「知識青年」の1968年

中国の辺境と文化大革命

文革当時,内モンゴル,新疆などに送られた「知識青年」と少数民族との知られざる「相思相愛」が開く,中国民族問題の糸口.

「知識青年」の1968年
著者 楊 海英
ジャンル 書籍 > 単行本 > 歴史
刊行日 2018/07/13
ISBN 9784000238960
Cコード 0022
体裁 四六 ・ 並製 ・ カバー ・ 206頁
定価 2,200円
在庫 在庫あり
文化大革命当時,1700万の青年たちが「知識青年」の美名を与えられ農山村に送られた.中でも内モンゴル,新疆,雲南といった「辺境」はたんに国境地帯ではなく,共産主義革命の理想を実現するフロンティアでもあった.「下放」の苛酷な体験の中で生まれた少数民族との希有な交流とは.70歳になった元「青年」たちのオーラルヒストリーが開く,中国の民族問題解決の糸口.
地 図 1~3

序 章 知識青年の創出した意識変革

第1章 北京からモンゴル草原へ飛んだ「赤い鷹」
 1 「紅衛兵大学」の夢
 2 モンゴルに撒かれた「革命の火種」
 3 スケープゴート

第2章 南京を旅立った「革命的荒武者」
 1 失意の古都
 2 「犬っこ」たちの南京
 3 「モンゴル人と結合する」道

第3章 中国内地の「天国」と地獄
 1 歓迎されなかった下放青年
 2 抑圧のなかの性と生

第4章 雲南のフロンティアとビルマ共産党ゲリラ
 1 「チェ・ゲバラ行動」
 2 ジャングル内の「世界革命」

第5章 新疆西部辺境の屯田兵
 1 生産建設兵団
 2 辺境からの造反
 3 天山の麓の暴動

終 章 一九六八年,青年たちの世界史
 1 下放先から帰らなかった「知識青年」
 2 「知識青年」の反知性主義

おわりに
参考文献
楊海英(Yang Haiying / よう かい えい)
モンゴル名オーノス・チョクトを翻訳した日本名は大野旭.1964年,内モンゴル自治区オルドス生まれ.北京第二外国語学院大学日本語学科卒業.89年3月来日.国立民族学博物館・総合研究大学院大学博士課程修了.博士(文学).静岡大学人文社会科学部教授.主な著作に『墓標なき草原――内モンゴルにおける文化大革命・虐殺の記録(上・下)』(岩波書店,2009年.2010年度司馬遼太郎賞受賞),『続墓標なき草原――内モンゴルにおける文化大革命・虐殺の記録』(同,2011年),『中国とモンゴルのはざまで――ウラーンフーの実らなかった民族自決の夢』(岩波現代全書,2013年),『モンゴルとイスラーム的中国――民族形成をたどる歴史人類学紀行』(風響社,2007年)などがある.
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