺.聖武天皇の発願に始まる寺院の存在意義とは何か.創建時代の歴史を解き明かす.

東大寺のなりたち
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著者 森本 公誠
通し番号 新赤版 1726
ジャンル 書籍 > 岩波新書 > 日本史
刊行日 2018/06/20
ISBN 9784004317265
Cコード 0221
体裁 新書 ・ 256頁
定価 本体840円+税
在庫 未刊・予約受付中
華厳宗大本山東大寺.聖武天皇の発願に始まるこの寺院は,古来どのような存在意義を有してきたのか.入寺から約70年.東大寺長老である著者は,その問いかけの答えを創建時代の歴史に求めてゆく.朝廷内の政争と陰に陽に絡みながらも,救済の寺としての道を歩んだ東大寺のなりたちを解き明かす.
はじめに


第一章 東大寺前史を考える

一 山房の時代
 皇太子の夭折と山房/『東大寺要録』編纂者の認識/法華堂創建年次の通説/須弥壇解体修理に伴う新発見/山房は果たして,ささやかなお堂か/東大寺山堺四至図/山堺四至図の山房道/香山寺も山房のうち

二 金鍾・福寿寺の時代
 山房から金鍾山房・福寿寺へ/光明皇后の写経事業/福寿寺の建立/金鍾寺か金鐘寺か/金鍾山寺・福寿寺から大養徳国金光明寺へ

三 大養徳国金光明寺の時代
 国分寺構想の発露/大養徳国金光明寺の意義/大養徳国金光明寺の寺観/丈六堂の所在地/平城京還都による状況の一変/丈六堂の処分と法華堂/大仏造像工事再開に向けて


第二章 責めは予一人にあり――聖武天皇の政治観

一 学習の時代
 なぜ盧舎那大仏造立を願ったか/法と国家観/経史とは何か/官人制度改革/釈教に学ぶ/盧舎那像讃一首并序の筆写/初めて冕服を着す/経史から釈教へ

二 政治の真価とは何か
 責めは予一人にあり/班田収授法の行き詰まり/困窮者への米穀等の支給/逃亡者・浮浪人の現住地登録/頻繁な米穀支給と減税措置/地方行政官に対するアメとムチ

三 仏教思想による民心の救い
 人心一新の課題/国分二寺建立の詔/仏教の啓蒙/墾田永年私財法の発布/盧舎那大仏造立の詔第


三章 宗教共同体として

一 天皇の出家と譲位
 黄金産出/三宝の奴/寺院に墾田地許可/産金慶賀の具体化/十二大寺への勅書/出家の動機

二 寺院と墾田地
 諸寺墾田地上限額の制定/なぜ東大寺は四〇〇〇町なのか/占定の有効期限

三 寺院形態への模索
 僧制の起源/律令制下の僧侶/行基の登場/優婆塞・優婆夷/出家の規制を打ち破る新制度/労役奉仕の日数/造東大寺司所属の優婆塞

四 国分寺と東大寺
 国分寺の入寺資格/五明による教育/僧侶養成機関としての東大寺/六宗兼学/僧侶集団の規模/奴婢の実態


第四章 盧舎那大仏を世界に

一 開眼供養会へ向けて
 藤原仲麻呂,大納言となる/紫微中台の創設/宇佐八幡神の東大寺参拝/揃って東大寺に行幸/遣唐使・遣新羅使の任命/新たな僧綱の任命/開眼師らに招請の勅書

二 大仏開眼会の盛儀
 開眼供養会への準備/開眼法会次第/内外の歌舞音楽を奏する/大蔵省から出仕僧らに布施

三 新羅はなぜ大使節団を派遣したか
 新羅使入京/律令制下の新羅の位置づけ/東アジアにおける華厳の隆盛/新羅王子金泰廉の奏上/孝謙天皇よりの言葉

四 聖武太上天皇の晩年
 鑑真和上ら来朝/左大臣橘諸兄,致仕する/聖武太上天皇崩御


第五章 政争のはざまで

一 権謀術数をめぐらす仲麻呂
 道祖王を廃し,大炊王を皇太子に/橘奈良麻呂の変/大炊王の即位/仲麻呂は朕が父/東大寺封戸処分勅書/孝謙太上天皇と淳仁天皇との不和

二 仲麻呂の排除
 仲麻呂暗殺計画/慈訓の解任と道鏡の新任/吉備真備,造東大寺長官となる/授刀衛が孝謙方に/仕掛けたのは孝謙太上天皇/造東大寺司と東大寺の活躍/公的記録から消された良弁と安寛

三 称徳天皇重祚
 淳仁天皇の廃位/宇佐八幡神託事件

四 政争ふたたび
 白壁王立太子の策謀/廃后と立太子


第六章 新たな天皇大権の確立

一 仏教界の綱紀粛正
 僧尼の度縁は治部省に/良弁僧正遷化/僧尼籍の確認調査/在京国分寺僧尼の本国送還/死亡した僧尼の名を冒称/僧綱に綱紀粛正を促す

二 仏教勢力の排除
 桓武天皇の即位/国分寺僧交替の厳格化/定額寺への施入売易の禁止/諸寺の利殖行為を厳禁/教律に従わない僧侶の処罰

三 藤原種継暗殺事件
 遷都への構想/藤原種継の暗殺/早良親王と東大寺/造東大寺司の廃止/不運たび重なる

四 平安京で構想新たに
 早良親王の鎮魂/東大寺封戸の削減/酒人内親王献入帳/大仏の頭部落ちる/御頭供養会の盛儀


参考文献
略年表
結びにかえて
森本公誠(もりもと こうせい)
1934年生まれ.東大寺長老.2004‒2007年,東大寺第218世別当・華厳宗管長をつとめる.京都大学文学博士.イスラム史家として,同大学で長年にわたり研究・教育に従事.
著訳書―『初期イスラム時代エジプト税制史の研究』(岩波書店)/『イブン=ハルドゥーン』(講談社学術文庫)/『善財童子求道の旅――華厳経入法界品・華厳五十五所絵巻より』(朝日新聞社・東大寺)/『世界に開け華厳の花』(春秋社)/『聖武天皇責めはわれ一人にあり』(講談社)/イブン=ハルドゥーン『歴史序説』全4冊(訳,岩波文庫)/タヌーヒー『イスラム帝国夜話』全2冊(訳,岩波書店),第54回日本翻訳文化賞受賞 ほか
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